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ドラマ「聖者の行進」をHuluで2024年に初めて見た感想

1998年1-3月、冬クールのTBS金22ドラマだった
野島伸司脚本「聖者の行進」。

最近放送されていた、その26年後、
2024年1-3月、冬クールのTBS金22ドラマだった
「不適切にもほどがある!」(宮藤官九郎脚本)が、ありますが

当時、98年は私、高校受験真っただ中だったようで
見てると親に怒られるだろうし
親と一緒に見て怒られなさそうなドラマしか観ていなかったな。。。
調べてみると、同クールで観ていたのは(下記のリンクを参考)
「きらきらひかる」と「ニュースの女」だけでした。
「きらきらひかる」の主題歌が、ミスチルの「ニシエヒガシエ」、
「ニュースの女」の主題歌が、JUDY AND MARYの「散歩道」で、
ドラマも主題歌も大ヒットしていた記憶が。

ですが、同クールの「聖者の行進」は見ていなかったです。
見なかった理由として
・野島伸司脚本だから何かしら怖そう
・金曜ドラマって大体親と見れない内容が多い
・一人で見てると怒られそう
・雛形あきこが出るのなら、絶対に親と見れないシーンがあるはずだ、、、(受験直前だからこそ余計それな)

あたりですかね。
当時、母親と部屋が一緒で、母が下のベッド、私が上に寝ていて
テレビを見る時は、
上の戸棚に超絶アナログパチパチ直接チャンネルボタン小型テレビがあり
それをベッドに寝転んで見るか、
私は机で勉強しながら小型テレビを見上げて視聴し
下に寝転んだ親が私を目の前でテレビ視聴しつつ監視できるわけです。
(しかし、あの仕組みでなければ高校には合格できなかったと思う、、、)

というわけで、見てなかったんじゃないですかね。

そして、当時も社会的にこのドラマはだいぶ問題になり、
ウィキペディアを見ると、その問題について書かれていましたが、
TBSへの苦情が鳴りやまなかったらしく、
スポンサーも降りたみたいですね、、、
同じような例で、2009年1-3月、冬クール日テレ土9ドラマだった
「銭ゲバ」もそうだった記憶がありますが。
銭ゲバは第1話から最終回まで毎週欠かさず見てて、面白くて
どハマリしていましたが
(「ひよっこ」「ちゅらさん」の岡田惠和さんが脚本とは思えないくらい、暗い内容)
もしかして、同じような系統なのでは?と「聖者の行進」についても見るまでは思っていたり。
それこそ「不適切にもほどがある!」代表のドラマだったのではなかろうか、、、


今回、なぜ見ようかと急に思い至ったのは、
今月からNHKで「新プロジェクトX」が始まることにて、主題歌も
前シリーズと同じく、中島みゆきが地上の星をニューバージョンで歌う
ということで、
それに因んで、NHK MUSIC SPECIAL「中島みゆき」が先日放送されていたのを
たまたま全部見たわけですが、
そこで

「「命の別名」「糸」は、ドラマ「聖者の行進」の主題歌でした」という
ナレーションがあったのですね。
「・・・え???」と。
あれ、相当問題になった、知的障がい者を扱ったドラマじゃなかったっけ???
でも、中島みゆきの曲が主題歌だったんだ!!!
そして、「命の別名」は、中島みゆきさんの曲は結構好きなのに
恥ずかしながら知らなかったです。
私の好きな系統の曲でした。

と、思って、突然興味を持ち始めました。

で、調べると
家族で加入している、私の家で観れるHuluで観ることができることがわかり、
しかし、暴力・性暴力描写が怖いな、、、と見るのを恐れていました。
が、きっと4年前に家で一人で観た
ホラー・暴力・性暴力の映画「ミッドサマー」よりかは
大丈夫でしょう、90年後半地上波なら、あそこまではしない、と思い
おそるおそる1話を見てしまったのですが。

始まる時に、

「このドラマは、知的障がいのある主人公たちが希望を見出していく物語です。本編内には、暴力的なシーンや障がい者を揶揄する表現、性的暴行、自殺など視聴者が不快に感じる場面が含まれています。当時の制作意図を尊重して配信しますが、過去に辛い経験をされた方は、視聴を避けるか、信頼できる方と一緒にご覧ください。これをきっかけに問題意識が高まればと考えております。」

というテロップが出ます。

で、ですね、ここからは
私、あまり粗筋に触れて感想を述べるのが近年、あまり好きではなく
(ネタバレになるのを既に完結作品でも恐れる ←見てほしいかもしれない、という想いが強く)
ざっくばらんに書きますが

【マイナス面】
・たしかに暴力・性暴力・言葉の暴力が、不適切にもほどがありすぎて恐ろしい。
マネさせない、トラウマを植え付けない、という目的でも小学生以下には絶対に見せてはいけない。

・後述【プラス面】のきれいなシーンの余韻に浸りたいが、切り替わるように暴力・性的なシーンが挟まれる。

・4話あたりの学校での集団イジメ、、、リンチか、そのシーンがめっちゃ怖い。たしかにこれはHuluなど有料配信ではないと流してはならない。

・当時のドラマはほぼそうだったが、「人を殺す」「人が不慮の事故でしぬ」ことに頼る展開が多い。

【プラス面】
・永遠(とわ、主人公=いしだ壱成)と、ありす(ヒロイン=広末涼子)の幻想的なシーンが想像以上にすごく引き込まれる。ずっと見ていたい。
きれい過ぎて泣いたこともあった。このドラマの一番の見どころと思う。

・オープニング、エンディングの秘密基地みたいなところでみんな一緒にいる、笑っている映像が素敵。

・廃バスで過ごすという設定がおしゃれ。あんなのはドラマでしかできないのかもしれないが。

・廉(れん、安藤政信)がとにかくかっこいい

・もも(酒井法子)って声がきれいだなぁ。

・カスタくん(お人形)を裁判シーンに持ち出して使うところなどが秀逸。

・終盤あたりで、弁護士の宇野(いかりや長介)が語るセリフは、名台詞。
調べてみると、ネット各所で「名台詞」として紹介されていたので、自分としてもコピペしても覚えておきたいので記しておこう

強くなることはないです。
弱い自分に苦しむことが大事なことなんです。


人間は元々弱い生き物なんです。
それなのに、心の苦しみから逃れようとして強くなろうとする。


強くなるということは鈍くなるということなんです。
痛みに鈍感になるということなんです。 


自分の痛みに鈍感になると、人の痛みにも鈍感になる。
自分が強いと錯覚した人間は他人を攻撃する。


痛みに鈍感になり優しさを失う。

いいんですよ、弱いまんまで。
自分の弱さと向き合い、それを大事になさい。
人間は弱いままでいいんですよ、いつまでも…。


弱い者が手を取り合い、生きていく社会こそが素晴らしい。

https://gotcha.hatenablog.jp/entry/%E8%81%96%E8%80%85%E3%81%AE%E8%A1%8C%E9%80%B2

・上記、宇野のセリフ以外にも、
かなり名台詞でしょう(とわの口癖「でしょう」をリスペクト)と思われるセリフが多く、
野島伸司って、本当に天才なのだろうと思ってしまう

・現代でも相当何かとタイアップされる、中島みゆきの「糸」の曲は、「命の別名」とともに、そもそもこのドラマの主題歌だった(1-4、10-最終話)。
「糸」を調べたらこのドラマに行きつく人が多いのかも?


というわけで、目を覆いたくなるシーンはありましたが、
「見て良かった!」と思える箇所も上記に挙げるくらい、多かったです。
結末については「そうきたか」と思いました。

段田安則さんは今でも大活躍なさっていらっしゃるが、
いやぁ、よく演じたな。。。と思いました。
雛形あきこさんは、きつい役だったと思いますが、
その後結構ドラマに俳優として長く出てるのも、
このドラマでの経験も各ドラマ制作チームから買われたのではなかろうか。

個人的に一番心配だったのは、デビット伊東さんですが、
やはり当時、演じる役柄が相当きつすぎて、お悩みになっていたと、、、
いかりやさんが心の支えになっていたとは。


このドラマを観たことで、
現代にもこういう問題、あるよな、
性暴力の問題なんて、昨年旧ジャニーズの件、
障がい者虐待は、やまゆり園の事件で相当問題になったし
と、改めて問題意識をつかむことができたと思います。
そういうことだけではなく、
先日、それも26年ぶりでしたが「GTOリバイバル」にて
「人が殴られた時に動く神経は、言葉の刃を受けた時に動く神経と
同じものが動く」というセリフがあったし、
昨日、某静岡県知事のふざけた不適切発言もあったし、
日常の些細なところから「暴力」って、
今でもあるので、

野島伸司さんはどこよりも早く、そういったことに
目を向けていたのではないのでしょうか。

このドラマ、すごくみんなに見てほしいのだけど、
簡単におすすめできるような内容ではないので・・・
まぁ興味がある方は、
冒頭の「おことわりテロップ」の意味をよくかみしめて、
是非見てください!!!

そして、子どもたちに、このドラマから得られる大切なことを
伝えていかなければいけないのが
大人の役割なのかなと思いました。

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