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スカタライツ再結成(スカ、ロックステディの歴史④)

1983年、音楽フェスティバルに参加するために、ローランド・アルフォンソとトミー・マクックを中心に再結成されたスカタライツ。

「Return Of The Big Guns」

フェスティバルでの演奏が好評で勢いに乗った彼らは、翌1984年、アルバム「Return Of The Big Guns」をリリースします。
そして、このアルバムがめっちゃカッコいいんです!

全7曲、そのうち5曲が亡きドン・ドラモンドの作曲というのが、また、胸にグッときます…
ずっと前にドン・ドラモンドは亡くなってしまいましたが、残されたメンバー達のドン・ドラモンドへのアツい想いがすごく伝わってきますね!

「ドン・ドラモンド、俺たちはずっとお前と一緒だぜ。」

そんな声が、アルバムから聴こえてくるかのようです。

このアルバムは全曲が最高です。
すごくテクニックがある演奏ではないかもしれません。
若い頃のようにパワーあふれる演奏ではないかもしれません。
曲のアレンジもシンプルかもしれません。
ただ、人生経験を積んだからこそ出せる音、アツい心を持っているからこそ出せる音、がここには詰まっています。

YouTubeにアルバム丸々が転がっていました。
全7曲で40分あまり。コンパクトにして最強です。

カリブの大海原を吹き抜けていく風。
そんな清々しく、雄大な音楽の世界です…

再結成後のスカタライツは、この後もコンスタントにアルバム制作、ツアーをしています。

「Greeting From Skamania」

1996年のアルバム「Greeting From Skamania」には、再結成後には珍しくヴォーカル入りの曲が2曲入っていますが、どちらもブラス隊がいい味を出している綺麗な曲です!
少しアップテンポな「Have A Good Time」。

そして、メローな「I Wish You Love」。

「Ball Of Fire」

1997年のアルバム「Ball Of Fire」では、1960年代にスカタライツが作り出した名曲の数々をエネルギッシュに再演しています。
録音環境がいいためか、曲の良さがダイレクトに伝わりやすく、僕は正直、1960年代の演奏よりこちらの方が好きかもしれません。
熱心なスカ・ファンからは怒られそうですが(笑)。

このアルバムにもドン・ドラモンドが作った曲が多く入っています。
アルバムのライナーノーツからもドン・ドラモンドへの想いがひしひしと伝わってきます。

ライナーノーツの著者が、ドン・ドラモンドの母校(Alpha Boys School)を訪ねて、当時のドン・ドラモンドを知る(キリスト教の学校だったので)シスターに話を聞きにいっています。
すると、ブラスバンド部の練習が聴こえてきました。
ブラスバンド部の練習に案内されて、見学に行ったところ、ブラスバンド部の先生がこう話しかけてきました。
「スカはお好きですか?」
「ええ、すごく好きです」と著者は答えました。
すると、先生はバトンを一振りし、「…2、3…」
バンドは一斉にドン・ドラモンドの名曲「Occupation」を始めました。
シスターは、ドン・ドラモンドのことを回想します。
「彼は静かな少年だったわ。真剣で、才能があるトロンボーン・プレイヤーでアレンジャーだった。でも、その時から、彼が遠くに行ってしまうように感じていたの。そうね、私の一番好きな音楽はずっと、彼の「Eastern Standard Time」だわ…」

他にも、ドン・ドラモンドがアレンジした「Latin Goes Ska」も入っています!

ローランド・アルフォンソとトミー・マクックが作曲した「Confucius」も!

ローランド・アルフォンソがソウル・ブラザーズ時代に演奏したジェームズ・ボンドのテーマ曲も再演しています!

そして、あのジャマイカ独立賛歌もアルバムの最後に入っています。
「Freedom Sound」!

元々の曲もカッコいいですし、演奏も円熟味を増しており、味わい深く、本当に最高です!!

1998年、カリフォルニアでのスカタライツのライブの最中、ローランド・アルフォンソは脳卒中で倒れ、そのわずか後に亡くなりました。
まさに、倒れる間際まで音楽に捧げた人生でした…
その後、オリジナル・メンバーは徐々に抜けていますが、メンバーを変えながらもスカタライツは現在も活動を続けています。

これにて、だいぶ端折って短くはなりましたが、僕が好きなところをギュッと凝縮した「スカ、ロックステディの歴史」は完結とさせていただきます!

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