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創業前に震え上がるほど不安になったこと

起業する際にはポジティブとネガティブの両輪が常に必要だと思っています。
ところが世に出回る起業に関する書籍や動画等は皆成功談が多いものです。
まぁそうしないとそもそも「起業を志す人への案内」という本来の趣旨じゃなくなり売れなくなるのでこれはもうしょうがないですよね。
でもここでは結構意識して「負の部分」も多めに出していくように心がけております。

というのもやはり「黒字で長く続けていく」ということを第一に考える際、特に「長く続けていく」ということはマラソンであり、道中いろいろあるもので、それは物凄い苦痛であったり、給水所があったり、時にはランナーズハイ状態もあったり、とにかく良いこと悪いこといろいろあるものなので、まずはそこから目をそらさないことを声を大にして言いたいと思います。

さて、今回は私が創業前に震え上がるほど不安になった出来事について述べておきます。
そもそも私が起業しようと思った動機は、動機も何も一言で言えば「他の選択肢がなかった」というのが本音であります。
それまでどこかの企業に勤めて将来的に安泰な仕事をしていたわけでもなく、そうかと言って手に職があるわけでもないという、音楽のことしか考えてこなかった人生だったもので、いくつかの選択肢がある中で「お店をやろう」と思ったわけではないのです。

ですから逆に言えば「上手く行かなかったらどうしよう」というよりも「やるしかない」状態だったのでネガティブな考えそのものが少ない、いや、「悩んでいる場合ではない」という状態でした。
ちなみに私の本「人生に行き詰った僕は喫茶店で答えを見つけた」の主人公である阿佐ヶ谷のペンギンカフェのマスター二羽さんも実はほぼ同じ起業動機です(本にはそこまで書いていませんが)。

そんなわけで比較的不安要素が少ない(というより不安がってる場合じゃない)私は、「不安」ではなく「不明」な点は様々な本や人をつたって明らかにしていき、まずは「こうするべき」というよりも「こうしてはいけない」という情報収集に努めました。

この辺は拙著の帯にも書いた「必ず成功する方法はないけど必ず失敗する方法はある」のくだりのことですね。
前置きが長くなりましたが、そんな中で私が震え上がるほど不安になった出来事をこれからお話します。

バンドの練習を終えたある日の午後、私はメンバーと大塚(池袋の隣駅)の居酒屋にいました。私が喫茶店をやろうとしているということはもちろんメンバーも知っていました。メンバーはそれまで特に私に「大丈夫だやれやれ」とも「やばいからやめとけ」とも言いませんでした。

そんな状況下で呑みながらメンバーは私に単に開店予定日のことや進捗状況のようなこと訊いてきてそういった話をしていた最中のことでした。

メンバーの一人が隣にいたもう一人のメンバーに、「喫茶店って入る?」と訊きました。「喫茶店って入る?」言ったメンバーは特に何の深い意味もなく、いたって普通のトーンで純粋にただ疑問を隣のメンバーに投げかけただけでした。

でもそれが私には強烈に刺さったのです。
「喫茶店って入る?」の後に勝手に自分で「普通入んないよな、スタバやドトールならわかるけど」のようなフレーズを補って考えてしまいました。訊かれたもう一人のメンバーは「実は意外に入るよオレは、暑い日とか入りたくなる」と答えました。

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