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セーラームーン無断使用スピビジネスサイトの背後に蠢くもの(前編)

(全文無料)

謎の「セーラームーンプロジェクト」

今年の5月のことだ。筆者の観察用TLに、「セーラームーンプロジェクト」なるプロジェクトに関するツイートが流れてきた。そのサイトを訪れた筆者は驚いた。

国民的人気作品、セーラームーンのキャラクターを大々的にあしらったそのサイトには、「キリストを呼ぶ波動UP術」、「音魂を使ったアヌンナキ理論」、「アボリジニ記憶術」、「集合意識周波数チャネラー」といったスピリチュアルや疑似科学関連のワードが所狭しと並べられており、それらを学べるセミナーチケットが販売されていたのである。

当然ながらセーラームーン公式がこのようなビジネスを許可するとは考えられず、明らかに無断使用である。今時ここまで堂々と無断使用しているサイトも珍しい。

2040年から来た未来人

さらにその下には、2040年から来た未来人についての紹介があり、「レプ(爬虫類型宇宙人)やE.T.との交渉術」、「QFS稼働日」、「人口削減(遺伝子選別)をする真の理由」といった陰謀論関連の言葉が並ぶ。

運営者は陰謀論インフルエンサー

一体誰がこのサイトを運営しているのかと気になった筆者はさらに下にスクロールし、全てを察した。

不気味な鹿のアイコンが印象的なこのアカウントは、ウォッチャーの間では「巫」や「とりまロンメル」と呼ばれている陰謀論インフルエンサーである。

サイト製作者は「セーラー戦士はぶっちゃけ全員知らなかった」

このサイトを作った人物は下記のアカウントだが、「セーラー戦士はぶっちゃけ全員知らなかった」などと言っており、ファンからすると大変に不快だろう。

主催者の正体は投資助言系の人物

主催の巫とりまロンメルについては、その正体が投資助言系の人物であることがウォッチャー界隈では知られている。それは、巫とりまロンメルのFBページに「株式投資デイトレーダー歴20年」と書かれていることや、そこに貼られたAmebaブログも投資関係であることから明らかだ。このブログには、投資指南メルマガについて、特商法に基づく表記が書かれており、ここにあるKという人物が巫とりまロンメルの正体と言われている。

陰謀論インフルエンサーの正体は投資助言系の人物


このメルマガは既に稼働していないようだが、そのアーカイブを見ると確かに上記のブログへのリンクがあり、同一人物と考えて良さそうだ。

Kが運営していたメルマガに上記ブログへのリンクあり

また、先のセーラームーン無断使用サイトの最下部にも「一般社団法人みんなのブロックチェーン」と記載されているが、これもKが代表を務める社団法人である。この社団法人は、かつて「EVERY PROJECT」と銘打ったプロジェクトで仮想通貨を発行していた。

このような事情から、巫とりまロンメルについては「ビジネス陰謀論者で、実は陰謀論に関心がないのではないか」と言われることも多い。

巫とりまロンメルの特徴は、筆者のnoteでも過去に解説したGESARA陰謀論をその主張の主軸に据えていることである。GESARA陰謀論はその出自からして詐欺だが、同時に主張されるRV(通貨評価替え)では仮想通貨や貴金属の価値が上がると言われる。これが投資アドバイザーの嗜好にハマったのだろうか。

こうして陰謀論で集めたフォロワーに向けて、巫とりまロンメルは有料noteを販売している。

謎の「ZIPANGプロジェクト」と「素粒子クリーム」

巫とりまロンメルが売っているのはスピセミナーやnoteだけではない。筆者がある有料noteを見たところ、「待望のデクラス技術:素粒子クリームと日本再構築ZIPANGプロジェクトのプラットフォームWEBサイトが完成しました!」という文言に気づいた。

日本再構築に素粒子クリーム。一体何を言っているのだろうか。そこでこのプロジェクトについて検索を進めたところ、下記のFacebookページに辿り着いた。簡潔にまとめれば、ヒーリングや金融アドバイスを受けられるコミュニティであり、会員制のリゾートも提供するという。

さらにそこには、代理店に関する記載があった。要はこのプロジェクトに出資すれば、巫とりまロンメルが発行する仮想通貨を購入できる上、素粒子クリームの販売代理店になれるのである

筆者は潜入している巫とりまロンメルのFBグループでURLを発見したため、登録してみることにした。

するとそこには、「副作用のない体内浸透鎮痛剤&波動UPクリーム」、「塗る注射」と銘打ち、若返りや中枢神経の活性化を謳う例の「素粒子クリーム」がトップに掲載されていた。

他にも、金価格と連動する「金本位制コイン」(先のFBページにも記載されていた)や会員権シェアビジネス、量子コンピューター、最大15年持つおにぎりなど、一貫性のない話題が続いていた。

また、巫とりまロンメルのみんかぶプロフィールが記載された項目もあり、そこから遷移した「みんかぶ」のプロフィールは、先にも言及したKのものだった。

ちなみにこのサイトに記載された特商法に基づく表記にはシンガポールの会社の情報が記載されていた。海外の法人も巻き込んだ陰謀論ビジネススキームを構築しているのだろうか。

気になるのが素粒子クリームの素性である。サイトに掲載された写真はどれもラベルの説明記載部が映らない角度で撮影されており、詳細は分からない。しかし筆者は、ふとしたことからそれを見ることに成功したのだった。(後編へ続く)


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