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PCノベルゲーム良作まとめレビュー【DL版/30作品↑】

初めましての方はどうも、calcと申します。

今回はサマーセールの時期も近づいてきたということで、おススメのノベルゲーム(ビジュアルノベル/アドベンチャー/シナリオ重視のエロゲー等)を広く浅くレビューしていきたいと思います。新たな作品との出会いのきっかけになれば嬉しいです。

お試し感覚で思いつく限り書いてみたので、今後も作品はバンバン追加していくと思います。




注意点

・R-18作品の掲載リンクには年齢認証があるので未成年の方は注意してください。
・対象年齢の判定はDL版を基準としています。
・ストアページは筆者が購入したサイトを中心に掲載しています。
・とにかく伝えたい情報を書きなぐったので、読みにくかったり誤字脱字があったりしたらスミマセン。
・ネタバレについては極力配慮したいと思っているので、あらすじについては作品の概要のみにとどめてほぼ書いていません。


評価基準

最優先
シナリオの完成度、キャラクターの魅力度。

加点事由
演出面のクオリティ、世界観の独創性、インパクトの強さ等。

とはいえ厳格に点数を振ったわけではないので、上の方を除いては誤差の範囲かなと思います。好みのジャンルで探してもらってもいいかも。

コスパについては考慮していません。ただシナリオの長さは満足度に影響し得るとは思っているので、参考までにおよそのプレイ時間を記載しました。


また一部作品には注意事項を記載しています。

①鬱要素…鬱・胸糞シーン等が一定の割合を占める作品。
②グロ描写…グロテスクなシーンやCGが存在する作品。
③抽象的作品…人によっては面白さがわかりにくい作品。

①②は重い作品を回避したい人向けのフィルターとして、③は購入優先度を検討する上で機能してくれたらと思います。

ただ正直重い作品の方が評価は高いです。


それではレッツゴー。


SSS+

Summer Pockets REFLECTION BLUE

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 60時間~

「眩しさだけは、忘れなかった。」
「まぶしさの──その向こう側へ‥‥」


泣きゲーで有名なKeyの近年大ヒット恋愛ADV完全版。無印は萌えゲーアワード2018大賞受賞作品。祖母の遺品整理のため夏休みを利用して鳥白島にやってきた高校生の主人公と、島で出会ったヒロイン達との淡く切ない恋物語が描かれる。
本作はKeyの王道ともいえる「感動×ファンタジー」を前面に押し出した作品であり、全ルートに泣けるシーンがたくさんある。「そこでそのシーンはずるい、ずるすぎる」って無限に言ってた。特にグランドルートはADVゲームの仕様を逆手に取った壮大な伏線回収があり、ただの恋愛では終わらないKeyの真骨頂を見た。
演出面もフルプライス最新作品だけあって非常にクオリティが高い。夏休みのワクワク感、終わり際の切なさを感じさせるBGM、幻想的な美麗グラフィックがゲーム体験を豊かにしてくれる。RBでは無印版の4人のヒロインに加えて、完全新規ヒロインを含む4人のルートが新たに追加されておりボリュームも抜群。
筆者はKey作品初見なら「CLANNAD」を推していたが、現在は総合的にサマポケ推し。今最もアニメ化が待たれる作品の一つ。

関連リンク


STEINS;GATE

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 35時間~

「神をも冒涜する12番目の理論──それは、俺たちが手にした偶然の産物。」

99%の科学と1%のファンタジーをコンセプトとする科学ADVシリーズの第2弾。ひょんな出来事からタイムマシンを発明してしまった主人公が、運命を変えるために世界線を越えた過去改変に挑む想定科学ADV。アニメが大ヒットしループ物では最高傑作と言われることも。
本作はアニメ版でも散々言われているようにプロローグ部分の癖がかなり強く、キャラの濃い登場人物の厨二病ネタが合わないという人も一定数いる。しかしそれを乗り越えた先には記憶を消してもう一度プレイしたい程の予測不能な展開と圧倒的な伏線回収がある。実際に存在する都市(秋葉原)を舞台にリアリティのある架空の国際機関が関わってくる現代SFなので「本当にこういう出来事があるのかもしれない。」と思わせる世界観の作り込みも秀逸。
原作ゲームはアニメよりも理論面が充実していたり、プレイヤー視点で臨場感がある場面も多い。アニメにはない個別ルートも存在するので、時間がある人にはぜひ原作をおススメしたい。イメージ画像にも取り上げた全編アニメーション化の改良版「ELITE」もリリースされているが、アニメと差別化したゲーム感を大事にしている無印の方が筆者は好み。

また本作をクリアした後はぜひ「STEINS;GATE 0」(→Steamストアページ)をプレイしてほしい。0は本編では描かれないが本当は存在した話、β世界線を選んだオカリンがα世界線に戻るまでを一つの物語として再構成したスピンオフ作品。キャラクターの苦悩や葛藤がよく描かれており、「これを乗り越えた先にあのシーンに繋がるのか」と感動できる原作補完作品としてこれ以上ない出来になっている。

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装甲悪鬼村正 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 40時間〜
注意事項: 鬱要素 グロ描写

──これは英雄の物語ではない。英雄を志す者は無用である。」

ニトロプラス創立10周年作品。劔冑(つるぎ)と呼ばれる魂の鎧を身に付けた武者達による戦乱の世を描くスラッシュダークADV。世界観としてはGHQや幕府が登場する戦国〜戦後をミックスした架空の日本「大和」を舞台とする歴史改変SF。大義名分があれば人を殺しても良いのか、英雄の謳う正義とは何なのか、といった問いをテーマにしたメッセージ性の強い作品
シリアスとギャグを兼ね備えたぶっ飛んだ魅力的な登場人物も本作の売りの一つであり、特に主人公は男性キャラながらファン投票で1位を獲得するほどの人気。冷静で堅物ながら時に天然ボケで笑いを誘い、それでもシリアスな場面では業を背負って我が道を行く姿には心を打たれた。長く暗い話を読み進められたのは大体彼らの信念とギャグのおかげ。
戦術や理論面も詳細に解説してくれる劔冑での戦闘シーンは迫力があり、いわゆるロボット物としても高評価。ニトロプラスらしいダークな展開も多いため人によっては好みが分かれるもしれないが、ぜひ多くの人にプレイしてもらいたい。序盤はかなり後味の悪い鬱展開が続くが、共通ルートが終わる頃には物語の本質を理解できるはず。

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WHITE ALBUM2 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 35時間~
注意事項: 鬱要素

「冬が終わる。君がいない春が来る。」
「届かない恋なんてしない。だって、もう人を愛せない。」


数多くのプレイヤーの心と胃を破壊してきた冬の名作。高校の学園祭から始まり、大学生、社会人まで尾を引くドロドロの三角関係を描いた恋愛ADV。思わずため息が出るほど切ないシーンの連続でプレイヤーを揺さぶり、その心を抉ってくる。
何といってもメインヒロインの小木曽雪菜と冬馬かずさのキャラクター設定が最強。ネット上では長らく雪菜派とかずさ派で割れており、プレイヤーは何度も苦しい選択を迫られる。また2人ほど知名度は高くないが大学生編のサブヒロイン3人も魅力的でどのルートも指折りの名シナリオ。条件付きの選択肢があったり、複数周回で追加シーンがあったりとADVゲームとしても凝った作りになっている。主題歌「届かない恋」に挿入歌、BGMも名曲揃いであり、作品全体のクオリティは極めて高い。
前作「WHITE ALBUM」の一部キャラクター名や曲が登場したりはするが、ストーリー上の直接の繋がりはないため2からプレイ可能。並大抵の恋愛ゲーでは満足できなくなるレベルで刺激が強いので注意。
なおディスク版「EXTENDED EDITION」にはドラマCDやノベル等の特典も付いているので、プレイ環境がある人にはそちらがおススメ。

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マブラヴ オルタネイティヴ

引用: マブラヴポータルサイト

※世界観の解説が前作「マブラヴ」の間接的なネタバレとなっています。本当に何も知らない状態でプレイしたい方、近くプレイする予定がある方は本レビューを飛ばすことを推奨します。一つ言えることはマジで神作です。





プレイ時間: 35時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写

──人類を無礼るな……!
──人間を……無礼るなッ!!」

SF恋愛ADVマブラヴシリーズ最重要・最高傑作。地球外生命体BETAとの戦闘を通じて繰り広げられる極限状態の人間ドラマを描いた大作。
怒涛のシナリオ展開と戦闘シーンの臨場感が圧倒的で、先が読めないワクワク感と同時にやってくるプレイ中の絶望感、クリア後の虚無感が半端なかった。前作「マブラヴ」からは想像もつかない程の容赦ない鬱展開の連続でプレイヤーに厳しい現実を突き付けてくる。全キャラクターが命を懸けて戦っていた魂の作品。
ロボット・ミリタリー・政治等の様々な要素を詰め込んだ世界観も圧巻。敵となるBETAや有効兵器の戦術機、独自の歴史から国政まで細かい設定が作り込まれており、これまで多くの派生作品を生み出している。
「マブラヴ」の続編なのでプレイする際はマブラヴから。面白さのクライマックスはオルタネイティヴだが、それはマブラヴの下積みがあってこそなので絶対に飛ばさないこと。アニメの評価が伸び悩んでいるのも無印マブラヴ部分の尺不足にあると思っている。
マブラヴシリーズに少しでも興味があれば、もうこれ以上は何も調べずに無印→オルタネイティヴの2作品をプレイして欲しい。

関連リンク (微ネタバレ注意)


魔法使いの夜

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 18時間~

「新生の鼓動よ響け。少女は今、青色(はじまり)の魔法を開く。」
「さあ──ごっこ遊びをしましょう。」

型月ことTYPE-MOONの伝奇ビジュアルノベル。1980年代後半を舞台に魔女の秘密を知ってしまった高校生の奇妙な日常を描く現代ファンタジー。選択肢ゼロの読み物ノベルゲーム。
本作はビジュアルノベルならではのゲーム体験を最大に引き出しており、奈須きのこ氏の現代魔術・魔法の世界観に浸ることができる。シナリオは心理・情景描写が多く行間を読ませるような文体が特徴的で、画面全体に表示されるテキストはさながら文学作品。BGMはクラシックをベースにした聞き心地の良い曲が多く、戦闘シーンはアニメーションに近いコマ送りの演出で臨場感バツグン。フルボイスHDリメイクされたことで狭義のビジュアルノベルでは最高到達点にある作品だと思っている。
他の型月作品との繋がりが示唆され所縁のあるキャラクターも登場するが、本作単体で十分に楽しめる。エンディングは明確に完結しておらず、未だ未公開ではあるが全3部作とされているので今後の展開に期待。劇場アニメーション化も決定している。

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SSS

虚ノ少女 RE (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 20時間〜
注意事項: 鬱要素 グロ描写 抽象的作品

「その少女は虚(パラノイア)に支配されていた──。」

Innocent Greyの代表作であるカラノショウジョシリーズ第2作目のリメイク版。昭和初期の東京を舞台に私立探偵の主人公が連続猟奇殺人事件を追うサイコミステリィADV。
シリーズ1作目より先に紹介してしまい申し訳ないが、本作は「殻ノ少女」の2年後を舞台とした続編。そのため基本的な世界観や評価点は同作のレビューに譲る。
「殻ノ少女」でぼやかされた結末を続編「天ノ少女」に繋ぎ「カルタグラ」とも上手く交差させたシナリオはシリーズ屈指の完成度を誇り、個人的には3作品の中で最も評価が高い。前作以上に納得のパラノイア、そして思わず目を逸らしたくなる結末は良い意味での虚無感をもたらしてくれるサイコミステリーの傑作。
前作をプレイしてその世界観に惹かれた人、冬子の結末が気になった人には強くプレイすることを推奨する。シリーズ未履修の人もまずは殻ノ少女ないしカルタグラをプレイしてイノグレの世界観を知ってほしい。

なおカルタグラプレイ済みユーザーへの耳寄りな情報として、殻ノ少女では名前での登場に止まった冬史が新ビジュアルで再登場。八木沼と共に主要キャラクターとして玲人をサポートする。

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CLANNAD

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 80時間~

「ありふれた学園生活から始まる、人と町の物語。」
「俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。」

泣きゲーで有名なKeyの代表作ともいえる恋愛ADV。不良少年の主人公がヒロイン達との出会いを通じて成長していく物語。学園編と社会人編の2部構成になっており、感動の親子愛・家族愛を描いた社会人編(アニメ~AFTER STORY~)は「CLANNADは人生」とまで言わしめた名シナリオ。
原作は学園編の恋愛要素が強く、アニメ版でカットされた部分も含めてファンタジー・三角関係・ミステリー等の様々な展開のヒロインルートが楽しめる。グラフィックは時代を感じさせるものがあるが、メインルートはどのシナリオも折り紙付きの完成度。
さらに特筆すべきは圧倒的なボリューム量。学園編はメイン6ルート、サブ5ルートもあり、それに加えて複数ルート相当の社会人編にネタルートまである。また学園編の選択肢が非常に多く、選んだ選択肢が社会人編に影響する仕様もあったりと攻略難易度が凄まじく高い。攻略サイトを使用しない場合にコンプリートまでかかる時間は100時間を超える。
現状DL版(Steam)は日本語に対応していないが、Keyを語る上では外せない名作ということで紹介した。気になる人はぜひディスク版を購入して欲しい。なお筆者は気合で英語版をプレイした結果130時間を記録している。

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G線上の魔王 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 15時間~

「いま、命をかけた純愛ドラマの幕が上がる──

美少女ゲームアワード2008大賞受賞作品。「車輪の国、向日葵の少女」と並んであかべぇそふとつぅのシナリオゲー代表作。学校では一般人のフリをしている訳あり主人公が不思議な転校生と共に、魔王と呼ばれる人物によって引き起こされる事件を追っていくサスペンス風の恋愛ADV。
物語全体を通してプレイヤーのミスリードを誘う描写が多く、曲者キャラによる心理戦が非常に面白い作品。度々登場する魔王の正体と物語の終着点が気になってプレイする手が止まらなかった。
また恋愛物としてもクライマックスの瞬間火力が高すぎる感動作。本作は各章ごとに個別ルートに分岐する特殊な物語構成となっており、個別ルートでは厳しい境遇故に歪んでしまった主人公がヒロインと手を取り合って成長する姿が描かれる。そして個別ルートに分岐しなかったグランドルートでは、個別ルートをプレイしたからこそ感動できるエンディングが描かれ、全てを知っているプレイヤーの涙腺をドンピシャで破壊しにくる。ED曲「Close Your Eyes」が流れるシーンは号泣必須。

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車輪の国、向日葵の少女 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 15時間~

「人を好きになれること、時間が平等であること、親が幸福であること、
 それくらい望んでもいいじゃないですか?」


「G線上の魔王」と並んであかべぇそふとつぅの2000年代シナリオゲー代表作。罪を犯すと特別な義務を課される架空の国家を舞台に、更生を促す特別高等人候補生の主人公と義務を負ったヒロイン達とのヒューマンドラマを描いた恋愛ADV。
独創的な背景設定と閉鎖的な田舎の夏を感じさせる舞台設定が100点満点でとにかくその世界観に引き込まれた。真っ当に生きる意味を失ったヒロイン達の成長模様、垣間見える本当の強さは胸に来るものがあり、一見ちゃらんぽらんに見える主人公も人間味に溢れていてめちゃくちゃ格好良かった。
更生するまでのヒロインはグダグダで日常パートも古いネタを中心におふざけ全開だったが、シナリオにメリハリがついているので思った以上にサクサク読み進められた。エンディングは含みを持たせた終わり方になっているので、もう少し結末を詳しく描いて欲しかったとは思う。

ファンディスク「車輪の国、悠久の少年少女」(→DMMストアページ)も要チェック。ヒロインとのアフターストーリーのみならず、本編でラスボスっぷりを遺憾なく発揮した法月将臣の過去、樋口三郎との関わり、冒頭に登場した南雲えりの回想エピソードが収録されている。「本編で語っとけよ…」と言わんばかりに車輪の国の真相により近づくことができる内容となっているので、本編クリア後にはぜひ悠久もプレイしてほしい。

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終のステラ

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 5時間~

「空の向こうに行けば、人間になれる──。」

萌えゲーアワード2022シナリオ賞受賞作品。泣きゲーで有名なKeyの終末世界を舞台にしたキネティックノベル。名シナリオライター田中ロミオ氏が運び屋とアンドロイドのペアによる旅を描く。
キネティックノベルは選択肢ゼロの対話型小説やアニメ映画に近いビジュアルノベルであり、Keyの専売特許として知られている。シナリオは短いながら小説のような形式で主人公の心情がよく描写されており、Keyらしい感動シーンの落としどころがピカイチ。作中にはオリジナルの設定や用語が多数登場するが、主人公は未来人として、ヒロインは現代人(=プレイヤー)として会話をしてくれるので理解がしやすいのも良かった。演出面においても細部まで描かれた背景CGやメニュー画面のUIは現行最高レベルのクオリティを誇り、近未来SF的な世界観を存分に味わうことができる。
総じて短編ではこれ以上ないレベルの傑作。主題歌「breath of stella」が流れるOPムービーからもうワクワク感が凄かったので、そちらも購入の検討材料にして欲しい。

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白昼夢の青写真 (R-18/全年齢)

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 13時間~

「こんなにわたしを愛してくれて、ありがとう──世界と呼ばれた少女の物語──

2020年に入ってからのノベルゲーム界に突如現れたあらゆる完成度がお化けのSF恋愛ADV。世界に全てを捧げた少女と一人の青年の純愛物語。恋愛要素が強く一部選択肢も存在するが、ルート分岐はなく実質的にはビジュアルノベルに近い。
本作は中世・現代・近未来の異なる3つのエピソードが未来の1つのエピソードに収束するシナリオ構成が最大の特徴。各エピソードは独立した短編作品として成立するレベルで細部にこだわって作り込まれており、専用の主題歌やUI、アフターストーリーまで用意されているのは驚き。1本でまったく世界観の異なる4作品を楽しめる上、プレイしていく内に薄っすらとエピソード間の関連性に気付くように作られているため、キャラやシナリオの渋滞といった問題点も解消されている。
また主題歌のクオリティがめちゃくちゃ高く、なんとありがたいことに公式Youtubeチャンネルで全て視聴することができる。特に最終エピソードOPの「Into Gray」は本作の純愛ストーリーを表現した名曲なので要チェック。
シナリオもシステムもあらゆる要素が「綺麗」の一言。
早くもコンシューマ移植までされており、令和のビジュアルノベル代表格といってもいい名作。

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BALDR SKY (R-18/全年齢)

引用: Steamストアページ

プレイ時間: 60時間~

「俺は忘れない。そこにかけがえのない“空”があったことを・・・」
「すべてを思い出せ──

AIが大きく発展し、脳にチップを埋め込んだり、仮想世界で暮らしたりすることが一般化した近未来を舞台とするSFサイバーパンクアクションADV。記憶喪失に陥った主人公がシュミクラムと呼ばれるロボットでの戦闘を通じて過去の記憶と向き合い、失われた未来を取り戻しにいく物語。
本作はこれぞ近未来SFというべき圧倒的スケールで描かれるのが特徴的。それ故にオリジナルの横文字設定が多いが、最近のトレンドともいえるAI関連をテーマとしていることから、ストーリーの流れ自体は掴みやすい。
登場人物はAI派・反AI派を基本とする様々なバックボーン・勢力に分かれており、それぞれが己の正義に従って行動している。そのため誰が本当に正しいのか判断するのが難しく、記憶喪失の主人公と初見のプレイヤーがリンクして物語に引き込まれる。主人公が様々な派閥に属して戦うことになる各ヒロインルートは全てグランドルートの伏線となっており、クライマックスは超がつく胸アツ展開。
読み物の合間にはロボットを操作して敵を殲滅するアクション要素があり、自分好みの技やボタンを設定して爽快なコンボを叩きこめる。アクションが苦手な人も難易度調整が可能であり、ノベルとの割合も絶妙に感じた。クリア後にやり込み要素もあるのでアクション重視の人にも嬉しい。またボス戦で流れるKOTOKO曲「Restoration~沈黙の空~」「jihad」も屈指の名曲。
ノベルゲームに限らず18禁ゲームの括りでもトップクラスの名作であるが、2023年にリリース元の戯画が終了したことに伴いプレイ環境が限られているのがネック。かつてはDMMにてR-18/日本語のDL版がリリースされていたが、現在はディスク版を除いてSteamの全年齢/英語版のみとなっている。


メモリーズオフ2nd

引用: メモリーズオフヒストリア公式HP

プレイ時間: 20時間~
注意事項: 鬱要素

「かけがえのない想いと引き換えに……」
「選ぶことができるのだろうか?
 これから共に、かけがえのない想い出を築いていく、その人を────。」

メモリーズオフシリーズ2作目にしてシリーズ最高傑作の呼び声が高い恋愛ADV。「恋愛の乗り換え」をテーマに、物語開始時点で主人公に彼女がいる三角関係ゲー。やきもきするすれ違いや修羅場シーンが多数あり、苦しい恋愛を期待するプレイヤーのお眼鏡にかなうであろう一作。
後に良作とされたシリーズ作品の多くは主人公やその過去の仕掛けを通じてサスペンス風の展開が繰り広げられる中、本作は純粋な恋愛要素をメインに押し出して勝負した正統派の恋愛ADV。加えて重宝される三角関係テーマ。
シンプルなデザインながら(だからこそ?)ヒロインの人気も高く、50名以上を対象にした2018年のメモオフシリーズ総選挙では白河ほたる(1位)、飛世巴(6位)、南つばめ(7位)と大暴れ。かなり古い作品だがSteamにてフルHD移植されたこともあり、グラフィック・システム面は現代作品と何ら遜色ない。
シリーズ間にストーリー上の直接的な繋がりはないため、いきなり本作からプレイすることも可能。というかメモオフを触るならとりあえずでも2ndというくらいおススメ。メインヒロインが親友・実姉とバチバチにやり合う巴、静流の2ルートは必見。

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SS+

CHAOS;CHILD

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 50時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写

「そして。僕は、このくそったれなゲームをクリアーした。」

99%の科学と1%のファンタジーをコンセプトとする科学ADVシリーズの第4弾。新聞部の活動の一環として連続猟奇殺人事件を追う主人公達が狂気の妄想に巻き込まれるSFサスペンスホラー。
「この作品は、シュタインズ・ゲートを超えたのか?」と公式が触れ込むほどの大作であるが、コンシューマ版でZ指定されるほど設定を攻めていたり、アニメ化が微妙だったりしたことから知名度はそこまで高くない。シナリオの内容もシュタゲとは対極にある作品のため人は選ぶが、美しくも儚いエンディングはシュタゲを超えたと評する人も多い。
本作は誰が事件の犯人なのか、誰が味方で誰が敵なのか、ミスリードを誘うシナリオと思わずドキッとするような演出で主人公兼プレイヤーの不安を煽ってくるのが特徴。かなりの長編で中盤はマンネリ化する場面もあるが、謎が明かされ始めてからエンディングまでは衝撃の連続、クリア後は虚無感でロスに陥ること間違いなし。
シリーズ1作目の「CHAOS;HEAD」とはストーリー上の繋がりはないが世界観を同一にする。もっとも初期のニトロプラス色が強く難解な作品となっているため、学園の日常要素が多く含まれる分ややライトな作りになっている本作を優先的にプレイすることを推奨する。個人的にはシュタゲを超えたとは思わないが、科学ADVシリーズの中ではシュタゲと並びうるTop2の名作だと思う。

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殻ノ少女 HD (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 20時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写 抽象的作品

「探して欲しいんだ。
──私を。本当の、ね。」

Innocent Greyの代表作であるカラノショウジョシリーズ第1作目のリメイク版。昭和の東京を舞台に私立探偵の主人公が連続猟奇殺人事件を追うサイコミステリィADV。
捜査・推理パートのあるミステリーADVではあるが、推理物というよりは愛と偏執(パラノイア)をテーマにした読み物としての側面が強い。30人を超える登場人物の人間関係は複雑に絡んでおり、プレイヤーは怒涛の鬱展開と紐解かれていく真実に釘付けになる。
美少女ゲームアワード2008ではグラフィック部門・BGM部門を含む4部門で入賞している。昭和の懐かしさや儚さを感じさせる音楽、立ち絵の数々は世界観ゲーとしても評価が高い。
「殻ノ少女」はシリーズ物として前日譚「カルタグラ」続編「虚ノ少女」「天ノ少女」との連続作品となっており、主要なキャラクターや背景設定は本作がベースとなっている。かなり抽象的・文学的な作品ではあるが、ぜひシリーズを通してプレイしてほしい。

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カルタグラ~ツキ狂イノ病~ FHD (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 8時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写 抽象的作品

──それは、妄執と狂気に至る愛。」

Innocent Greyの処女作。昭和の東京を舞台に私立探偵の主人公が連続猟奇殺人事件を追う和風サイコミステリィADV。
ストーリーは短いながらエンディング数が18と多く、各ヒロインルートやバッドエンドにトゥルーエンドの伏線やミスリード要素が含まれているので、ガチガチの推理物ではないがミステリーADVとして楽しめた。また嫉妬や百合要素が絡む偏執(パラノイア)が物語上のテーマとして存在し、登場人物の様々な心情が表される読み物としても評価できる。
約20年前の作品だが、HDリメイクによってグラフィック・BGMのクオリティは相当に上がっており、華やかで儚い和風下町の世界観に入り込める。また主人公が遊郭を拠点としているという設定上、艶やかなヒロインばかりでH要素も秀逸。
本作は単体でも楽しめるが、同社の代表作であるカラノショウジョシリーズの前日譚的な立ち位置の作品となっており、一部のキャラクターや背景設定が後のシリーズに登場する。「殻ノ少女」のプレイを見据えたイノグレ入門編としてもおススメ。

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千恋*万花 (R-18/全年齢)

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 25時間〜

「乙女の恋は忍ぶれど──。
「全ては叢雨丸を掴んだ、その手の中に
──。」

萌えゲーアワード2016準大賞受賞作品。ギャグとテンポが絶妙なゆずソフトの第9作目。パッケージからは戦国時代物にも見えるが、由緒ある温泉街を舞台にしたジャパネスク現代物。誰も引き抜けないと言い伝えられる神刀叢雨丸を偶然引き抜いてしまった主人公が不思議な恋愛に巻き込まれる和風恋愛ADV。
和風テイスト代表格の作品であり、和楽器をベースとしたBGMと甘味・温泉・旅館等のシーンはまるで旅行をしているかのような気分を味わえる。
シナリオ面もヒロイン達との恋愛と過去の伝承を絡めた内容はH要素抜きでも勝負できるレベルのクオリティの高さを誇り、全体的にほんわかとしつつもクライマックスは感動。ムラサメルートはキャラゲーとは言わせない。

ゆずソフト全般に言えることとしてキャラクターにあまり癖がなく、シナリオの展開、背景設定もわかりやすいことが挙げられる。鬱シーン等も存在しないのでライト層のプレイヤーでも手を出しやすいブランドといえる。特に本作はゆずソフトの中でも頭一つ抜けていると思っているので、ノベルゲーム初心者には強くおススメしたい。

関連リンク


9-nine- (R-18/全年齢)

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 6時間~ (全4部作で25時間~)

「この世界は、キミを「 」した物語だった——。」
「——忘れられないこと、忘れてはいけないこと。」
「——2つのカタチ、2人のセカイ。」
「少女の夢——その果てに。」


ぱれっとの美少女ADVシリーズ4部作。アニメの厨二設定が現実になってしまった学園都市で繰り広げられるファンタジックバトル物。
本作は同じ世界観でストーリーが進行しながらも、各ヒロインに焦点が当てられた4つのエピソードから構成されているのが特徴。エピソードごとに各ヒロインとイチャイチャでき、ストーリー上の新要素も明らかになりつつクライマックスに近づいていく。特に最終章のエピソード4は123の伏線回収とプレイヤーの期待を裏切る演出が凄まじく、しっかりADVゲーム作品として物語を締めくくった。PVも鬼かっこいい。
全体的に話のテンポがよく恋愛あり感動ありでライトに楽しめるため、特にノベルゲームをあまり遊んだことがない人に強くおススメしたい。感情移入できる主人公による胸熱展開も多く、主人公=プレイヤーとして楽しめる作品でもある。
ストアによっては一括購入でお得になることもあるが、ひとまずエピソード1をプレイして様子をみることも可能。エピソード2の妹ヒロイン新海天のキャラが最高に良いので、できれば2までプレイしてそのまま4まで突っ走ってほしい。

「アニメ向きの作品だけど、アニメ化するの難しそうだなぁ」と思っていたら、なんとつい最近にアニメ化決定。ゲームならではの展開がどのように描かれるのか非常に楽しみ。

関連リンク


マブラヴ

引用: マブラヴポータルサイト

プレイ時間: 25時間~

──それは、とてもちいさな、とてもおおきな、とてもたいせつな、あいとゆうきのおとぎばなし──

マブラヴシリーズ第1弾の超王道学園恋愛ADV。平凡な日常を過ごしていた主人公の下に世界的財閥の跡取り娘が住み着き、幼馴染やクラスメイトを巻き込んで繰り広げる甘々おバカラブコメ。
というのは表向きで後にギャルゲーとは思えない壮大なストーリーに繋がる。シリーズ最高傑作である続編「マブラヴ オルタネイティヴ」の伏線が多数あり、よりキャラクターに感情移入できるようになる作品。
オルタネイティヴの概要を薄っすらと知っているプレイヤーの期待とのギャップのせいか、やや過小評価されている印象がある。たしかに面白さのクライマックスはオルタネイティヴだが、本作をプレイせずにマブラヴは語れない。「オルタネイティヴの前作」としてのみではなく、学園恋愛物としてもクオリティはなかり高いと思っている。ギャグ路線ではあるが。
学園での日常を描いたエクストラ編とオルタネイティヴに繋がるアンリミテッド編の2部構成になっているので、前者は恋愛、後者はSFとして二重に楽しめる。
マブラヴシリーズに少しでも興味があれば、もうこれ以上は何も調べずに無印→オルタネイティヴの2作品をプレイして欲しい。

関連リンク


SS

イハナシの魔女

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 8時間~

「このちっぽけな島が 俺たちの生きていく島だ。」

DLsiteアワード2022ゲーム部門受賞作品。沖縄を舞台に魔女と出会った高校生達の日常チックな非日常を描いた「ラブコメ×ファンタジー」のビジュアルノベル。青春・ボーイミーツガール的要素が強い。
伝奇・SF要素を絡めつつも、思春期特有の悩みや葛藤を優しく、時に鋭く描いた日常系作品の名作。ルート分岐はゼロでシナリオもやや短いが、各ヒロインに焦点を当てたシナリオが順番に展開され、視点が頻繁に入れ替わることでその主観が描かれるのでキャラクターの掘り下げが豊富。メタ発言やパロディネタも豊富でテンポが良くテキストも非常に読みやすかった。
メインヒロインのリルゥは刺さる人にはとことん刺さるクーデレヒロイン。リルゥ編は主人公達を追い詰める苦しいシーンもあるが、それを愛と友情で乗り越える名シナリオとなっているのでぜひ多くの人に読んでもらいたい。

関連リンク


この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 45時間~
注意事項: 鬱要素

「「物語」という名の迷宮へ‥‥
 並列世界を駆け巡る旅が、今、始まる。」


驚愕の1996年リリース。ゲーム業界に大きな影響を与えた伝説的SFアドベンチャーのリメイク版。主人公は失踪した父が残した装置を手に謎を解き明かすべく並列世界を渡り歩いていく。ノベルゲームというよりはアドベンチャー色が強く「移動する・話す・調べる・アイテムを使う」ことでストーリーが進行する。(推理ゲー・逆転裁判の探偵パートのようなイメージ。)
本作は主人公の行動と分岐を可視化したオートマッピングシステムが特徴的で、達成率が100%に近づいていくワクワク感がたまらない。登場人物の発言や背景設定に古臭さは感じるが、フルHDリメイクによって演出やシステム面は現代でも通用するレベルになっている。
シナリオは終盤の展開が突飛でやや駆け足ではあるものの、オートマッピングシステムも相まって中盤はとにかく先が気になってのめり込んだ。グランドルートでは想像もしなかった方向に物語が進み、初見での衝撃とワクワク感は今でも覚えている。長編かつ攻略難易度が高い作品なので面倒な周回を要求されることも多々あるが、達成率100%を目指してじっくりプレイしてほしい。

関連リンク


シンフォニック=レイン

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 13時間~
注意事項: 鬱要素

「雨、いつまでも、止むことなく降り続ける雨。
……さぁ、妖精の歌を奏でましょう。」

工画堂スタジオのくろねこさんちーむが送るミュージックアクションゲーム第3弾。舞台となるのは架空のイタリア、雨が降り続ける街ピオーヴァの音楽学院。故郷に想い人を残した主人公が卒業課題のパートナー探しと揺れ動く心に葛藤する恋愛ADV。
本作は可愛いデザインに反してかなり毒のあるシナリオが特徴的で、ダイレクトな描写と言葉でじわじわくる鬱展開のダブルパンチがやってくる。不完全燃焼感が残る個別ルートの伏線を、衝撃のグランドルートが回収してくれるシナリオの構成力も圧巻。「これってこういうことだったんだ…」の考察で2度楽しめる作品。
PCのキーボードをピアノに見立てた音ゲー要素もあり、岡崎律子氏が作詞作曲した各ヒロインのキャラクターソングが楽しめる。難易度は高めだがスキップ可能なので音ゲーが苦手でも本編をプレイする上では問題なし。洋風の世界観から海外ウケも良く、約20年前からリニューアルを繰り返し続けている名作。

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月に寄りそう乙女の作法 (R-18/全年齢)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 20時間~

「ありがとうございます、お優しいルナ様」

Navel設立10周年記念の代表作にして萌えゲーアワード2013大賞受賞作品。デザイナーに憧れた主人公が男子禁制の服飾専修機関で学ぶため、ヒロインの専属メイドとして学園に潜り込む女装系恋愛ADV。
コミカルな下ネタを中心に繰り広げられる日常パートは非常にテンポがよく、5人目のヒロインとして女装メイドに染まっていく主人公の様子が面白い。男子バレのヒヤヒヤ感やシリアスな場面もあり、最初から最後までメリハリを持って楽しめた。
ヒロインの中ではルナ様こと桜小路ルナが可愛くてイケメンで魅力的で最強であり、本作はもちろん、ほとんど登場しない後続作品のキャラクター部門でも1位を獲得するほどの人気を誇る。乙女も唸る主人公との主従関係は必見。個別ルートの展開は似たり寄ったりなところもあったので、ルナ様を1周目で思いっきり楽しめればいいかなと思う。
Steam版は主人公ボイスとアフターストーリーが搭載済み。DMM版もアペンドディスクを別途購入することで完全版になる。

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智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 30時間~ (本編10時間~ ミニゲーム20時間~)
注意事項: 鬱要素 抽象的作品

「人生の宝物を探しにいこう」
「みんなの夏が始まった。5人で過ごす、最初で最後の夏休みが…。」


CLANNADに登場するヒロイン坂上智代に焦点を当てた外伝。智代ルートのその後、智代に関わる5人の不思議な共同生活を描く。麻枝准氏の私的作品として開発されたこともあり、非常に実験的かつ衝撃的な結末が賛否両論を呼んだことで有名。現在はエンディングが補足的に修正されたこともあり再評価路線。ファンディスクを望んだ人からすればあまりに救いようがない結末は駄作認定まっしぐらであるが、個人的には坂上智代の人物像の描き方としては一番の形だと思った。
数は少ないながら「Hope」「Old Summer Days」等のBGMのクオリティも高く、シナリオの内容と相まって閉鎖的で陰鬱な感じがしつつも、どこか懐かしい夏を思わせる独特の雰囲気がある。シナリオ以外での作品全体の世界観が個人的にはかなり好み。
本編クリア後にはダンジョン踏破型RPGミニゲームが遊ぶことができ、こっちが本編といわんばかりの難易度の高さを誇る。
DL版はSteamしか存在せず日本語非対応なので注意。(主人公フルボイスのため比較的英語版でも遊びやすい方ではあった。)CLANNADを紹介する以上は外せない作品だと思ったため掲載した。

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はつゆきさくら (R-18)

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 15時間~

「初雪から桜まで、卒業おめでとう」

SAGA PLANETSの四季シリーズの最後を飾る恋愛ADV。復讐に囚われた不良少年の主人公が学園でのヒロイン達との交流を通じて本当の自分を探していく物語。作中ではゴーストと呼ばれる幽霊が物語の鍵を握り、オカルティック現代ファンタジー的な世界観で描かれる。Getchu.comの美少女ゲーム大賞2012ではシナリオ部門、音楽部門、総合部門で1位に輝いている。
この作品は本当に綺麗なハッピーエンドがなく、ご都合エンドでも許したくなるほど切ないシーンばかり。どのヒロインも主人公に一途過ぎて、だからこそ報われない結末が辛かった。オカルティックな背景設定はやや掴みにくいが、個別ルートでは散りばめられた様々な伏線はグランドルートでそれなりに回収してくれるので後味はすっきり。
筆者は裏ヒロインこと小坂井綾推しで、綾ルートは「これを序盤に攻略させるの鬼か?」と制作陣に言いたくなるほど重くて印象に残った。

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メモリーズオフ-Innocent Fille-

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 25時間~
注意事項: 鬱要素

「これは、かけがえのない──
 そして負けない、想い (コイゴコロ) 」


学園恋愛ADVメモリーズオフシリーズ8作目。主人公はとある事件で恋人を失った過去のある札幌の高校生。国内交換留学制度での湘南の高校への転入をきっかけにかつての親友や新たな友人と出会うことになり、過去の恋愛と向き合い未来へ進んでいくメモオフらしさ全開のシリーズ最終作。
本作は恋愛要素重視のライトサイドとサスペンス要素重視のヘヴィサイドから構成される2面性のあるシナリオが特徴的。各ルートにおけるミスリード描写の積み重ねによって隠された真相は最終作に相応しいラストだった。一方でサスペンス要素が強い分、シリーズの中でもヒロインとのイチャイチャ要素は少なめ。(ちなみにライトサイドに関しても展開は全くライトではないので注意。)
シリーズファン向けに歴代ヒロインがサブキャラクターとして再登場しているが、歴代シリーズとストーリー上の直接的な繋がりはないためいきなりIFからプレイすることも可能。
なお2024年には新作「メモリーズオフ 双想」の発売が予定されている。シリーズ最終作とは如何に。

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S+

アオイトリ (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 20時間~
注意事項: 抽象的作品

「それは祈りが紡ぐ、命の物語──」

男子禁制の学園を舞台に性交渉を行った相手を幸福にする神父の主人公とヒロインの関わり合いを描いた恋愛ADV。萌えゲーアワード2017では主題歌「アオイトリ」が主題歌賞金賞を受賞している。
シナリオとH要素が強く結びついているTHE・R-18作品であるが、下品さを感じさせない工夫が随所に光る作品。舞台となる学園は閉鎖的なミッション系女子校であり、異国の洋館を思わせる幻想的な背景CGの数々は雰囲気バツグン。
シナリオは「凡人・普通であることに対する葛藤」をテーマに海外の演劇や小説を絡めた展開がなされ、恋愛物というよりは文学的読み物のような内容となっている。かなり抽象的だがメッセージ性は感じた。ヒロインのメアリー・ハーカーがめちゃくちゃ可愛く、日常パートも適度に描かれるのでキャラ重視でも楽しめるとは思う。
「アマツツミ」とは姉妹作のような立ち位置にあり、どちらを、あるいはどちらから遊んでもOK。個人的には本作「アオイトリ」の方が表面的な面白さでは勝っていたのでサクサク読みやすかった。

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VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 12時間~
注意事項: 抽象的作品

「一日を変え、一生を変えるカクテルを。
あなたのカクテルが、誰かの運命を変える。」

日本のレトロカルチャーに影響を受けた海外産サイバーパンク系ビジュアルノベル。主人公は「VA-11 Hall-A」のバーテンダーとして、ディストピアを生きる人々の話を聞き理想のカクテルを提供する。サブタイトルにアクションとありつつも、コマンドでカクテルを提供する以外はほとんど一本道のビジュアルノベル。特定のカクテルを提供することで小ネタや個別エンドが見れたりする要素は存在する。
本作はキャラクター人気とセクシャルトークを中心に主観をよく描いたシナリオが評価されており、海外を中心に強く支持を受けている。一方で日本のレビューではつまらないという意見をチラチラ見かけることもあり、万人受けするかは微妙な雰囲気ゲーともいえる。あっと驚く展開はないが、ちょっとした読み物を求めている人には特におススメ。
仮に雰囲気ゲーと割り切ったとしても演出面のクオリティは高く、表情豊かなドット絵に加えてバラエティに富んだBGMはジュークボックスで自由にカスタマイズが可能。SFアドベンチャーとは異なるベクトルでサイバーパンクな世界観に没入できる一作。

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俺たちに翼はない (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 20時間~
注意事項: 抽象的作品

「ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たち。
 彼らが出会う、恋ともろもろ。
 それはきっと何処にでもある、ありふれた物語。」


ちょっぴり不思議な青春群像劇をテーマにしたNavelの恋愛ADV。異世界グレタガルドで聖騎士として戦う気弱な高校生、バイトを掛け持ちするイケイケの貧乏フリーター、便利屋と肉体労働で食いつなぐ自称ハードボイルド系不良少年の3人の主人公の日常と関わり合いを描いた作品。
あらすじの通り厨二・ヤンキー・電波系といった一世代古いネタがテンコ盛りの日常パートはNavel節が炸裂。全体的に好みの分かれる作風ではあるが、2人目の主人公であるイーグル編はヒロイン、サブキャラクター共にキャラが明るく、恋愛要素とコミカルな下ネタでテンポよく物語が進むのでかなり面白かった。一方でそこに到達するまでの序盤の展開がかなり微妙なので、早い段階で切り捨てずに何とか根気よくプレイしてもらいたい。イメージとしては面白くなるまでに5時間、めちゃくちゃ面白くなるまでに10時間くらいかかる。
3人の主人公の関わり合いにも面白い仕掛けがあり、癖強日常パートを除けば群像劇としてはよく構成された作品。一方で日常風景がメインで描かれる作品のため、劇的な展開や刺激を求めている人にはあまりおススメしない。

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沙耶の唄 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 4時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写

──それは、世界を侵す恋。」

元祖ニトロプラスのグロテスクでサイコなサスペンスホラーADV。交通事故による知覚障害で世界が激変した主人公の下に突如現れた一人の少女との物語。
かなり狂気的な世界観で描かれる作品ではあるが、当時流行した電波系の作品とは一線を画する美しく切ないシナリオ構成からしばしばグロゲーにみせかけた純愛ゲーともいわれる。メインヒロインの沙耶はとにかく狂っているが、めちゃくちゃ可愛いので主人公もプレイヤーも何も言えない。
画面全体にテキストが表示されるデジタルノベル方式で物語が進むため、短編小説のようにサクサク読める。選択肢は2つのみと非常に短いが、それでも世界観のインパクトは抜群、深くは語らないエンディングはかなり余韻が残る。ダークな作品に耐性がある人はもちろん、ニトロプラス入門編としてもおススメ。

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レイジングループ

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 15時間~
注意事項: グロ描写

「おおかみをくくれ。よみびとを絶やせ。」

携帯スマホゲームで知られるKEMCOのリアル人狼ゲームをテーマにしたホラーサスペンスノベルADV。「週間ファミ通」新作クロスレビューゴールド殿堂入り作品。
とある閉鎖集落で発生した実際に人が殺されてしまうリアル人狼ゲームから生き残るため、集落関係者が騙し合いの心理戦を繰り広げ、その中で何故巻き込まれたのかを探っていくワクワク感が非常に面白かった。基本的には主人公のゲーム進行に乗っかった上で吊りやCOといった重要な局面でプレイヤーが選択肢を選ぶ仕様になっているので、人狼初心者でも問題なく楽しめる。
またもう一つのテーマとして「死に戻り」という設定があり、様々な役職、結末を迎える複数のルートを攻略できる。選択肢を間違えてもシナリオチャート機能でヒントを得た上で分岐まで戻ることができるのでプレイも快適。
唯一気になった点としては個人的に伝奇・SFの絡んだ結末のインパクトが弱く感じてしまい「人狼ゲームをしている時が一番楽しかった…」となってしまったところ。とはいえプレイ時間の大部分は楽しませてもらった点は高評価。

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S

eden* They were only two, on the planet. (R-18/全年齢)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 4時間~

「死にゆく楽園(ほし)へ、最後のラブストーリー。」

地球脱出を余儀なくされた終末世界を舞台とするインタラクティブノベル。最期の時を地球で過ごしたいと望む少女と、それを束縛する護衛任務にあたる主人公との恋愛物語。
物語自体はありきたりといえばありきたりの純度100%ラブストーリー。だが主人公とヒロインはもちろん、その周りで関わる人々の私情を優先する熱い想いがセリフ・行動の随所から読み取れたので、めちゃくちゃ感情移入できた。
演出面も10年以上前の作品とは思えない程クオリティが高く、CGはアニメーションのように背景と立ち絵が一体となってキャラクターのセリフに合わせて目や口が動く力の入れ様。ゲーム中に選択肢は存在せずシナリオも短いものとなっているが、非常に濃密な時を過ごせた作品。

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君と彼女と彼女の恋。 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 8時間~
注意事項: 抽象的作品

「君が、好きです。」

平凡な主人公と学園のヒロイン、電波少女の3人の奇妙な恋愛模様を描いたニトロプラスの怪作。公式ではオルタナティブADVというジャンルの作品であり、文字通りプレイヤーは二者択一を迫られることになる。
レビュー書いておいて何だお前と言われるかもしれないが、本作は1発ネタの挑戦的な作品なので事前情報0でプレイすることを推奨する。正直PVも見ない方がいい。プレイ中も攻略サイトは見ずに、詰んだと思っても試行錯誤を繰り返してエンディングに辿り着いて欲しい。
唯一言えることはライト向けの作品ではないこと。ノベルゲー、ギャルゲーの類をある程度プレイした上で深みが出るディープな一作。

※いやでも「ちょっとくらいは内容を知りたい」「作風くらいならネタバレあってもいい」という人もいるでしょう。以下ほんのり解説します。





注意事項: 鬱要素 グロ描写
以上。

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CROSS†CHANNEL (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 15時間
注意事項: 鬱要素 グロ描写 抽象的作品

「生きている人、いますか?──」
「この空が消えてなくなるその日まで──」

名シナリオライター田中ロミオ氏の代表作。夏休みを前にバラバラになってしまったとある学園の放送部のメンバーが繰り広げる青春アドベンチャー。田中ロミオが表現したかった全てがここにある。
一般論で評価すると「よくわからないんだけどなんか凄い」作品。主人公のキャラクター・テキスト文体の癖が強く「哲学」と取るか「電波」と取るかは人次第。メッセージとしては「人と普通の付き合いがしたいのにそれができない不器用さや葛藤、その中で見出す友情や愛情」のようなものが描かれている。(気がする。筆者には難解過ぎる。)
シナリオはSF要素を含むループ物であり、登場人物が狂っていったり、その謎が徐々に明かされていく展開は面白い。エンディングも深い終わり方で癖の強さを加味しても感動作ではあった。ただ仕掛けが凄さが売りの作品ではないので、SFよりはヒューマンドラマ系の作品が好きな人に刺さりやすいと思う。

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Geminism 〜げみにずむ〜 (R-18)

引用: DMMストアページ

プレイ時間: 4時間~
注意事項: 鬱要素 グロ描写 抽象的作品

「私、不完全な双児形(シンメトリー)──。」
「サァサお立合い、夜半の忌事、はじまりはじまり
──。」

「さよならを教えて」のCRAFTWORKが22年振りに復活。双子姉妹が身体のパーツを奪い合う惜夜(あたらよ)のしあわせ探しADV。直近の萌えゲーアワード2023ではユーザー支持賞・シナリオ賞・サウンド賞・続編希望賞を受賞した注目作。
開幕から怒涛の戦闘シーン・グロ描写が繰り広げられインパクト抜群。シナリオの展開はなんとなく予想がついたが、プレイヤーの気になる点をぼやかして物語に引き込む力が強かった。
モダンとレトロをミックスした独特な世界観も味があり、それを支えるグラフィックとBGMも高クオリティ。シナリオ以外の要素も平均点が高い。
またヒロイン姉妹の背後で暗躍する男キャラ2人組が魅力的な堅物&チャラ男コンビで、この2人を中心に続編を作ってほしいとも思った。続編希望賞受賞も納得。

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白衣性恋愛症候群 RE:Therapy

引用: 任天堂ストアページ

プレイ時間: 12時間~
注意事項: 鬱要素

「再び出会う、白衣の天使たち‥‥
 ひとりの看護師として、そして、ただの女の子として。」


工画堂スタジオのしまりすさんちーむが送る白衣性シリーズ第1弾。おっちょこちょいな新人看護師の主人公が、先輩や患者さんとキラ☆ふわガールズラブを繰り広げる百合恋愛ADV。
看護師ならではの日常エピソードがシナリオの多くを占め、しばしば専門用語の解説を挟みながら描かれる内容はかなり本格的。患者さんとの距離の取り方や、規則と私情のどちらを優先するかといった考えさせられるテーマも。
また本作はADVゲームとしての攻略難易度が高く、非常にやりごたえがある。分岐の選択肢に抽象的なものが多かったり、ヒロインの性格が捻くれていたりとギャルゲーの正攻法では攻略が難しく、加えて一部ルートでは1ミスでグッドエンドに行けなくなるため、プレイヤーはヒロインの性格や心情を真剣に考える必要がある。
さらに攻略に失敗した末のバッドエンドも特徴的。キラ☆ふわガールズラブとのギャップが凄く「え?そっちの方向行っちゃう?」と思わず言いたくなるほど内容がえげつない。各エンディングは1シーンで短いが、怖いもの見たさでプレイしてみるのもあり。
なおタイトル名が無印であるSteam版も、内容は完全版のRe:Therapyなのでしっかり追加ヒロインまで攻略可能。

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おわりに

いかがでしたでしょうか。今後筆者も忙しくはなりますが、ノベルゲーム開拓はのんびり続けていくつもりではあるので、冒頭で述べたように本記事もアップデートしていければと思っています。


最後に名言を一つ。

漫画でも映画でも、物語を面白くする方法は同じです。
それは登場人物を追い詰めることです。
マブラヴはそれを教えてくれました。是非、極上のストレスと極上の解放感を味わっていただきたいです。

諫山創先生からのコメントが到着しました | アニメ マブラヴ オルタネイティヴ 公式HP (muv-luv-alternative-anime.com)


皆さんのノベルゲームライフに幸あれ。


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