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2017.8.17 リアム・ギャラガー Live@Zepp Tokyo

2017年8月17日(木)@Zepp Tokyo


オアシスは、ほぼリアルタイムで聴いてきた世代の僕だけど、何故か来日公演に行こうとはしなかったなあ。どうせチケット獲れないだろうと諦めてたからか、ライヴに行くほどではないと考えてたからか(今と違って、昔はライヴ苦手だったので、よほどのアーティストでないとライヴ行かなかった)。
それはよく憶えてないけど、とにかく、オアシスのライヴを生で観る事はできなかった。

昔から、僕はどちらかというとリアムよりもノエル派で、それは僕も2人兄弟の兄だからというシンパシーもあるし、オアシスの中心的ソングライターはノエルだったという事もあるし、リアムはとにかくトラブルメイカーという印象で、兄弟喧嘩する時はたいていリアムが原因なんだろうと思われたし、インタビューではファッキンばっかり言ってるし(逆に面白いけど)。
まあ、とにかく、リアムには良い印象がなくて、ノエルの方に重点を置いて見てきていた。

なので、来日公演があるとするならば、まずはノエルを先に観る事になるんだろうな、と思っていた。
すでにチャンスはあって、2015年にノエルが来日した時に、武道館公演がチケット余ってたので、行こうかどうしようか迷ってたんだけど、その1週間後にポール・マッカートニーのライヴが控えてたから、気持ちが分散してしまうのを恐れて、結局行かなかった。
でも後になって、やっぱり行くべきだったなあ、とすごく後悔したので、次に来日する時は絶対に行こう、と心に誓っていた。
なので、近いうちに、きっとノエルを観る事になるだろう、と思っていたんだ。

そんな中で今年、リアムがサマーソニックに出演するために来日が決定したというニュースを聞いた。
初めは大阪公演しか出ないとか言ってて、なんで東京には出ないの?とも思ったけど、そもそも僕の嫌いなフェスだし、とても行く気はしないなあ、なんて思っていた。

で、そんなニュースと同時くらいだったんじゃないかな。
リアムのソロ・アルバムからの1曲目が公開になったのは。
その「Wall of Glass」を聴いて、とても興奮した。
これ、オアシスじゃん、と。
結構軽く見ていたリアムだったけど、実はすごいんじゃないか?と思い始めた。
ソロ活動にすごく期待が持てるんじゃないか、って。

そうしてたら、なんと東京での単独公演が決定して。
それならば観てみたい!と。
だけど、日程を聞いてちょっと躊躇。
8月17日は、スピッツのライヴに行きたいなあ、と考えてた日だったからだ。
行きたいライヴが見事に重なってしまった。
どうする?どっちにする?
自分では結論が出せず、結局、「チケットが獲れそうな方」という事になった。
どうなるかまったくわからなかったのだけれど、チケットの先行抽選の受付が先に始まったのがリアムの方だった。
ならば、リアムに申し込んでみよう、そんな単純な結論だった。
スピッツよりもリアムの方が、競争率低い様な気もしたし(実際のところはわからないけど)、なんとなく獲れるんじゃないかと。
そしたら、本当に獲れてしまったんだよね。
だから、リアムに行く事になった。
スピッツも30周年ツアーで、有名な曲たくさんやりそうだから行きたい気持ちはやまやまだったんだけど、そもそもチケット獲れてたかはわからないし、これはもう運というか縁というか。

オアシスとビーディー・アイの曲中心のセットリストなのかなあと思ったのだけれど、今年精力的に行われているライヴのセットリストをチェックしてみると、オアシスの曲と、これからリリースされる1stソロからの曲が半々くらいで。
ビーディー・アイの曲がまったくないのは驚いたけど。
オアシスの曲も、あんなクソ兄貴が作った曲なんか歌うか!とか言って、自分が作った曲しかやらないのかなあと想像してたけど、全然そんな事もなくて。
それよりも問題なのは、これからリリースになる曲をたくさんやる、という事だ。
聴いた事のない曲ばかりのライヴって、ちょっと辛いからね。
だから、本当はソロ・アルバムのリリース後に、それを聴きこんでからライヴを観る、というのが理想だったんだけど。
うーん、どうしようか、と思ってたら、今の時代は便利だね。YouTubeにて、最近のライヴ映像や音源がたくさんUPされていた。
これを聴いて予習すればいいや、と、とても気が楽になった。

そうしてライヴが近づいてきて、YouTubeで予習してたら、さらに新曲が公開されて。
それが今まで聴いてたものよりもさらにいい曲で感動。
このタイミングでの公開なら、もしかして、日本公演でやってくれるんじゃね?生で聴けるんじゃね?と、ますます期待が高まっていったのだった。


8月に入って毎日の様に降っていた雨も、ライヴ当日は降る事もなく、念のために持って行った傘が邪魔なくらいだったけど。
18時開場という事で、僕が到着したのは18時20分頃。
Zepp Tokyoは、先月aikoのライヴで訪れたばかりだったので、いろいろと学習済み。
この日もあちこちで買い物してから行ったから、両手に荷物を抱えてたので、荷物を置ける壁際を確保する必要があった。
でも、先月の様子を憶えて、狙ってた場所があったので、早目にトイレをすませ、ドリンクを交換し、18時30頃なら、まだその場所は空いてるはずだから、と一目散にそこへたどり着くと、その通り、最後方の壁際はまだガラガラ。
無事に、僕にとってのベスト・ポジションを確保する事が出来たのだった。
19時の開演まで、座って壁に寄りかかりながら読書なんぞをして過ごす。

すると、会場が暗転。
オープニングSEの「Fuckin’ in the Bushes」が流れだし、ライヴの開始が告げられた。
18時59分。
リアムの事だから、開始時間は大幅に遅れるんじゃないかと思ってたら、なんと開演予定時刻よりも早く始まってビックリ!


01. Rock‘n’ Roll Star
02. Morning Glory
03. Wall of Glass
04. Greedy Soul
05. Bold
06. For What It's Worth
07. D'You Know What I Mean
08. Slide Away
09. Eh La
10. Chinatown
11. I Get By
12. You Better Run
13. Universal Gleam
14. Be Here Now
(Encore)
15. Wonderwall


1曲目は「Rock‘n’ Roll Star」。
オアシス1stのオープニングを飾る曲だ。これが始まりだ、という高らかな宣言に思える。
両手を後ろに回してお尻の所で組み、体を斜めにして、上向きでマイクに向かって歌う。
リアムだ。リアムのシルエットだ。
アップ・テンポなビートに乗せて、これぞロックンロール・スターのライヴだ、と盛り上がれずにはいられない。
曲が終わると、観客が「リーアム!リーアム!」とコールし、歓迎の意を表す。

続いて「Morning Glory」。
ギターのイントロが始まると、またオアシスの名曲だ!と、観客が沸いているのが伝わってくる。
「♪ うぇ~る、わっつざ、すとーりー、もーにんぐろーりっ」と観客が一緒になって歌う。もちろん僕も歌う。楽しい。
頭を振って、足でリズムを取って、一緒に歌って。興奮した。
リアムを観てる、オアシスを観てる、という気分が高まった。

1stソロからの第1弾「Wall of Glass」が始まると、観客もしっかり予習済みなのか、待ってましたとばかりの歓声。
これはバチバチとたたみかけてくるビートが最高で、ハードかつ歯切れの良いギターのフレーズも印象的。
乱暴な歌い方も、いかにもリアムで大好き。

次はさらにスピード・アップした「Greedy Soul」。
やや不穏な空気も入り交じる曲。
さっきは、観客もソロの曲を予習済みなのか、と書いたけど、この曲以降のソロ曲は一気に反応が鈍くなっていったというのが正直な所。
かなり熱心なファンでないと、最近のライヴ映像を観て予習してくるという事はしないのか、それとも、事前情報を入れないでライヴに臨みたいという人が多いのかわからないけど。

アコギのストロークと同時に始まった「Bold」は、サビの韻を踏むメロディが印象的で、一発で耳に残る。
寂しさ漂う、好きな曲だ。

そして、待ってました、やってくれましたの「For What It's Worth」。
来日公演直前で公開になったのがこの曲だ。
ジョン・レノンを想起させる、力強くも、切なく美しいバラード。
サビのファルセットを含むメロディが文句なく素晴らしい。
これは名曲だ。
YouTubeで何度もリピートして聴いたこの曲を、早速生で聴けて感動。

またオアシスに戻って「D'You Know What I Mean」。
3rdからの曲で、シングルではあるけれど、ちょっと長くてしつこいという、あまり良い印象のない曲だったけれど、ライヴで聴いてみると、さほど長いとも感じなかったし、オアシスの曲だと思うと興奮もして、思ってたより全然良かった。

次もオアシス初期の「Slide Away」。
1stの中でも好きな曲だったので、生で聴けて嬉しい。

次の「Eh La」だけは初聴き。
最近のライヴのセットリストを見ると、やったりやらなかったりしてたので、曲名だけは知ってたけど。
歌い出したら、歌詞の中にEh Laと入ってたのですぐわかった。
これからリリースされる1stソロの収録曲の中に、このタイトルは入ってない。
もしかしたらカヴァー曲なのか?
どういういきさつの曲なんだろう、いまだ謎。
曲調は、メランコリックでいくぶんカントリー気味。でも、憶えたらみんなで合唱しやすいかも。

続く「Chinatown」も、いささかメランコリックで、ちょっとユニークな感じもする、微笑ましい曲。

「I Get By」は、リズム隊が聴き所で、勇ましさを感じる曲。

「You Better Run」は思わず体が疼いてしまうような、地味ながらもノリの良い曲。
「♪ アハハン」て所が、ムッシュかまやつを思い出してしまうんだよ。

「Universal Gleam」もジョン・レノンぽくて、実際、Aメロがジョンの某曲...「Real Love」だったかな?にソックリだと思った。
ゆったりのんびりした曲で、リアム以外の誰かのヴォーカルだったら眠くなってしまうようなものかもしれない。

本編最後はオアシスの「Be Here Now」。
これ、前からブラーっぽいと思ってたんだよね。うねり具合とかアレンジが。
シングルでもないこの曲を最後に持ってくるなんて、よほどリアムのお気に入りだったんだろうか。
終盤の「♪ カモーン、カモーン、イエーイエーイエー」はビートルズっぽいね。
「Good Night!」と言って、引っ込むリアム。

観客は「リーアム」コール。
そして意外と早く再登場。

アンコールは「Wonderwall」。
この曲が始まった時の歓声も大きかったね。もちろん僕も大好き。
特に「♪ by now」のリアムの歌い方とか、「♪ I don’t believe」の畳み掛けのメロディが大好きで。
CDでは途中からドラムが入ってくるけど、今回はその気配なし。ステージをよく見ると、バンド・メンバーが全員揃っているわけではなく、どうやらアコースティック・セットだった。
そして、さらりと歌ったリアムは、サッとステージを後にした。

最近のライヴのセットリストをあれこれチェックすると、ごく稀にだけれど、最後に「Live Forever」をやっている時もあって、当然、なんとかやってくれないかなあと期待したんだけれど、すぐに「これをもちまして、本日の公演はすべて終了しました...」のアナウンスが。
やっぱりやらなかったか。残念。


この時、20時8分。
ライヴは、アンコールも含めて1時間10分にも満たないものだった。
まあ、これはあらかじめわかっていた事だけれどね。
知らなかった人は不満だったかも。
まあ、もともとフェス用に組まれたセットリストだしね。フェスの出番はだいたい1時間じゃん?
日本にもフェスのために呼ばれて、特別に単独公演が追加されたわけだから、内容はフェスと同じものだと考えるのは当然だし。
ただ、わかってた事とはいえ、実際に1時間ちょいで終わっちゃうと、やっぱり、もう終わりなの~?もっと聴きたかったよう、と感じてしまったのは事実で。
そこはどうしても、マイナス・ポイントとなってしまう。
ただ、よく考えてみたら、時間は短くとも、15曲もやってるので、極端に少ないというわけでもない。
ソロ活動の手始めのライヴとしてはこんなところか。

こんなところ、と言っちゃうと、不満を持ってるように聞こえちゃうかもしれないけど、それは誤解で。
ギュッと凝縮された、濃密な時間だったよ。
ライヴはとても素晴らしかった。

披露されたオアシスの曲はすべて3rdまでの曲で、後期の曲はまったくやらなかったのも何か意味があるのかね。

ライヴが始まるまでは不安もあったのだよ。
大幅に遅刻するんじゃないかとか、途中退場するんじゃないかとか(日本でも前例あり)、不機嫌になってしまうんじゃないかとか、そもそも来日しないんじゃないかとか、なにかトラブルを起こすんじゃないかと、無事にライヴを観れるのかどうか、ハラハラもした。
だけど、蓋を開けてみれば、ライヴはフライングで始まるし、機嫌がいいかどうかまではわかんなかったけど、潔くキメてたし、非常に優等生的な感じで意外だった。

なにより、圧倒的にオアシス感が漂っていた。
前に、ノエルのライヴ映像も観た事があるけれど、こんなにオアシス感は感じなかった。
やっぱりオアシスはリアムが歌ってこそだったんだ、と自覚した。

もちろん、オアシスの歌だけが良かったのではない。
ソロの新曲群も予想以上の出来。
10月にリリースされる1stソロ・アルバムが待ち遠しくて仕方ない。
素晴らしい曲が何曲も入っている。それは確認済みだ。
リアムはいいソングライターになった。
アルバムは、きっと名盤となっている事だろう。
オアシスやリアムに少しでも興味があった方は是非聴いてみてほしい。損はしないと保証します。

とにかく、これでリアムをすっかり見直したというか、もはやリアム派になってしまったと言ってもいい。
これからのリアムには期待大だ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけましたか? もしもサポートしていただけましたら、今後もライヴをたくさん観て、がんばって感想書きたいと思います。