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非分析者も知ってほしいデータ分析時に考える3項目と連携方法について

本記事では、分析者がどのように分析を行うか、分析の要件を検討する際に必ず考える3項目を紹介します。
※主張が強いですが、1個人の意見です

また、分析者視点で、非分析者にどのようなコミュニケーションがとれるとよいかも記載します。

本記事の趣旨

趣旨としては、掲題の通りで、自身では分析しないもののデータアナリストやデータサイエンティストと連携をとる非分析者の方にも、この思考を理解して欲しいと考えています。
非分析者に対しても十分に習熟することを強いる訳ではなく、必要性を知った上で、餅は餅屋として分析者に委ねるあるいは相談するコミュニケーションをとって欲しいためです。

結局のところ、適切なコミュニケーションが取れていれば、掲題のように細かい理解は必要ありません。ただし、一方的にコミュニケーション方式を指定するのは、経験上、理解が得られにくい傾向にあると考えており、その必要性について順を追って説明します。

分析時のディスコミュニケーション

分析者と非分析者の間で、分析についての要件を決めていくコミュニケーションの割合は、仕事の中でそこそこ多いです。

まず、基本的に分析は、非分析者と連携していく形式が多いです。自分の観測範囲では、世の分析者の業務の半数以上は、非分析者からの依頼やそれに関連する業務を占めています。
一方で、その連携がスムーズに完了するケースは意外と少ないです。そのため、コミュニケーションコストが高くなる傾向にあります。(スムーズにコミュニケーションが完了する人も存在しますが、元分析者の経歴だったり超優秀だったりのレアケースのため例外としておきます。)

何故コミュニケーションコストが高くなりがちなのか?
よくあるのは以下のようなケースで、依頼内容に対して再度やりとりが発生するためです。

  • 指定された分析に必要なデータを取得できない

  • 指定された定義が曖昧でそのまま集計できない

  • 依頼までの経緯が分からず、分析方法を適切に修正できない

  • etc.

共通するのは、分析時の具体的な手順への理解がないために、適切に必要な情報連携をできていないということです。
口頭でのコミュニケーションであればその場で解消できますが、非同期コミュニケーションが主体の場合、更にディスコミュニケーションが発生する場合もあります。

これも自分の経験則によるものですが、こういった事象は、分析を導入し始めの時期よりも、非分析者にもBIツールなどが活用され始めた時期に多く発生するように感じます。
分析への敷居が高い段階では分析者への依存度も高く、慎重に連携をとるのに対して、作業的に分析できる環境に慣れていくことで、連携が疎かになっていくからだと思います。

この情報連携の問題は、優秀な分析者の場合よしなに対応している場合もありますが、そうでなければ潜在的に誤った意思決定を起こしたり無駄な分析を行っている可能性に繋がります

データ分析時に考える3項目

それでは、自分が実際に分析要件を考える際の3項目に入ります。
早速ですが、その3項目は以下のとおりです。

1.課題の解決に有効な仮説を構築する
2.現実的なコストで利用可能なデータの範囲で行う
3.客観性のある枠組み(適切な比較)の中で立証する

これらの3つを総合的に加味することで、良い分析に繋がると考えています。
(ここでの良い分析とは、「分析から導かれる施策で得られる効果への費用対効果が優れている」ことを指します)
それぞれ完全に独立でなく、相互に影響を及ぼし合うため、上手くバランスを取っていく必要があります。

次に各項目について、簡単に説明します。
(それぞれの詳細は、それだけでかなりの長文になるので割愛します。)

1.課題の解決に有効な仮説を構築する

まず第一に、課題に対して分析的にどのような仮説を証明にしてどういったアクションをとるのか、その繋ぎこみを事前に明らかにするということで、分析の目的に等しいです。
極論、最終的に何かしらのアクションに繋がらなければ、これは満たされません。

ここで必要なのは、問題解決力と仮説思考力です。
前者は、課題構造を分解し何を対処すれば問題が解決するのか原因を特定をすることです。これは組織によっては事前にKPIやOKRである程度明示的になっている場合もあります。
後者は、原因を解消するために筋道を立てて解決に導くことです。ここで足りないパーツを仮説として、分析の中で立証していく流れになります。

2.現実的なコストで利用可能なデータの範囲で行う

分析をする際にはデータが必要不可欠なのですが、これを現実的なコストで扱える分析であることです。
コストとは、大まかに、人的・処理時間的・金銭的の両方のコストを指しています。

これは分析をする組織の環境に依存するので、一概には言えませんが、
基本的に整備されていないデータを使ったり複雑な分析をしようとすれば人的コストはかかるし、多くのユーザや長い期間といった多くのデータを利用しようとすれば処理時間のコスト、従量課金制の分析サービスであれば金銭的コストもかかります。

3.客観性のある枠組み(適切な比較)の中で立証する

最後は具体的な分析の話です。仮説を検証したくても、適切に分析から判断するのは難しい場合があり、その際は設計を工夫する必要があります。
何故ならデータは何かしらのバイアスがあるためです。

例えば、「ECサイトで一度購入したユーザにクーポンを配信していた際に、全ユーザにクーポンを配信すれば売上が上がるのか」ということを分析するとします。
この時、クーポンが配信されたユーザとそうでないユーザを比較するのが、オーソドックスな考え方ですが、これで純粋なクーポンによる売上効果は分かりません。クーポンが配信されたユーザは、サイト上で購入行動をしている前提なので、サイトでの購買意欲が相対的に高く、クーポンによる売上効果が必要以上に高く見積もられるためです。

常にABテストを行っていればよいですが、実際には様々な事情によってそれができていない場合も存在します。
それでも大まかに効果を見積もるためには、分析の際にその影響を少なくなるように工夫する必要があります。

結局依頼時に何を伝えればよいか?

ざっと分析時に考える内容を説明しましたが、それを踏まえて、結局依頼する時に何を伝えればよいかという話ですが、
自分の立場からだと、分析がしたい理由、つまり現状の課題を重点的に説明してもらえるのが助かります。
これは、前段までの話の中の「1.課題の解決に有効な仮説を構築する」に近い部分で、これがクリアになると、目的・方向性を定めて取り組んでいけるからです。

もちろん、ある程度分析に慣れていてこういった分析をしてほしいというイメージがあればそれを伝えるのも有りですが、逆にそれだけ伝えるのはあまり良くないと考えています。
理由は、冒頭にもあるとおりで、最終的に誤った意思決定や無駄な分析に繋がる可能性があるためです。

後これは個人的見解ですが、データ系人材の中、特にデータアナリストは、他に比べてイシュードリブンな考えの人が多いと感じており、そういうコミュニケーションのとり方はモチベーションの観点からアンチパターンになりうる可能性が高いです。(自分も割と好まない)

最後に

分析の要件をまとめる際に、考えてる3項目をまとめました。
非分析者向けに軽めに書くことは意識したのですが、内容のシンプルさとボリュームを考えたら、思ったよりあっさりになってしまいました。それぞれ自分の中で色々考えていることがあるので、機会があればまた詳細に書きたいと思います。


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