見出し画像

初めての海水魚飼育で大切なこと

あろは〜、カラッパ伊藤です。
はじめまして、とある観賞魚ショップで海水魚の販売をしている魚マニアです。
ノートで色々と楽しくかけたらな、と思い始めてみました。
初投稿は、これから海水魚を飼育してみたい方への簡単だけど大切なアドバイスを書いてみたいと思います。

カクレクマノミやイソギンチャク、ダンゴウオや釣魚、サンゴ等々、海の生き物の飼育に興味がある方はお役に立つかもしれません。

お店をコロコロ変えない。


これは私がとても大切だと思っていることです。
生き物の飼育には正解がないので、ショップさんごとに考え方や管理方法が全く違います。
さらに言うと、スタッフさんごとに考え方が違う場合も多いと思います。
お客さんへのアドバイスは、スタッフさんのこれまでの経験や知識によるものが多いですから違うのは当たり前ですよね。

洗剤の混ぜるな危険のようにAさんとBさんのやり方を混ぜちゃうと上手くいかなかったりマイナスに働いちゃうこともあるんです。
なんて言うんでしょうね…
料理も初心者さんがAさんのレシピとBさんのレシピをごちゃごちゃにすると不味くなっちゃったり、失敗したりすることがありますよね?そんなイメージです。

ずっと同じスタッフさんにお世話になっていれば、水槽のこともある程度把握してくれているため、何かトラブルがあった際に原因を特定し易く、対処し易くなります。

ですから、経験値を積んで中級者になるまでは、『いつものお店』『いつもの人』がオススメです。
もちろん、自分に合わないと思ったり、しばらくしても上手く飼育できない場合には次のお店を探しましょう!

大型のショップさんだとスタッフさんが複数いて『いつもの人』がお休みの場合もあるので、名前を覚えておいて「〇〇さんは今日はお休みですか?」と聞けるようにしておくと良いかもしれません。
そうすると、お休みの場合でもそのスタッフさんに「〇〇さんが来られて〜」と相談内容が後日伝達されると思います。


お店選びは慎重に。

たまたま立ち寄ったペットショップやホームセンターで映画の主役そっくりのカクレクマノミを見て飼いたくなっちゃう方も多いと思いますが…

その勢いで「これください!」とスタッフさんに声をかけるのはちょっと待ってください。
どこのお店で買うかであなたの運命が決まります。
魚がすぐに死んでしまうと相談に来られた初心者さんに色々お聞きすると、一通り揃えた飼育用品が海水魚の飼育には不十分なものばかりだったり、間違った飼育方法を説明されてしまっている場合もよくあります。

じゃあ、どこで買えば良いの?

初めての方でも分かるお店選びのコツの一つ目は、お客さんにもNOと言えるか。
不向きな用品や元気のない生き物でも、お客さんが「これが欲しい」と言ったら売ってしまうお店もあります。その日の売り上げになりますからね。
良いお店、つまり海水魚飼育のしっかりとしたノウハウのあるショップさんは、そこを我慢して「それは向いてないです」とか「その子は調子良くないです」とダメなものはダメと言ってくれます。
海水魚飼育を長く楽しんでいただきたいですし、ショップ側としても上手く飼育してもらって末永くご愛顧いただきたいですからね。

中には、より高い用品に誘導したいだけのお店もありますが…

と言うことで、まずは他のお客さんとの会話をこっそり聞いてみるのも良いかもしれません。
良さそうなスタッフさんであれば、接客が終わるのを待って相談してみましょう。
海水魚を初めて飼育すると話せば、必要なことを質問してくれると思います。
例えば私なら置き場所や部屋の環境、魚の飼育経験や予算等をお聞きします。
相談内容に合った用品で見積もりをしてくれて、もし低予算で不十分な機材の場合はデメリットもしっかりと伝えてくれるお店がオススメです。

用品の充実しているショップさんで

今は海水魚を扱うお店も増えてきましたが、残念ながら専門的ではないお店も多いのが現状です。
初めての方がお店のスキルを把握するのは至難の技、耳触りの良いセールストークに騙されちゃう可能性も高いです。
私も初めて本格的に海水魚を買い始めるときに騙されました…

そんな時は海水魚用品を観察してみましょう。
お店の規模にもよりますが、専門的な知識のあるショップさんならプロテインスキマー[※1]やシステム高性能LEDライト、水流ポンプ、オーバーフロー水槽[※2]等々、お客さんの要望に応えられるように色々なメーカーの様々な機材が並んでいることが多いです。
人工海水[※3]や餌、水質を調整する添加剤も様々な種類が並んでいると思います。

海水用品はペット用品の問屋さんで扱っていないものも多く、『海水用品が多い=いろんなメーカーさんと取引している可能性が高い』、つまりは海水魚に力を入れて頑張っていると思ってもらって良いと思います。
いろんな所から卸していると手間や利益的にも効率的ではないですからね。
厳選されたプロショップさんにしか卸していないメーカーさんや、優良プロショップさんにディーラー証明書みたいなものを発行しているメーカーさんもあるので、店内を探してみるのも良いかもしれません。

魚の状態を見てみよう

お店の飼育スキルを測りたいわけですから、販売されている生き物の状態を見定めることが一番大切ではあります。
ですが、これから飼育を始めたいビギナーさんにはなかなか難しいと思います。
実際に中級者さんと思われる方でも生体の状態を見極めるのは困難で、「この個体よくないですよ」と現在の状態と今後どうなる可能性があってどんなお世話をしたら良いかをお話させてことがよくあります。

と言うことで、どこのお店でも販売されている可能性が高い大人気のカクレクマノミを指標とするために、ビギナーさんにも分かり易い見分け方を書いておきますので、元気の良いカクレクマノミを販売しているか観察してみてください。

カクレクマノミの元気の良い子は尻尾や背中、お腹のヒレをしっかりと広げて好きな場所を泳いでいます。元気の無い子はヒレを全部畳んでしまって、水槽の隅の方でヨレヨレと泳いでいることが多いです。

元気なカクレクマノミはイラストの赤矢印のように各ヒレをピンと開いている。
元気のないカクレクマノミは矢印のように各ヒレを畳んでいたり、背中が白っぽくなっていたりする。

生き物ですから入荷のタイミング等で元気のないこともありますが、何度か見学に行っても毎回元気がないようでしたら、海水魚を管理できる基本的なスキルがないかもしれません。

ネットのレビューや友達の勧めは?

ネット上のレビューを参考にしたり、お友達に聞いてみるという方法もあります。
ただ、小さなお店が多く、スタッフさんとお客さんの相性の問題もあると思いますので、あくまで参考程度にしておいた方が良いかもしれません。

また、ショップさんによって得意な分野が違いますので、レビューした人の欲しいものを扱っているのかによって評価が変わってくるかもしれません。
例えばAサンゴと言うサンゴの在庫が少ないとその他のサンゴや魚の在庫が豊富でも、Aサンゴが好きな方には『サンゴの品揃えが悪いショップ』や『生体が少ないショップ』と言う評価になってしまうこともあります。
ですから、人の評価も参考にしつつ実際に足を運んでみた方が良いと思います。

何件かのお店を回って話をしてみたりして、一番ご自分に合ったお店を選んでみてくださいね。


のんびりゆっくり楽しもう。

生き物を水槽で飼うと言うことは、水槽の中に生き物が生活できる環境を作るという事です。
私は初めての方に説明する際に「カクレクマノミを入れるのは立ち上げてから一ヶ月後ぐらいが良いですよ」「のんびりやっていきましょう!」と話をします。
これは経験上、水槽が落ち着いてくるのに短くて一ヶ月、長いと半年以上かかかると感じているからです。
新しい水槽で、生き物が何もいない環境にライブロック[※4]や濾過バクテリアの素、テストフィッシュ[※5 ]を投入して、水を適度に汚しつつバクテリアを繁殖させてバランスの取れた水槽を育てていくことが大切なのですが、ここでバランスを崩してしまうとなかなか水槽が立ち上がらず、『コケだらけの水槽』『魚がすぐ死んでしまう水槽』になってしまいます。

水槽も順調に立ち上がり魚もみんな元気…となってくると、どんどん生き物を追加したくなってしまう方も多いです。
私もそんな感じです。
ですが、水槽にも目には見えない許容量があって、それを超えてしまうと水槽のバランスが崩れトラブルが増えてしまったりします。
全く同じ用品を使っていても、お世話の仕方や設置場所によって水槽の許容量が変わってくるため、私たちでもお客さんの水槽の許容量を見極めるのは難しいです。
ですから成長や泳ぐスペースも考えて、魚の数はちょっと寂しいぐらいに留めておいて、水槽のお世話をしていく中でゆっくりと生き物の量を見極めていきましょう。

ということで海水魚飼育で焦りは禁物です。
のんびりゆっくりお願いします。
もちろん、病気やトラブルには迅速な対応が必要ですが焦ってはいけません。
薬は事前に揃えておいたり、人工海水の素も余裕を持って備蓄しておいた方が良いかもしれません。
余裕を持って海水魚飼育を楽しんでみてください。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
海水魚飼育は難しいと言う漠然としたイメージが定着してしまっていますが、それは正しくはないと思います。
どうして『難しい』と言うことになってしまったのか…大体の予想はついていますので、いつか文章にまとめられたらと思っています。
カクレクマノミにご興味のある方、ハリセンボンが好きな方、サンゴの美しさに見惚れてしまった方、海水魚飼育は手間のかかるところもありますが、とっても楽しいですよ!
ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。

注釈

  1. 細かな泡で水中から汚れを濾し取るための機材。

  2. 二段式の水槽で上段から溢れた水が下段に落ちていき、下段からポンプで上段に水を組み上げる仕組みになっている。上段が生き物を飼育するための水槽で下段が濾過槽になっている場合が多い。

  3. 真水に溶かすことで海水に近い成分の水を作ることができる商品。

  4. Live Rock(生きている岩)。サンゴの骨格が海中で風化し石のようになったもの。様々な生物や濾過バクテリアの住処となっており濾過能力もある。

  5. 水槽を立ち上げるために最初に入れる水質の悪化に強い生き物のこと。デバスズメダイ等のスズメダイがよく選ばれる。



この記事が参加している募集

ペットとの暮らし

執筆のための検証や経験値アップ、資料購入に活用させていただきます。