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精神科 救急急性期病棟への入院記録

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自殺を図り精神科専門病院の救急急性期病棟へ入院した時の記録です
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精神科 救急急性期病棟への入院 #23

※前回の続きです 入院に掛かる費用のこと 閉鎖病棟と急性期病棟では費用が違ってくるらしいのですが、私の場合は国保の3割負担で1ヶ月あたり約30万の費用がかかりました。 ※高額療養費制度などを利用すれば実際に支払う額は三分の一程度になります。 そもそもの話として、入院をしなければならない状態であるということは、当然ながら仕事をできるような状態ではないということです。まずは療養することを最優先に考えて、ありとあらゆる国の制度を利用しながらしっかりと休むことが重要だと思いま

精神科 救急急性期病棟への入院 #22

※前回はこちらです この先、もしかしたら精神科に入院することになるかもしれない、あるいは、自分から入院を希望することになるかもしれない。もしそんな方がいたら、私の体験が何かの役に立つかもしれないので、精神科の閉鎖病棟についての私なりの印象や雰囲気などを記載しておきます。 私は医療保護入院だったので、入院中はずっと閉鎖病棟で過ごしていました。そして、その頃はコロナの第7波の真っただ中ということもあり、面会や外出、外泊等はかなり制限されていました。現在では緩やかになっていると

精神科 救急急性期病棟への入院 #21

※前回はこちらです ノンバイナリーという気質を受け入れることができたこと 私は子供の頃から男の人がとても苦手です。それは幼少期の体験が大きく影響しているのかもしれません。 男の人が苦手だから、自分が男であるということにもずっと違和感を感じて生きてきました。いかにも男っぽい服装は嫌だから、着ている服などはユニセックス系ばかりです。髪も少し伸ばして、アクセサリーも付けてお洒落をしてみたい。子供の頃からずっとそう思ってきました。Xがきっかけで所謂「V系」の音楽を聴くようになっ

精神科 救急急性期病棟への入院 #20

※前回はこちらです 90日間の入院で、人の優しさに触れることができたこと 生まれて初めての入院が精神科の閉鎖病棟。しかも私の場合は3ヶ月の長期入院でした。初めての保護室、初対面の看護師さん、初めての病院での食事、初対面の患者さん達。目に映るものすべてが初めての事で、戸惑うことばかりの日々が続きました。 私には親もいないし兄弟もいません。東京に親戚はいるけれど、今は疎遠になっていて迷惑を掛けたくないから連絡を取ることもできませんでした。知人や友人と呼べる人もあまり多くはな

精神科 救急急性期病棟への入院 #19

※前回はこちらです コロナに掛かったからこそできた自分自身への問いかけ コロナの隔離期間が終わるまでの約6日間。部屋に居ても何もすることがなかった私は、今の自分、そして過去の自分と向き合うことにしました。 自分の病気の事。どうして自分は入院することになったんだろう。何がいけなかったんだろう。そして、退院後の生活のことなどもいろいろと考えました。 今は病院のスタッフの皆さんが私のことを守ってくれる。些細なことでも相談できる人がいて、つらいことがあって落ち込んでも、大丈夫

精神科 救急急性期病棟への入院 #18

※前回はこちらです とつぜん発疹が出る しかも大量に 翌日の朝。 熱は平熱に戻りました。もうすっかり元気です。ただ、食欲はほとんどなくて、食事はまだゼリー食です。ずっと寝てるだけだから、たいしてお腹も減りません。最初は甘くて美味しいと思ってたけど、3食甘いゼリーが毎日続くとさすがにちょっとしんどくなってくる。リンゴとコーヒー味はなんとか大丈夫。でもバナナ味がつらい。見た目が黄色なので今回はプリン味かも?と思って食べるとまたバナナ。もう失意のどん底です。 今はもう大丈夫で

精神科 救急急性期病棟への入院 #17

※前回はこちらです 10日間お風呂無し 苦行です 翌朝。 目が覚めると外は明るくなっていて、時計を見ると朝の5時半。少し熱が下がった感じがして、体の痛みもずいぶんと和らいだ感じがする。 床頭台に置いてある体温計で熱を測ってみると37.6度。まだ熱はあるけど、昨夜から2度も下がっているのですごく楽。 朝の9時過ぎ、日勤の看護師さんが部屋にやってくる。2ヶ月以上も入院してるので、この病棟の看護師さんとはもうすっかり顔なじみです。 ――おはよう〇〇さん。調子はどう? 眠れ

精神科 救急急性期病棟への入院 #16

※前回はこちらです これは何かの罰ゲームですか?  7月の下旬だというのにものすごく寒くて、毛布2枚でも凍えそうなぐらいに寒い。体を動かすと全身が痛いし、じっとしていても痛い。上を向いても横を向いても痛い。体が痛くて眠れない。何をどうしても痛い。でも耐えるしかない。ただひたすらに耐える。苦行です。 午後4時を過ぎた頃。ようやく主治医の先生と看護師さんが部屋にやってくる。 「〇〇さん、大変だったね。今はまずゆっくり休んで下さい」 大変だったねって、、。昨夜からずっとこ

精神科 救急急性期病棟への入院 #15

※前回はこちらです 再び隔離される  どこか遠くの方で声がしたような気がして目を開けると 「〇〇さん、おはよう。念のため、部屋移動するからね」 あ、、、天使の看護師さん… よく見ると隣には師長さんもいる 朝からいったい何のお話しですか?… 頭がぼんやりして状況が良くわかってない。 移動するというのでとりあえず立ち上がろうとするも、フラフラしててまともに歩けそうにない。看護師さんに「そのまま寝てていいよ」と言われ、ベッドのままズルズルとどこかへ運ばれていく私。 連

精神科 救急急性期病棟への入院 #14

※前回はこちらです 退院できるのはいつですか? それから数日後…。そういえば看護師のMさん、そろそろ退院って言ってたけどいつ頃になるんだろう。入院して2ヶ月になるし、先生に聞いてみようかな。でも自分の口から「退院したい」なんて言ったら逆効果になるのでは?。いやいや、むしろ私の口からその言葉が出るのを待っているのでは?。 そんなことが頭の中をぐるぐる回る。 前向きな私と、後ろ向きな私のせめぎ合い。 たぶんいろいろ深読みし過ぎなだけ。 とりあえず聞いてみないことには何も始

精神科 救急急性期病棟への入院 #13

※前回はこちらです 季節は流れ  6月の終わりが近くなった頃。 入院中にとても仲が良かった女性の方の退院が決まりました。 私がまだ部屋からはあまり出ずに、ご飯も部屋で食べていた頃。ホールで一人テレビを観ていた私に「ご飯を一緒に食べませんか」と声をかけてくれたのが彼女でした。 子供の頃から人とご飯を食べることが苦手な私は、ホールでご飯を食べることはもちろんのこと、それに加えて誰かと一緒にご飯を食べることなんて考えただけでも無理って思ってました。でも、せっかく声をかけてく

精神科 救急急性期病棟への入院 #12

※前回はこちらです 個別OTへ昇格 大部屋での生活にも慣れてきたある日のこと。新たに入院された患者さんも加わり、私はホールでいつもの仲良しグループの皆さんと一緒にテレビを観ていました。そこに作業療法士さんがやってきて、 「ちょっとお時間よろしいですか?」 別室でお話を聞くと、別フロアにある作業療法室で個別の活動をされてみてはいかがですか? とのこと。 ※作業療法室では作品作りや簡単なエクササイズ、SSTや栄養教室、他にも退院に向けたプログラム等も用意されています。

精神科 救急急性期病棟への入院 #11

※前回はこちらです 社会距離拡大戦略的な部屋移動 ホールの雰囲気にも慣れてきた私は感情の波も少なくなり、とても穏やかな入院生活を過ごしていました。部屋で本を読んでいる時間も多かったですが、食事の時間にはいつもホールに出て同じ席で同じ人とご飯を食べ、5~6人の女性患者さんともよく話すようになっていました。もちろんOTへは毎日参加。塗り絵に夢中な日々であります。 話し相手が女性ばかりなのは、私が男性に対して苦手意識が強いからです。決して私がモテるとかそういう類の話ではありま

精神科 救急急性期病棟への入院 #10

※前回はこちらです 病棟の都市伝説 入院生活も1ヶ月を過ぎた頃。よく話をするようになった女性の方から、誕生日には「誕生日食」というちょっと豪華な食事が出るらしいという噂を耳にし、誕生日が近かった私は少しドキドキしながら日々のOTに励んでいました。 更に別の女性の方から追加情報があり、 誕生日の前に看護師さんから好きなものを3つ聞かれ、いつものご飯にプラスしてその3つが出るらしい。 産婦人科で「お祝い膳」が出るのは知ってるけど、ここでそんなことってあります?。精神科専