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【トルコ南東部を行く】⑯日本円の両替に四苦八苦した後のコーヒーの味

トルコ南東部ハタイ県アンタキヤからバスで東へ。ガジアンテップのバスターミナルに到着したのは午後4時頃だった。バスに乗っている時から、ちょっと心配になっていることがあった。手持ちのトルコリラが残り少なくなっていたのだ。

今回の旅行では、基本的に日本の銀行カードで、現地のATMからトルコリラを引き出そうと思っていた。カードの裏に「PLUS」のロゴがある銀行カードなら、中東のかなりの国で現金を引き出せることは経験上知っていた。トルコでも、少なくともイスタンブールや首都アンカラでは何度も使っていた。今回もまあ、大丈夫だろう、と思い、手持ちの現金は、すべて日本円にしていた。

この日は、アンタキヤでオリーブオイルなどの土産物を買って、トルコリラが残りわずかになったまま、バスターミナルへ向かった。バスターミナルにあったATMで引き出そうとしたが、カードが戻ってくる。まあ、いいや、と思い、ガジアンテップのバスターミナルに着いてから、再びATMに入れてみるが、ここでもカードは空しく拒絶される。この2つのバスターミナルには、現金両替所も見当たらなかった。

まあ、いいか、ガジアンテップ中心部に行けば、少なくとも両替所はあるだろう。と再び思い直し、タクシーに乗り込む。ざっくり計算して、タクシー代を払うのにもギリギリという状況だったが、幸運にもなんとか、足りた。中心部のホテルに着いた時点で、残りは数十リラにまで減った。
ガジアンテップは1泊だけの予定だったので、早くいろいろ見たり食べたりしたかったのだが、まず、お金だ。

ATMは、どの機械でも現金引き出しができないのではないかと思い、両替所にターゲットを絞る。中東のそこそこ大きな街では、ダウンタウンにはたいてい両替所が複数ある。期待通り、ガジアンテップにも両替所はあった。

ちょっとホッとして、カウンターで1万円札を出すと、拒絶の仕草。米ドル、ユーロはOKでも、日本円は換えられない、ということらしい。それから3軒ほど回って、ようやく日本円を換えてくれるところがあって、ホッとしたのだった。

よくよく考えると、この頃は、円安がかなり進行していた時期。不安定感があった円の取り扱いを両替所が控えていたのでは、とも思う。あるいは、これはあまり思いたくないことだが、トルコにおける日本の存在感の低下だ。コロナ禍で、日本からトルコへの観光客が激減したことは確か。いずれにしても、トルコ旅行、特にイスタンブールなど大都市以外に行く場合は、日本円だけでは心もとない、というのが、この当時の状況だった。

ようやく現金をゲットした頃には、街は暗くなり始めていた。中心部のバザールの一角のようなところにあるコーヒーハウス(カフェ)に入る。

ガジアンテップのコーヒーハウス

中東のトルコ以外のいくつかの国で「トルコ・コーヒー」と呼ばれる、極細挽きのコーヒー粉を小鍋で煮詰めて作るコーヒー。ここのものは、表面の泡が半分ずつ、色が微妙に違った。どのようにして作るのだろうか。

2つの半月が合わさったようなコーヒーの表面をしばらく眺めてから、ガジアンテップで最初のコーヒーの一口目を味わった。


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