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口だけだった自分から、マッパー見習いくらいにはなれたかな、と思った話

小学校3年のころから「小説家になる!」と言っていた。
中学のときに、新聞で見かけた「ジュニア小説講座」を受けさせてほしいと父に頼み込み、通信講座を受けてみたものの、課題は一回出せたか…出せなかったか…。
残念ながら23〜24年ほど前のことなので全く記憶にない。
原稿用紙60枚くらい書いたけど、終わらなくて、どう着地していいかわからなくて、結局添削に出せなかったような気もするし、郵便局でドキドキしながら出したような気もする。
もう全然覚えていない。

高校に上がって、夢にまで見た文芸部があったので入部したのだけど、やっぱり書き上げられなくて、でも人の作品にはめちゃくちゃ口を出していた。
いま思うと、当時の部員仲間たち、わたしのこと嫌いだったことあるんじゃね、って思うくらいバッサバッサと切り付けていた。本当に申し訳ない。
でも未だに繋がり続けてくれてるからみんな優しいよなって思う。ありがとね…反省してます…。
高校時代、小説として書けたのは2作品だけだ。
それも、ちゃんと構成できたものではない。
当時読んで好きすぎた作品の世界観から抜け出せなくて、キャラの解像度が謎に高くて、それで原稿用紙20枚分をガッと書けてしまった、夏休みの作文の一環で出したもの。
もう一つは、当時のケータイ小説みたいな、ポエムと小説の間みたいな恋愛短編だった。感性の豊かな文芸部仲間が読んで泣いてくれたのは嬉しかったし、おかげで元になった自分の感情は昇華されたような気がしたものだ。

大学の頃は創作する余裕はほとんどなくて、でもなんか書きたくて、中学から同人活動を一緒にやってた相方の漫画原稿の手伝いとかはしてた。
絵も描いてたし、なんとか小説を書こうと頑張ってたんだけど、やっぱりひとつの作品として完成させられたものはなかった。
ハリポタがまだ完結してなかったのだけど、未来妄想で二次創作を書こうとして、でも物語としてまとまらなくて、宙ぶらりんのまま終わってしまった。
色々あって、もう本当に、創作どころではなくなってしまったからだ。

それでもわたしは、いつか絶対に小説家になるのだ、と思い続けていた。
物語を書こうとしては途中で書けなくなって、何とかおしまいまで書いたものは二つだけなのに。

結婚して出産して育児の合間、もう少し落ち着いたら働かなきゃいけなくなるから、今のうちに何とか時間を作って作品を完成させようとし始めた。
それでも、何から手をつけていいかさっぱりわからない。

そうこうしているうちに働くようになり、何やかんやあって当時の夫と別居することになった。
非常勤や臨時職員をしながら、子どもと暮らせるだけの稼ぎを得るための職を探していた。
合間に、当時出入りしていたコミュニティでイラストや文章を集めた会報誌を企画して発行したりしていたけれど、やっぱり作品を書き上げたことはない。
穴埋めのイラストとか、誌面編集とその他雑務に追われていた。連載みたいな形で見切り発車した文章は載せた気がするけど、あれもそのまま行ったら途中でどうしていいかわからなくなっていただろうと思う。
結局、プライベートが忙しくなりすぎて、会報誌の企画はストップせざるを得なくなった。

ただ、この辺りから同人活動をしている友だちが増えたこともあって、二次創作でなんとか原稿を捻り出すようになった。
当時はお船ジャンルにいて、合同誌を作ることになった。
プロットは作ったけど本文が書けないという友人からプロット提供を受けて、時雨が主人公の西村艦隊の話を書き上げた。
ちゃんと終わりが見えてる話を初めて書いたのがこの時だ。

この時はじめて、わたしは自分にプロットを作るスキルが培われていないと痛感した。
それまでは、プロットめいたものを作ったつもりになって、設定だけこねてたのだ。

その後も、現職に就いてから、今の刀ジャンルで友人たちと合同サークルで本を1冊作った。
2017年のことだ。
この時は、モチーフに沿って調べ物をして書きたいものがあったのだけど、結局間に合わなくて、とにかく力技で書き上げた話を寄稿した。
この時は結局プロットをどう作ったらいいかさっぱりわからないままだったけれど、取材と原作キャラのおかげで何とか書き上げることができたと今ならわかる。

そして2019年、前述した合同サークルで一緒だった絵師さんと、漫画と小説の合同カプ本を出すことになった。
この時は、前回から少しずつネットでプロットの作り方について情報を集め始めていたので、プロット風メモを先に作って、終わりまで考えてから本文を書いた。
今振り返ると、全然詰めが甘い前準備なので、よく書き上げたなぁと思う。二次創作だからキャラは出来てるし、読む側も原作ファンだから脳内補完してくれる。だから、まぁ、小説っぽい感じになったんだろうと思う。

この頃には、契約社員から正社員になって安定したのと、少しだけ自由に使えるお金ができた(それでも自転車操業みたいなもんなんだけど)。
先行投資! と自分に宣言して、脚本術の本や構成の本、キャラ作りの本などを買って読み始めたのがこの年だ。

今日までに、電子書籍で17冊、紙の本で6冊、計23冊の「小説の書き方」本を読んできた。
中学時代の通信講座の全五巻も含めたら、28冊になる。

読みながら、その内容を「今書きたいこと」で実践して「そういうことか」「わたしのつくり方は着想から広げるタイプで、これだと作るの大変なんだな」と理解していった。

そうして、本当につい昨日、28冊目を読み終えたところで、やっと、小説を書くための日ごろのアンテナ張りから校正までの流れを理解できた。
初めて通信講座のテキストで読んだ「これじゃすぐに書けないじゃん」「この講座はずれか?」と疑ってしまった説明は、アンテナをどう張るか(言い換えれば、種を蒔く前にしっかり土づくりをするような作業とも言える)、そこから選り分けて種を見つけ出して、その種に合った環境を整えて播種を始める、という部分の話だった。
中坊のわたしは「とにかく全部ネタにしてやるくらいの気持ちで観察を怠らないようにしよう」「日常のすべてを小説で文章にできるようにならなきゃいけないんだ」とやたら気負っていたなと思う。
それも、昨日読んだ本できれいに整理されて、23年越しに腹落ちして理解できた。

わたしが小説の書き方を理解するのに、勉強を開始してから23年と28冊の本が必要だった。
小説家を志してからは、28年の月日が必要だった。
そして、わたしは今やっと「実際にやってみる」ステップに足を踏み出せるラインに立てたのだ。

そう。
まだ、何もできていない。

自己流でめちゃくちゃな状況下ながら、一応大地を耕して土づくりはしてきた。でも、まだ「テーマ」という種を選別したことがない。
小説の種は、種苗店で販売されているもののように分類された状態にない。
いろんな種類の種が、土とか草とかツタとかオガ屑とかもいっしょくたになって、その辺に落ちてる感じだ。
28冊の本を読み終えて、わたしはやっとその辺から自分の種を見つける方法を知ったところなのだ。
知っただけで、やってみたわけじゃないからできるかどうかもまだわからない。

今後わたしは、種を見つけて、その種を蒔いて芽を出せるような状態になってるかを点検しなくちゃいけない。
いけるはずだ、と着手して芽が出ても、畑に植えたら枯れちゃうかもしれない。
一応、脚本術や構成のセオリーなどの「栽培方法」もいろいろ勉強してみたけれど、自分の畑やビニールハウスに合った方法がどれなのか、やってみないとわからない。
うまくいかなかったら、また種探しをして播種するところからやり直しだ。

本当に、やっと「小説を書く」スタートラインに立ったところなのだ。

今親しくしてくれている創作仲間の皆さんは、それぞれがわたしよりも先に畑を開墾して、自分たちの農園を作り出している人ばかりだ。
みんな優しくて、たくさん褒めてくださるけれど、「今のわたしは、みなさんの足元に手を伸ばすこともできるかどうかの状態だなぁ」と、自分の力量を目の当たりにした気持ちでいる。

ネガティブな気持ちではなくて、ちゃんと自分の姿や、どこに居て、どこへ向かったらいいかが見えてスッキリした感覚だ。

これまでずっと「わかってるつもり」でいた無知な自分を、やっと自覚できた段階。
お調子者な自分を召喚してコメントを求めたら、きっとこう言う。
「え、伸び代しかないじゃん?」

何をしたらいいかわからなくて、どこへ向かえばいいかもわからなかった状態から、時間はかかったけれど現在地がわかって、自分の装備も確認できて、目的地の方角がわかるようになったのだ。
朗報でしかない。

今、わたしの手に、目的地へ案内してくれるナビはない。
でも、他の人が見せてくれたいろんなルートの地図(書き方本)が手元にある。
そのたくさんのルートをひたすらチェックしながら、自分のためのルートを探しつつ、マッピングしていけばいい。
目的地へたどり着くまでにどのくらいかかるかはまだ見えないけど、何をしたら目的地へたどり着けるのかはわかっている。今までと比べたら、格段に希望が持てるじゃないか!

(ここまでの比喩表現で、わたしのワクワク感が少しでも伝わってたらいいなと思うけど、分かりづらいよなぁとも思っていますww)

わたしは深沢美潮さんのフォーチュンクエストのパステルが大好きだったので、今のわたしパステルじゃん! とめちゃくちゃテンションが上がっている。
いや、パステルに弟子入りした駆け出しの冒険者みたいな?
パステルたちのパーティーで研修させてもらってるみたいな感じかな!
根が夢女なので、ウキウキワクワク状態だ。
余談だがわたしは盗賊のトラップがめちゃくちゃ好きだったので、パステルの弟子になったら全力でトラップにアプローチしてフラれると思う。
ちょうたのしい。


とにかく明日から、ひたすら実践あるのみだな、と思っているよ頑張るよ、という話がしたかったのでした。

おしまい。

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