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Vol.14「丸山珈琲との出会い~修業編エピソード1~」

以前、自分の日記に既に書いたものがあり、その日記を転用したほうがリアルなので、今回はコピペ、ほんの一部改変なり省略なり追加なりでいきます。

夏の行楽シーズンが圧倒的に繁忙期で、単純に人手を必要とし、夏が過ぎればあんまり人手は必要ではなくなる場所。つまりは避暑地。

こういう場所こそが、今の俺の希望と店側の思惑がピッタリと合致するところである。

そこで、さらにこっちは無給宣言をしているので、受け入れてくれるところはきっとある、そう信じて、軽井沢へと向かった。

軽井沢には義父の山荘がある。そして、その山荘の斜向かいにユニコーンという喫茶店のマスターが住んでいる。

俺もそのユニコーンには何度か足を運び、いろいろとタメになる話を聴いて、マスターには俺の考えも伝え、いろいろとアドバイスももらえた。

そして、修業・見習の話をすると、「そういうことなら軽井沢には丸山珈琲という全国的に有名なところがあるから、そこを紹介してあげるよ」という、なんともありがたいことを言っていただけて、すぐにその場で連絡を入れてくれた。

丸山健太郎さんというそこのオーナーと直接電話で話し、それではまず直接会って話しましょう、ということになって、丸山珈琲へと向かった。

ユニコーンのマスターからは「丸山さんというのは豆を直接ブラジルとかに買い付けにいって、自家焙煎してる人で」みたいな話を聞いていたが、その時にちょっとした予感があった。

今、俺の中で最も興味のある「スペシャルティコーヒー」のことが頭をよぎった。

綱島のT師匠に先日、「夏の間は軽井沢に行こうと思うんです」というと、スペシャルティコーヒーの中心人物がまだ、若い人なんだけど軽井沢にいるんだよ、という話は聞いていたので、もしかしたら、と思ったら、本当にこの丸山健太郎さんという人こそがその人で、これには本当にビックリだった。

ちょっと畏れ多すぎというか、そこまですごい人のもとでじゃなくてもとにかく現場を見れたらよい、と思っていた。余りある光栄である。

ところで、スペシャルティコーヒーというものが何なのか、詳しく説明するのはもう少し後の機会にする。

シンプルにこのコーヒーは旨いのかどうなのかだけを指標に考えると、突き詰めていくと豆が高品質で、新鮮であること、誰がなんと言おうとこれに尽きるのである。

幸いにして、俺はまだそんなに余計な知識が染み付いてない素人である。

ストレートコーヒーの違いも「モカ」「キリマンジャロ」「ブラジル」「コロンビア」位しか飲んでみて当てる自信はまだない。それもフルシティーロースト以上の焙煎になった日にゃ、きっと何もわからない・・・。

しかし、丸山さんいわく、「そのこと(いろんな豆の種類を判別すること)自体が意味のないこと」と言い捨てる。

中途半端なB級知識をいったん白紙に戻して、この一ヶ月、カップオブエクセレンス受賞の最高峰豆に囲まれながら、修業を積んでくるので、どうか土産話を楽しみしててください。

~一部省略~

この修業がこれまでどんな感じだったかっていうのをザーっと言うと、修業とか見習いっていうわりにはやけに丁重に扱われていて、どっちかっていうと客人(笑)扱いに近いのかも。

特筆すべきはやはり豆が飛ぶように売れていく店ということ。

今はシーズン中だから喫茶も繁盛してるが、普段は喫茶の売上が2割だけで、8割は豆の売上である。

遠方から車でお客さんがやってきて、土足禁止の店だから靴を脱いで、わざわざ豆を買いにくる。

軽井沢のみならず、全国のお店というより、一般消費者が250gなどの少ないロットで発注してきたりしてて、顧客は相当な数にのぼる。配送の住所書きとかもやったからわかるけど、宛先が本当に全国各地に及んでいる。

もちろん俺はなるべく喫茶のほうを担当するように配慮してもらっていて、現場での流れというものを叩き込んでいる。大きな流れももちろんだが、ちょっとしたことなんだけど、こういうことをやらない限り、絶対気付かない大事なこととかが盛りだくさんで、OJTの大切をつくづく痛感。

コーヒーは珍しくプレスを使用して、淹れる。俺の店はサイフォンで淹れようと思うので、ドリップそのものが違ってたり、これも俺の店では出さないつもりのエスプレッソやカプチーノもバリバリ特訓させてもらっている。

無関係なものは何もない。たとえばエスプレッソマシーンのメリット、デメリットというものを本当の意味でわかった気がするので、俺の店では迷わず、マシーン導入は見送ろう!って考えが出来たこととか、ドリップその他で食い違いはもちろんあるのだが、ドリップの修業をしにきたわけじゃないし、ウェーターとしてホール内業務全体の流れと、バックヤード内の洗い物やオーダー通しやコーヒー作成や会計という、全体の流れを労働の強度を体感することも含め、身体に覚えこませるのが狙いなので、その点ですごくいいし、繁盛店だから、オーダーとかでいい感じにテンパッたりして(笑)本当に俺にはもったいないところでやらせてもらっている。

ずーっと立ちっぱなしというのも、意外に平気だった。

不思議なもんで、電車や立ち読み時に7,8時間ずっと立ってるなんて耐えられないことだが、お店となると大丈夫っていう、やはりチョイ摩訶不思議ではあるが、これも体感。

これまではバーテンダーとか個人店のマスターはカウンターで、8時間くらいずっと立ってる、っていうことだけで、俺の中ではこの人たちはスーパーマン扱いだった(笑)。

コーヒーを淹れたら必ず毎回その味見をするのだが、カップオブエクセレンスで第二位を受賞した、「ブラジル・サンヴェネディート」っていうコーヒーの味は本当にびっくりした。とにかく旨い!

柑橘系果実の味とかナッツの味がする!ってこんな形容じゃ違うんだけど、もちろんコーヒーの味なんだが、今まで飲んできたどのコーヒーとも何か根本的に違う感じの劇的な旨さだった。

商品の生命線であるコーヒー豆が最高級品という中で修業する機会に恵めれたというだけでもよかったと思う。

この味に慣れてしまったから、今後コーヒーに対するハードルが急に上がって、ますます他の店のコーヒーが飲めたもんじゃなくなるとも思うが、それはそれでそっちのほうがいいと思う。

丸山師匠は俺に対しても、物凄く腰が低く、丁寧に接してくれてて、なんだか「修業」とか「見習」っていう語句を使ってるのがはばかられる。

綱島にいるT師匠もそうだが、俺が師と仰ぐ2人はいずれも凄く謙虚で、上から下に言う感じが全くない。

だからこそこれからも最高に敬っていきたい。

―――――――――修業編エピソード2に続くーーーーーーーーーーーーーー

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