他人に迷惑をかけないことだけを考えて行動してしまう
自分のせいで誰かに迷惑をかけてしまう
このシチュエーションが耐えられない。でも、不出来な人間なので、こういうシチュエーションを避けられない。これを書きながら過去誰かに迷惑をかけたことを思い出して、「わー!」ってなってしまいそうになっている。
基本的に他人に迷惑をかけてはいけない(当たり前の話ですみません)。でも、例外もいて、子供は迷惑をかけるものというのが、大多数の大人の共通認識だろう。赤ちゃんは、泣くのが仕事だし、公共の場で騒ぐ子供がいても、責められるべきなのは、子供ではなく子供を放置している親だ。
そして、もう一つ迷惑をかけても許される存在は、「主導権を握っている側の人たち」、この人たち中心で物事が決まるので、この人たちは遅刻しても、「わりぃ、遅れた☆」で済む。
僕は、冴えない成人男性というどちらの属性もないので、「失敗して許される存在」ではない。だから、待ち合わせには、集合時間よりも20分前に到着する。何の権力も可愛げもない男の「わりぃ、遅れた☆」は許されないし、大人になってから電車の乗り間違えで一度集合時間に遅刻しそうに時は、「みんなを待たせている絵」を想像して動悸がすごかった。それ以来、どんな乗り換えでも、己の知識や感覚よりナビタイムを信用するようになった。
20分前に集合するってとこだけ聞くと、すごく出来た人間のようだが、実態は、「自分のせいで誰かに迷惑をかけた」のあの瞬間がイヤ過ぎるだけというめちゃくちゃ自分本位な考えなので、そこに思いやりはない。とにかく「迷惑をかけている!なんなんだコイツと思われている!」をいかにして回避するかを考えているだけなのだ。
こうなった原因はおそらく中学のサッカーの授業だ。
サッカーの知識といえばワールドカップのような国際試合は見るぐらいだったのだけれど、その日は、テレビで見たロングパスの映像が印象的で真似をしたくなり、試合で自分にボールが回ってきた時に思い切ったらボールを蹴ってみた。すると、ボールはめちゃくちゃな方向に飛んでしまい、「あれれ〜、難しいなぁ〜」ぐらいに思ってたら
どこッ蹴ってんだよッ!ゴラァ!
とサッカー部の同級生に怒鳴られ、グラウンドが騒然となった。
いや、怖すぎるんだよサッカーの授業でのサッカー部。サッカー部って、なんでサッカーの授業でもあんな全力なんだ。試合負けた方が爆発するデスゲームでもやってるのかってぐらいのテンションで全力じゃんアイツら。
ヤレヤレ系主人公みたいに文体で書いたけれど、キレたサッカー部がヤンキーちょっと入った奴だったので当時はビビリ散らかし、その後は、ボールが来ないことだけを祈って、ボールが回ってきたらすぐにパスをするゲームになっていた。
自分と同じようなクラスの立ち位置の奴らもビビっていたのだろう。他の奴らもボールが回ってきたらすぐにパス、ボールが回ってきたらすぐにパスを繰り返していたので、試合がウイイレ初心者が操作する画面みたいになっていた。その光景にサッカー部はまた激おこ。お前が陰キャを同じとこにまとめて配置したせいなんですけどね。
「地味な奴が調子に乗って失敗した時特有の変な空気」を当事者で経験してしまい、この日以降、「自分のせいで誰かに迷惑をかける」というシチュエーションをとことん避けるようになり、元々引っ込み思案な性格ではあったのだけれど、いっそう前には出ることはなくなった。
こういった失敗が笑い話になるのは、カースト上位の人間のみであり、クラスで虫けらみたいな扱いを受けてる自分の失敗は失敗でしかなくて、どうしようもない空気にしてしまうのだ。それを意識し始めたのがこのサッカーの授業だったというだけで、前々から教科書を忘れて隣の人に見せてもらうようにお願いする、遠足のバスで酔って席を変えてもらう、校外学習でやるバーベキューの買い出しを放課後に同級生と行くことになった時に買う商品をメモした紙を忘れる…といった昔、責められて辛かった記憶の積み重ねが、コップから容量を越えて溢れ出す水のように、みんなの前で怒鳴られたことで限界値を迎え、「自分のようなものが誰かに迷惑をかけてはいけない」という思考が発動してしまったんだと思う。昔、自分の自己肯定感についてツイートしたら、「自己肯定感っていうのは云々〜」みたいなアドバイス風説教をされたことがあるけれど、こんな出来事を多感な時期に多々経験していたら、自己肯定感なんて上がるわけがないだろ。人のバックボーンも知らずに軽々しく物申すなよタコ!
失敗しないように、迷惑をかけないように。学校行事でも決して前に出ない。決して、悪目立ちはしない。そればかりを考えた学生生活だった。
でも、不出来な人間だからミスは起こる。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?