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自分軸の作り方#136 母の声に涙

このご時世

故郷には、なかなか帰れないでいる。

私の母親は、施設に入所中。


私は昨年の夏、義父を見送った。

あと何回、母に会えるか
あと何回、孫の顔を見せることができるか
焦っていた私は
11月、2年ぶりに面会に行った。


面会に行く2週間前には
母の施設内でクラスターが発生したとのことで
面会できるかどうか…と言われたけれど

会えることになったので、
子どもを連れて、飛行機に乗りこんだ。



面会とはいえ、
私と子どもは施設の外の駐車場。

母は車椅子で、施設のホールみたいなところに連れてきてもらい

ガラス越しに大声で
「元気ー?」
「元気だよー!!」と 声をかけあった。

声を張り上げても、半分くらいの声量しか届かない。
15分制限の面会。
会話らしい会話もできないけれど。

ガラス越しの母は、

満面の笑みだった。


私と母との確執は深かったけれど
憎めないのは
母の笑顔が すごく可愛いからだと思う。


今日、久しぶりに母が外泊して
兄と一緒に過ごしているというので
電話でゆっくり話をした。
車椅子を卒業し、今は歩行器で歩いているそうだ。
何度も転倒し骨折もしたけれど、毎回復活。
強靭な肉体だ。

母は、
声も笑っている。

施設に入所してから、
母はいつも
誰かの話を頷きながら聞いている。

辻褄の合わない話でも、
理解できないとしても、
人の話を
穏やかな笑顔で聞いている母。


私が子供の頃は
母が鬼みたいに見えたこともあった。

今ならわかる。

あの時は
余裕がなかったんだね。

本当はこんなに穏やかな人だったんだ。

うちの母は、昔から
死ぬことを怖がらない。
神様のもとに帰るだけだと 受け止めている。

父親を天国に見送った時も
晴れ晴れとしていた。



感謝だねー

それが口癖。


昔の私は
感謝感謝言ってるけど 口先ばっかり!と
ちょっと穿った見方をしていた。


感謝だねー

今もその口癖は、そのままだ。


自分にも人にも、言い続けると
心は後からついてくるのかも知れない。

電話越しに

元気そうだね
感謝だねー

すごく幸せそうな
90歳の母の声を聞いて

私も感謝の思いが込み上げ

なんだか涙が出た。


見上げた空は青く澄み渡る。
母の目の前には、雪景色が広がっているらしい。

やっぱり私は
母のことが好きなんだ。

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