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バカなイベントとバカ真面目な話

ども!世界と人間のすべてに興味のあるひと@シリコンバレーです。

皆さんは、自動車大国アメリカ発祥のモータースポーツ、モンスタージャムをご存知でしょうか?

モンスタートラックと呼ばれる巨大な車両で、アクロバティックな動きをしながら一般車両を踏み潰すイベントです。

「・・・イベントです。」と言われても、

いや、どゆこと??

と、ハテナが100個くらい浮かんでしまったかもしれません。

しかし、実際にそういう意味が分からないイベントなのです。

今回は、このめちゃめちゃアメリカらしい、意味不明なイベントを観た感想を書いてみたいと思います。


そのイベントは、西海岸らしい晴天の過日、サンフランシスコ市内のChase Centerで開催された。

スタジアムはもともと、バスケットボールの試合用に作られたものだから、中は体育館のような作りになっている。

見かけこそでかいが、中心にポツリとバスケコートが配置され、その周りをグルリと観客席が囲うスタイルの、案外小さなスタジアムだ。

モンスタージャムで使われるトラックは、タイヤだけで直径が1.7mと、日本人男性の平均身長ほどもあるという。

そんな巨大なトラックを縦横無尽に走り回らせ、アクロバティックなプレイをするのだから、アメフトやサッカー場など広い場所を借りて開催されることが一般的だ。

こんな狭いバスケコートで間に合うのか。

一抹の不安を胸に、奇策を期待しながら観客席につくと、果たして・・・

やっぱり、コートがめちゃめちゃ小さい!!笑

バスケットゴールと床を取り除いただけで、もちろん何の奇策も用意されていないから、狭い会場に対して巨大なモンスタートラックの存在感が半端じゃない。

真ん中に配置されているのが、一般車両だ。

車好きじゃないからよく分からないが、黄緑色の車の右から2番目はレクサスらしい。

それを今から、あの巨大な車体で踏み潰そうっていうことらしい。

いや!

意味わからん!!

車好きのためのイベントなのか、そうでないのか、よく分からないコンセプトだ。

が、実際どんな感じなのか、気にはなる。

期待して待っていると、DJがご機嫌にMCを始める。

そして、ついに時は訪れた。

暴走族が改造したバイクのマフラーに耳を突っ込んでしまったかと思うほどの轟音とともに、モンスタートラックが駆け出した。

駆け出した、といっても、実際には時速5キロくらい。

思ったよりだいぶ遅い!

ちなみに、ガソリン1リットルあたり、50mくらいしか走れないらしい。

だいぶ燃費も悪い!

が、走り出して、1台目の一般車両を踏み台にして

飛んだ!

思ったよりだいぶ飛んだ!笑

そして、

思ったよりだいぶ高い!!

上から撮っているから分かりづらいが、多分これ、地面からトラックの鼻先まで10メートル以上あると思われる。

3階建ての建物くらいの高さはあるとみて良いだろう。

5トンを超える巨体をここまで持ち上げられるのは、シンプルにすごい。

MCの解説によれば、この飛ぶ長さや高さ、着地の美しさなどの要素で点数が決まり、最後に得点の多かったドライバーが勝利するらしい。

次々に飛んでいくトラックを見て、確かに、トラックの体躯とドライバーの腕によってだいぶ飛ぶ距離や高さに違いがあることがわかる。

遠く、高く飛ぶトラックには、こちらも思わず声をあげてしまう。

ちょうどそれは、野球でホームランを見た時に思わず立ち上がり、歓声を抑えられないのに近しかった。

なるほど。これがスポーツと言われる理由がよくわかったような気がする。

ちなみにこのモータースポーツは、余興もなかなかに面白かった。

ダイナソートラックという、これまた訳わからないコンセプトの乗り物が出てきて、どの車両を喰らうかを吟味した後・・・

このように、目を輝かせながら車にかぶりつくというものだ。

意味が分からなすぎる笑

日本でやろうとすると、天下のトヨタがブチ切れそうだが、さすがはアメリカというべきか。

誰に遠慮することもなく、もっともプリミティブで、もっともフィジカルで、もっともフェティッシュなやリ方でいかせていただいてる感じが、とてもエキサイティングだった。
# 地面師たち


以上、アメリカのモンスタージャムというイベントの感想でした!

車を踏み潰しながら飛び回る以外にも、あの大きな車体で高速スピンをしたり、バク宙しようとしてひっくり返ってクレーンで運ばれて行ったり、他にも盛り上がる要素が沢山ありました。

途中、DJによって、会場で観戦する子ども vs 大人で、ダンスバトルをやる余興などもはさまって、面白かったです。

アメリカでは各地で頻繁に行われているようなので、もし旅行や出張を予定している人がいれば、近くで開催がないか、ぜひチェックしてみることをお勧めします!

さて、最後に、この意味不明なイベントの後、一緒に観に行った現地の同僚(アメリカ人)と飲みに行ったときのことを少し。

ある種、「周りを気にせず、やりたいことをやる」の象徴のようなイベントを観た後だったからでしょうか。

彼女と普通にキャリアの話をしていると、突然、

「あと1年の命だとしたら、Youはどう過ごす?」

という質問を受けました。

明確な回答を持っているが故に、逆にいつも答えづらいなーと思うこの手の質問。

3年近く一緒に働いているから、その同僚の思想は僕もよく知っていて、「自分の好きなことをして生きる」を至上命題にしていることは明らかでした。

そしてそれは、僕自身の人生哲学とは相容れないものであることも、分かっていました。

答えを濁して彼女自身に水を向けると、「私は今の仕事は好きだから、それは続ける。でも、20%くらい減らして、残りの時間は愛をもって人に接し、愛を伝えることに使う」と言っていました。

僕は笑顔で、「素敵な考えだね」とだけ伝えました。

答えはなんであれ、経済的にも社会的にも成功を手にした彼女が、こういうテーマを常に考えているということに感銘を受けました。

同時に、モンスタージャムのバカなイベントの後に、バカみたいに真面目にこうしたテーマを語り合える同僚がいるって、有難いなぁとしみじみ感じました。

思えば、今の会社の同僚は全般的に、遊びにもバカみたいに全力である一方、こうした思想的な面でもバカみたいに真面目な人が多い印象。

ジューイッシュ(ユダヤ教徒)の同僚は、毎週金曜日の夕方から24時間は、どんなに忙しくても仕事をしません。

ユダヤ教の教えでは、金曜日の日没から土曜日の日没までは「安息日」として労働が禁止されているからです。

その時間、何をしているのか。

自分の人生(働く意味や生きる目的、幸せや信仰について)と向き合う時間にしているそうです。

彼も若くして経済的、社会的な成功を手にした一人ですが、それでも、なのか、それゆえに、と言うべきか。

何年もの間、毎週のように自分の人生の意味について深く思索を巡らせて、生き方をチューニングしているという事実は興味深いと思いました。

皆さんは、いかがでしょう?

1年の命だとしたら、何をして過ごしますか。

1年は少し長くて、逆にイメージが湧きづらいですね。

実際には死は突然に来るものなので、哲学者パスカルにならって、

「あと1週間の命だとしたら、Youはどう過ごす?」

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