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WHO脱退を訴える5,000人が日本全国から池袋に集結...2024.4.13 パンデミック条約反対デモ

東池袋中央公園を埋め尽くす人の群れ

東池袋中央公園に、凄まじい数の人々が集結している…筆者の情報網にそんな報告が飛び込んできたのは、冬も明けてすっかり暖かくなり、初夏の雰囲気すら感じさせる4月13日の昼頃だった。ちょうど都内某所で別の原稿に手を付けていた筆者は、久しぶりの大規模デモとあっては見逃すわけにはいかないとノートPCを閉じ、現地へと向かった。

慣れた足取りで東池袋中央公園へと向かった筆者を迎えたのは、以下のような光景だった。

到着したのはデモ出発の直前。人の波の中には「北海道」や「愛知」など、参加者の所属地域を示すプラカードも掲げられていた。全国から約束の地とばかりにこの場所を目指して大集結した人々は公園内に収まりきれず、押し出された群衆が歩道やサンシャイン側にまで溢れ出している。この人の群れは一体、何のために日本列島各地から押し寄せてきたのか。それはこの日行われた、「パンデミック条約反対デモ」に参加するためであった。

保守・反ワクチン界隈の著名人が集結

主催は元自衛官の佐藤和夫という人物で、都内で様々なデモを主催してきている。例えば昨年5月には「ウクライナに平和をデモ」という、実質的な親露デモを主催していた。

当日の様子(筆者撮影)

この他にも、佐藤氏は下記のようなデモや街宣を行ってきている。

・2022年2月23日(水):子供たちにコロナワクチンを打たせないデモ
・2022年9月24日(土):安倍総理国葬 断固指示する国会前街宣
・2022年9月26日(月):安倍総理国葬支持デモ
・2023年6月17日(土):LGBT法案反対デモ

また、主催ではないが、毎年9月の朝鮮人犠牲者追悼式典(関東大震災の混乱の中、大量殺害された朝鮮人犠牲者を追悼する式典)の「ウラ式典」として行われている、朝鮮人虐殺を否定する陣営による集会にも例年「英霊の名誉を守り顕彰する会」の会長として参列している(毎年マイクを握っているようであり、主催と近い関係にあるのは間違いない)。

佐藤氏はとにかく繋がった人脈をデモに誘う傾向があるようで、その結果反ワクチン・反WHO、反LGBT、反ウクライナや親ロシア、さらにはデモへの参加や並走というところではサンクチュアリ教会(旧統一教会分派)や幸福の科学、ラエリアン・ムーブメントとも関わっている。結果として氏の主催するデモは様々な人脈が入り乱れる混沌状態となった、というのはやや日刊カルト新聞総裁の藤倉氏が日刊ゲンダイの連載でも報じている。

その甲斐あってか、今回のデモと、その前段として行われたシンポジウムには下記のような特定界隈での著名人が多数参加することとなった。

  • 池田としえ:日野市議会議員。HPVワクチンの頃からの反ワクチン活動で知られる。

  • 井上正康:大阪市立大学名誉教授。反マスク・反ワクチン言説を発信する参政党のアドバイザー

  • 岡真樹子:愛国女性のつどい花時計(保守派団体)代表

  • 須藤元気:参議院議員(※衆院東京15区に出馬したため自動失職し、現在は元参議院議員)

  • 林千勝:近現代史研究家。保守系メディアに登場することが多く、反ワクチン活動で知られるRFKジュニアの翻訳書で解説を務めるなど、保守と反ワクチンの両方に親和性が高く、参政党との関係も深い。「2025年、疾病Xによるプランデミックが起こる」と主張している

  • 深田萌絵:ITビジネスアナリスト。全世界の監視と言論統制を巡って米中が争っている、という世界観で5G、AI、量子コンピューターといった技術を表題にした書籍を発行している。

  • 松田学:参政党元代表

  • 水島聡:日本文化チャンネル桜代表取締役社長、新党くにもり代表

  • 山中泉:会社経営者・著述家。次期衆院選の比例東北ブロックに参政党公認で出馬予定

  • 吉野敏明:歯科医。元参政党ボードメンバー。現在は参政党を離れて後援会を発足、この界隈では影響力の強い内海聡氏と街頭演説を行うなど、独自の勢力を構築しつつある。

  • ポール・ドラクビビエ:歴史研究家。反フランス革命シンポジウムを行った王権学会の会員で、イベントで開会挨拶を務めていることもあり中心人物と考えられる。

※衆院議員の原口一博氏(立憲民主党所属、陰謀論発言で何度も問題になっているが、何故か党からは口頭注意程度の処分しかされていない)は登壇予定となっていたものの参加しなかった模様。ただし、このデモを扱った配信を行っており深田氏とも配信していることからも強く支持していることは間違いない。筆者としてはむしろ、このような場面で引くのではなく、言ったからには全力でやってもらいたいという思いがある。

パンデミック条約とは

パンデミック条約とは、現在採択に向けた交渉が続けられているWHOの法的文書である。正式名称は「パンデミックの予防、備え及び対応に関するWHOの新たな法的文書(WHOCA+)」だ。

新型コロナパンデミックにおいては、国際保健規則(IHR)で定められたコアキャパシティ(地域・国家レベルの、国境における日常の衛生管理及び緊急事態発生時の対応に関して最低限備えておくべき能力)を満たす国でも甚大な被害を受けた。これを教訓にし、パンデミックへの備えと対応に関する法的文書の作成と、IHRの改正が同時並行で進められている。

このパンデミック条約によってワクチンが強制接種させられるのではないかという説が反ワクチン言説として盛り上がっており、WHOからの脱退も主張されるようになっている。また、「国際組織による国内干渉への反対」という線で保守派と繋がり、特にこのデモはシンポジウム参加者の面々からも分かる通り保守色が濃くなっていた(といっても「グローバル勢力による市民への圧力に反対する」とすれば左派とも相性が良くなるため、結局は主催者の人脈が主で、論理は二次的なものだろう)。

パンデミック条約は今年5月のWHO総会での採択が見込まれているため、すぐそこに迫る危機として、特に昨年の11月から盛んに主張されるようになった。ちなみにパンデミック条約の交渉テキスト概要は和文で読むことができ、作成中の条約も公開されているが、少なくとも筆者にとってはワクチンを強制的に打たせる内容とは見受けられない。

主催者も困惑するほどの人数が池袋を行進

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