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ラスベガスで童○を捨てさせられた話

どうも、世界と人間のすべてに興味のある人@シリコンバレーです。

今週はラスベガスに出張に行ってきました。

アメリカではビジネスの大きなイベントはラスベガスで開催されることが多いので、行くのは3回目になります。

ただ、今回は日本から9名もの出張者をアテンドしながらの参加だったので、ハードでした。

朝7時から朝食ミーティングが始まって、日中は出張者向けに通訳をしながら15〜20社と商談、夜は毎日ネットワーキング・パーティに参加して、22時くらいまでお酒を飲みながら、ひたすら色々な人と連絡先を交換。

そのあと翌日の商談準備の打ち合わせをして、終わったのが23時半。

ホテルの部屋に戻って倒れ込むように椅子にもたれると、測ったかのようにピコンとLINEの通知が鳴る。

「お疲れー」

Bossからです。

僕:「お疲れさまです!今ようやくもろもろ終わりました😮‍💨」

B:「終わったんじゃなくて、始まるんだよ( ^ω^ )」

僕:「はい?」

B:「今からカジノやるぞー!」

C・A・S・I・N・O

カジノ

カジ・・・ NO!!!

でも僕はNOとは言えない日本人。

そこから、長い夜が始まりました。


ラスベガスは、アメリカのネバダ州の南部に位置する、世界有数のカジノ街です。

歌舞伎町が蛍の光のように霞んで見えるほどギラギラとしたネオンが街中に光っていて、個性的なホテルも多くあり、どのホテルにも大抵、カジノ場が設置されています。

今回宿泊したのはピラミッドの形をしたユニークなホテル。

カジノで稼ぐビジネスモデルになっているため、宿泊費は意外にそんなに高くないのも、特徴です。


さて、ホテルの1階がカジノになっている逃げ場のないホテルの中で夜中の0時を過ぎて連行された僕は、そこでコンコンと説教を受けました。

「お前は仕事と勉強はもういい。対極のことをしてこそ、人間としての厚みが出る」

「お金は失ってもまた稼げるけど、経験はプライスレス。何事も経験が大事」

「そろそろカジノ童貞を捨てないと、次のステージには進めない」

挙句、「カジノも立派な資産運用だ」という迷言が飛び出す始末。

そんなこんなで、今回、カジノを初体験してみました。


さて、カジノと聞くと、皆さんどんなイメージを持たれますかね?

漫画・カイジのような、一世一代の大枚をはたいて大逆転を狙うも大損をぶっこく、そんなイメージの方もあるのではないでしょうか。

僕も、実際にやってみるまではそうでした。

ところが驚いたことに、カジノって実は数あるギャンブルの中でも、かなりの期待値になっていて、数学的には「大負けしない」設計になっているんです。

こちらをご覧ください。

これは、いわゆる僕たちが日常でよくやる賭け事の、還元率です。

1万円かけると、競馬であれば平均的に2500円負けて7500円くらい戻ってくる、って感じですね。だいぶ厳しい。

宝くじに至っては半分以下になってしまうので、かなり勝つのが難しいゲームであることがわかります。

一方で、カジノは大体こんな感じらしいです。

軒並み95%を超えています。

ということは、(複回数やって、ちゃんと引き際を見極めて引くことができれば)かけたお金のほぼほぼが返ってくるんですね。

しかも、大金は不要で、最小はたった1ドルから遊ぶこともできるんです。

え、それじゃあ「カジノで大損した」ってことがなんで起きるの?ということを思ったのですが・・・

今回わかった答えとしては、人間の煩悩をかき立てて、手持ちのお金がなくなるまで、ついついやってしまうように上手に設計されているから、です。


以下に、僕が気づいたカジノ側の手口を挙げてみたいと思います。

①現金ではなく、チップでやり取りをする
→現金を失っている/得ている感覚がなくなる。

②お酒が無料!しかし注文してから届くまで10分くらいかかる
→その間、手持ち無沙汰だし、その場にいなきゃいけないので、ついつい目の前のゲームに参加してしまう。また、無料故にお酒をガンガン飲むため気が大きくなり、判断力も鈍るため大金を使ってしまう。

③時間、窓、鏡がない
→非日常に閉じ込められているような錯覚に陥り、時間を忘れて長時間やってしまう。

④異常なほどの光と音
→暗い部屋にマシーンのギラギラとした眩い光と騒がしい音が響くことで、脳が覚醒し、興奮状態になる。結果、疲労感を忘れて長時間やってしまう。

⑤かなりの確率で当たりが出てしまう
→期待値が高いため、実際にかなりの確率で勝てる。だからこそ、負け越した時に「次は勝てるのではないか?」との期待感が拭えず、「一発逆転」を狙って再度大きく賭けてしまう。(そして結果負ける)

という感じで、うーん、これはなかなかよくできていますよねぇ。

期待値が高くとはいえ100を超えているわけではないから、賭け続ければやっぱり負けてしまうし、1回1回大きく賭けたくなる罠が用意されているから、結果、大負けしてしまう人が後をたたないんだなぁ、と。

気持ちは分かります。

実際、僕の同僚でも、一晩で$1500(22万円)を負けた人がいました。


さて、そうしたカジノの基本を理解したところで、どうするか。

僕の場合は、まずはやる前に全てのゲームと、そこでの他のプレーヤーの勝率を観察し、僕でもできる簡単そうなやつで、最もそのホテルで勝率が高そうなものを選ぶことにしました。

結果、ルーレットに決めました。

その上で、なるべく損失を抑えて遊ぼう、という目的のもと立てた戦略は二つ。

一つは、ルーレットは統計によってのみ選択をする。例えば、黒と赤のうち、黒が出る確率が50%を超えているならば、黒にかけ続ける。

幸いこの日は、黒が67%と圧倒的に多く出ていた日。

当然のごとく黒にのみベットし、3回の勝負のうち、(統計通り)2回を勝利し、順調に元手を$100→$150に増やしました。

そして二つ目の戦略は、元手を超えて勝っている分($50)のみを使って増やす、ということ。この$50がなくなるか、$200まで増えたらそこで終了、というルールを決めて、全部無くなっても損しない状態を作りました。

結果、勝ったり負けたりで$50から$120くらいまで増えていったのですが、最終的にはやっぱり負けて、最終$25くらいだけ勝っておしまい。


というわけで、一応かじってみたものの、いわゆる脳汁が出るほどの勝利もせず、かといって負けもせず、一番つまらない空気で終わりました笑

昔、クイズ・ミリオネアで、500万円くらいのところでドロップアウトするやつを見て、「何だよこいつ!空気読めよ」と思っていましたが・・・

すみません、僕がそういうやつでした。

さすがに仲間からも戦い方がせこいということでブーイングを受けながらも、

「大事なのは経験することだって言ってましたよね。経験しましたけど?」

「カジノは資産運用なんですよね?$25増えましたけど?」

ということで押し通して、めでたくカジノ童貞を卒業しました。

だいぶ性格悪いなぁ、自分😂

もちろん、こんな言い方はしてないですけど。

ただ、今回、やって良かったこともあって、

一つには、自分自身の人生経験の中に確実に+1されて、カジノにハマる人の気持ちが多少理解できるようになったことです。

賭け方と引き際を間違えければ、競馬やパチンコよりも少額で長く遊べるし、たまにやる趣味としては面白いし、全然いいんじゃないか、と思いました。

二つには、お釈迦さまが『大無量寿経』に

世人、薄俗にして共に不急のことを争う(すべての人は、本当に大切なことを知らず、急がなくてもいい目先の利益ばかりを争っている)

と説かれたことも、

ラッセルが『幸福論』に

道楽や趣味は、多くの場合、もしかしたら大半の場合、根本的な幸福の源ではなくて、現実からの逃避になっている

と書いていることも、

本当だなぁ、ということがしみじみ知らされました。

カジノだけではなく、あらゆる趣味や生きがいは「楽しく生きていく」上で大事なものに違いないけれど、やっぱり色褪せて、やがて消えていくもの。

人生は一度しかないし、いつ終わるか分からないから、できるだけ色々なことを経験しろ。

これもわかるけど、僕はどちらかと言えば、

人生は一度しかないし、いつ終わるか分からないから、たった一つ本当に大事なことを突き詰めてやり切ろう。

そんな風に思います。

そういうことをあらためて考えさせてくれたカジノと、それに誘ってくれたBossや同僚に感謝です🙏

というわけで、今回はシリコンバレーではなく、ラスベガス漂流記でした!


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