今年のラランジャ京都は「違う」。苦戦の中、劇的に勝利をもぎ取った「人生初のヘディングゴール」【よりぬきおとフト】
8月10日に行ってきたのがアストエンジ関西サッカーリーグ2部の第9節延期分、ASラランジャ京都対京都紫光サッカークラブ。もともとは7月に開催されたのですが、雷のために中止となっていたものです。
関西リーグが中断期間に入るなか、まるで残業のようにこの両チームが対戦したわけですが…これがなんとも印象的な試合になりました。
ASラランジャ京都はここまで無敗。5勝3分けという結果で8試合を終えていました。昨年はあと少しのところで1部昇格を逃して悔しいシーズンになりましたが、それを乗り越えて好調なパフォーマンスを見せていました。
一方の京都紫光は今季とっても苦しい状況です。なにが苦しいって試合内容は昨年より良いように見えるにもかかわらずぜんぜん勝てない。開幕戦では神戸FCを2−0で破る素晴らしいスタートになりましたが、それ以降は1勝も出来ていません。しかも6〜8節は全て1点差で負けていて、決して悪くはないんですよね。だからこそなおさら何を修正するのかが難しいというか…。
そしてこの試合も、決して京都紫光は悪い入りではありませんでした。ウイングの印象が強いキャプテンの出原怜選手を右のサイドバックで起用した守備も堅実でしたし、島里将伍選手のプレーメイクや中田顕斗選手、武田侑也選手の持ち込みも強さがありました。エース藤川直己選手の最前線からのプレーも魅力的です。
19分には左のコーナーキックから島里選手がクロスを入れ、そこからゴール右隅に決まりました。島里選手の下に駆け寄ったのが中屋敷選手、中で喜んでいたのが藤川選手だったんですが、公式記録によればラランジャの忠政選手に当たってのオウンゴールだったようです。これによって京都紫光が先制点を奪取。
ラランジャ京都は前半ある程度押し込みながらも大きなゴールチャンスはなく、山中宏基選手がある程度強引に狙っていくような場面が目立っていました。なかなかチームとして応用力が見せられなかったなというう印象です。
しかし後半になって流れは変わりました。ハーフタイムに投入された福永和生選手が左サイドバックに入って積極的に声を出し、静かだったチームに活気を加えます。そして山中宏基選手が中盤に下がり、サイドバックから攻撃的なポジションに変わった西川宙志選手が前線の運動量を高めました。
そして66分には磯部隼也選手からのパスでペナルティエリアに飛び出した西川選手がファウルを受け、PKをゲット。山中選手がこれを決めて同点に追いつきます。
その後ピッチ上で鷹(注:本当はハヤブサだそうです!)が鳥を捕食し始めて試合が中断するという世にも珍しい場面がありましたが…。
無事に再開された試合は1−1のままでアディショナルタイムに突入。このまま引き分けで終わるかと思ったラストプレーでした。山中宏基選手からのパスを受けた竹村颯真選手のお膳立てで、ファーポストに飛び込んだ福永和生選手がヘディング。これが見事にゴールへと決まり、最後の最後でラランジャ京都が追加点を奪いました。
そして喜んでいる間に試合は終了。福永和生選手はこれが「人生初のヘディングゴール」だったそうですが、それがなんと劇的すぎる決勝点になりました。
昨年は2部で浮き沈みが激しかったラランジャ京都。いい形で勝利したかと思えば、なぜなんだというタイミングで負けてしまったり。しかし今季はこのような苦しい試合で負けず、そして勝利をもぎ取ることができますね。
「西山選手に『どけ!』って言ったら、本当にどいてくれた」
試合後、決勝点を決めた福永和生選手はそのゴールを以下のように振り返っていました。
「クロスを上げてくれたのは16番の颯真で、あそこに来るって思ったんですよ。目が合った瞬間に来ると思って。僕の前に多分…直輝(西山直輝選手)がいたんですけど、『どけ!』って言って。そうしたら本当に退いてくれた。
公式戦で人生初のヘディングゴールが、なんかこんなにいい決勝ゴールになっちゃって、自分でもびっくりですね。
(後半開始時に投入されたとき、雰囲気を変えましたね?)それは僕の役目だと思ってるんで、自分が入って何かを変えるとしたら、まずは空気から。
負けている時というのはやっぱりまずは空気を変えて、チームの顔を上げさせる。それは僕の役目だと思ってたので、 それにまずしっかり集中して入りましたね。
(残りのリーグ戦は5試合。2位に5ポイント差の首位ですね)残りはもう5試合しかないんですが、下からもどんどん上がってはきているので、余裕はないと思っています。中断明けの次の1試合にしっかり集中します。それを繰り返して、勝ち点をどんどん積み重ねて、最終的に1位で終わる。そこを目指していきたいと思います。
(中断明けは3位の神戸FCとの大事な試合ですね)神戸FCさんには去年負けていますし、今年の前期も引き分けでした。
でも、自分たちで苦手意識を作らずに、しっかり自分たちの意識で勝ちに行く。みんなでベクトルを向けて一緒の気持ちで戦えば、後期こそは絶対勝てると思います。サポーターの皆さんもしっかり信じてくれれば、必ず僕たちの力になります。また応援よろしくお願いします」
まさかの人生初のヘディングゴールだったそうです。それが試合終了間際の劇的な決勝点とは、まさに「持ってる」…ですね。
福永選手はラランジャの調子のバロメーターじゃないかと思うんです。福永選手がピッチ全体を見ていて喋っているときは調子がいい。逆に自分のことに手一杯になって黙っているときは調子が悪い。この試合ではまさに前者で、うまく空気が一変したなと感じました。決勝点のみならず、まさに遅れてやってきたヒーローでした。
ただ、この勝利をもたらしたヒーローは福永選手だけではありません。2回の1対1でスーパーセーブを見せたGK大野将弥選手もそうだったと思います。どちらかでも決まっていたら、結果は全然違ったでしょうね。
そんな大野将弥選手、そして西川宙志選手のインタビューも入った「フットボールラウンジ」は15日の20時半から放送です。
17時からはきょうとこれからラジオで大西凛さんと坂下華さんのゲスト回!京都サンガFCのキャンパス隊で活躍するお二人をお呼びして華やかに生放送です。
メッセージも募集中なのでぜひ!よしなに。
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