会社とは、お金をもらって学ぶ場所

会社とは授業料を払わずに学べて、お金までもらえる場所だということに、会社を退職してシニア起業してから気づいた。

気づいたきっかけは、シニア起業の本を書いたことだった。
元銀行員だった私がパン屋を起業してからの経緯や人との出会い、事業が広がって行く過程を書き始めた時に、会社員時代の体験が役に立ったことが多かったからだ。
例えば、事業計画、お客さんやスタッフとのコミュニケーション、資金計画、採算の取り方、ネットやSNSの活用、量産化、新商品開発、イベント・マルシェの企画、店舗運営など。
銀行では主に融資を担当したが、新規プロジェクトの実行部隊にも参加していて、事業が広がって行く過程を見てきたことが大きい。
新しい仕事を身に付けるには繰り返しが大事で、何回もやっているとコツがつかめ、パターンがわかってくる。だんだん慣れてきて新しい仕事に配置換えになっても基本は同じで、数をこなすうちにコツがつかめる臨界点のような時期がある。
部署が変わり仕事の内容が変わりながら、何年も繰り返しているとスキルとなって応用が利く。
銀行は、社会や経済の環境変化に対応するためにさまざまなプロジェクトを立ち上げる。目的を達成するためには、情報を集めて分析し、事象ごとの対策を立てツールを用意して実行し、現場に出向いて伝達し、日常化していく。
業種や職種が変わってもやることは基本的に同じだ。銀行員からパン屋を起業したと驚かれることが多いが、やることは同じだ。

銀行で目の前の業務を必死でこなしてきたことが、起業で活きた。
もちろん、銀行で働いていたときは生活のために労働を提供して賃金をもらうという雇用契約の意義しかなかった。
業種も職種も全く違う起業をしたときに、初めて過去のビジネス体験が役に立つことを知り、会社で学んだことは社会でも役立つことを認識できた。
さらに踏み込んで、学ぶために働くのだと思えるようになり、学ぶ場所を提供してくれた会社に感謝するようになった。

今だから言えるが、「会社とはお金をもらって学ぶ場所」だと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?