イケおじは若い頃からイケてる

今までの人生でモテた経験がない。

マジでない。ホンマにない。一度もない。

バレンタインデーにロッカールーム開けたらチョコレートドバドバー!みたいな漫画みたいな展開はないにしても、文化祭を意中の女の子と二人で回ったり、卒業式で女子生徒から制服の第二ボタンを催促されたり、「もしかしたら、そんなんあるんかな」とみてくれも内面も悪い自分みたいなもんでも、ちょっとは想像しましたよ。

結果、文化祭は2Pカラー3Pカラーみたいな陰キャ友達と食堂で8時間悪戯に時を過ごし、中高共に制服は無傷で帰宅。卒業式でボタン全部取られたって経験してるのに芸能界入ってまだええ思いしようとしてるイケメン俳優ってどんだけ強欲やねん。無関係のイケメン俳優に嫉妬して毒づくほど自分はとにかくモテない。

ただ、ひねくれネガティブ思考だが楽観的な部分持ち合わせているので、「そんなん言うてもいつかはモテる日が来るだろう」とか思っていた部分がある。「モテ期は三度くる」は都市伝説だとしても、生きてりゃ一度ぐらいは来るだろうと。しかし、最近になって「あっ、これは一度モテを経験しない人生だわ」と察した。いくらなんでもモテなさ過ぎるし、あと、気づけばもうおじさん片足を突っ込んだ年齢になっていた。

おじさんになった時点で、モテの可能性はほぼ消滅したといってもいい。世の女性は基本的におじさんは恋愛対象ではないので。「おじさん好きです〜」って子も、好きなのは西島秀俊や佐々木蔵之介タイプのイケおじであって、自分のようなモテない風貌の奴がそのまま年を食ったおじさんではない。

「ほな、モテたいならイケおじになったらええやん」って話なのだが、自分がこのイケおじになれるかと言ったら、それは可能性でいったら天文学的確率だと思う。イケおじは若い頃からイケてるから。

途方もない努力でイケおじになったもいるとは思うけれど、基本イケおじは、イケてるメンズがイケてるおじさんになったという人がほとんどだし、自分が磨けば輝く原石だと思えないし、「◯◯するだけ痩せれる!」みたいなダイエットに飛びついてはことごとく失敗してきた怠慢さと計画性のなさからいっても努力を重ねられるとは思えない。クサイハナからキレイハナみたいな変化は現実世界では中々起こり得ないのだ。

イケおじのイケてるのは外見だけではなく、内面もすごい。彼らは、えげつない社交性を持っており、相手の気持ちを理解し、適切な反応が出来るコミュ力モンスターでもある。

「ほんなら、中身を鍛えてイケおじになったらええやん」って話なのたが、それはそれで難しくて、というか外見を良くするよりも難易度高いんじゃないかと思う。

何故なら、イケおじは自信に満ち溢れている。纏っている余裕が違う。「嫌われたらどうしよう」なんて思わないし、男女問わず初対面の相手でも自然に接することが出来る。これは、「あなたはすごい」的な自己啓発本を読み漁ってついた養殖の自信ではなく、これまでの人生で肯定され続けたからこその圧倒的自信だ。(距離感ミスって問題を起こすおじさんがいるけれど、これは自信だけあってあらゆる能力が追いついてないおじさんの事故だと思う)

あと、交友関係も広いし、これまで積んできた対話の数も段違いだからシンプルにコミュニケーション能力が高い。「極力、人とは関わりたくない」が理由でセルフレジを選択する自分に、今からこれを目指せというのも酷な話だ。

ここまで書いてきて思ったのが、イケおじはリアルなろう系の主人公のようだということ。年齢に関係なく彼女ができ、誰とでも仲良くなれてってチート過ぎるだろ。

でも、イケおじからしても、こちらの堕落っぷりは異世界人のように感じるのかもしれない。

またオレ何かやっちゃいました?(この記事を書き始めてからサボりにサボって100日以上経って投稿)

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