近くて遠い地球
うなりながら飛び掛かる恐竜、海を悠々と泳ぐダイオウイカ-----
生き物が好きであったので、NHKの教育番組にはどれだけお世話になったことか。
ダイナミックな世界は古い古い地球の出来事だから、今私の立っている場所だって数億年の時間を経ているのだ。ウンウン。字面だけならわかるんだけれどスケールが大きすぎてなかなか想像ができない。
今はテレビを観なくても、SNSで日本津々浦々、世界の絶景だってみられる。壮大な音楽とともに空から、海の中から映し出される映像。ステイホームのコロナ禍にはかなり救われた。
地球に生きている実感というと怪しそうだけれど、どこかつかみどころがないという気持ちがずっと消えない。
日本国内だって海外だってディープでリアルな動画がたくさん溢れていいるのに、どうしてそれでも漠然とした絵空事みたいに感じるんだろう。
畑に出ていると、土の感触とか風の湿度や温度、虫が懸命に這っている様子がどうしたって見える。
世話をした野菜が育つ。かと思うと台風の影響で折れて枯れたり、引っこ抜いた雑草がゆっくり腐っていく。
毎日がじりじりした変化で特別新鮮ではないはずなのに、久しぶりに生活の絵空事感が忘れられる。
遠くの雨雲が近づいてきたなと思うと、雨のカーテンが田んぼを滑ってくる。近づいてくる雨に、本当に雲って移動するんだなと実感する。
SNSでなんでも見られる、臨場感が高くその場をほとんど感じられる。
だけれど、地に足を付けて生きる上では、私の場合農業をしながら自然を実感するのが一番だと思った。
不思議だ。農業でさえデジタル化が進み、一般にChatGPTが普及しても私は牛糞にまみれて土を触っている。
この生活は推奨できないけれど、発展に乗っかって、最先端を経験し続ける以外のせいかつも、ありだなと思う。
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