小学生の頃に納得できなかったこと
バトエンってご存知ですか?
バトルえんぴつの略で、鉛筆の6つの側面に「20のダメージ」とか「仲間を呼んだ2回ふる」とか「ミス」とか書かれていて、鉛筆を転がして出た面に書かれた文章に従って進行して、先にHPが0になった方の負けというゲームである。ポケモンとかドンキーコングのバトエンもあるようだが、僕らの時代は(たぶん今も)ドラクエのバトエンが主流で、バトエンといえばドラクエを思い浮かべる人が多いと思う。僕らが小学生の頃、学校で大ブームが起こり、僕も小遣いを握りしめておもちゃ屋に買いに行っていた。
おもちゃ屋には置いてあるが、バトエンは文房具だ。削れば普通に鉛筆として使用できる。ベイブレードや遊戯王とは違い文房具なので堂々と学校に持っていけた。鉛筆を転がすだけという正直地味な遊びだが、「学校に持っていける」の一点があるだけでそれらに追いつけるほどのアドバンテージだった。これを小学生の頃の自分は、「よく考えられた商品だなぁ」と感心していた。我ながらクソ生意気なガキですわ。
休憩時間に鉛筆を転がして「はい!50ダメージ!」とか遊んで我がクラスの男子は楽しく過ごしていたのだけれど、その日々は突如終わりを迎えることとなる。
「明日からバトエン持ってくんなよ」
担任の先生からバトエン禁止令が発表された。男子からはブーイングの嵐だった。そらそうだ。学校に持っていけるからこそ輝くバトエンなのだから、持ってこれないならポップな絵柄の鉛筆に成り下がってしまう。
ただ、僕はこのバトエン禁止令にみんなとは違う思いでモヤモヤしていた。禁止の理由を教えてもらえなかったからだ。
メーカー側は学校でも遊べるおもちゃを作るために、「文房具として販売できるおもちゃ」というアイデアをひねり出して生まれた商品に対して、学校側が明確な理由も説明せず「持ってこないでください」で禁止にするのは、幼心になんかズルいなぁと思った記憶がある。
でも、進んで発言なんてしたことのない気の弱い自分に荒れ狂う教室の中で、「なんで禁止なんですか?」と聞くことはできず、結局、禁止の理由を知ることは出来ないまま大人になった現在までモヤモヤを引っ張っている。
まぁ、今、考えてみると、そのうちバトエンを賭けて対戦する生徒が出たり、窃盗が起こったり、家庭の事情で買えない子が仲間外れにされてしまうといったトラブルの原因になると判断されたからとかそこらへんが理由なんだろうけれど。おそらく、先輩たちがキン肉マン消しゴムとかでやらかしてきたので、学校としてもある程度の予想も出来ていたのだろうし。ただ、なんでもいいので何故禁止なのか説明してほしかった。理由があれば納得出来たのにな。
でも、バレンタインにお菓子の持ち込みは許されてたので説明されててもやっぱり納得いかない。ビアンカもフローラもいないドラクエ5みたいな学生生活でのバレンタインめちゃめちゃ仲間外れだったぞ。
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