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古いだけが旧市街の良さでもなく

サイタマ国川越の旧市街は、江戸時代に河川交通を利用した江戸への物資供給地として栄えた。有名な蔵造り商家は、建物自体は1890年代の大火の後に建てられたものがほとんどだが、江戸時代から続く川越商人たちが現代に伝えてきたものだ。

ただ、実際に現在商いを営むのは、川越以外の人々なんだ、という話をよく聞く。街にあふれる観光客をターゲットにした商売は、その道のプロという人たちがいるだろうし、適材適所ということで、それ自体は悪いことでもないように思う。

旧市街というと、古いものが息づく場所というイメージがどうしてもあるが、実そういうものでもないのかも知れない。旧市街といえるかわからないが、米ロサンゼルスのダウンタウンには、日系移民が集まってできた「リトル・トーキョー」がある。エジプト・カイロでも、伝統的イスラム地区の一角に、近年、中華料理店が集まるエリアが形成された。

むしろ、新しいものを吸収しながら、さらにユニークな街に進化するポテンシャルを持っていることが、旧市街の魅力かも知れない。

川越でも、日本の伝統建築を意識したデザインのスターバックスカフェが、観光名所の時の鐘近くにある。訪れた人の印象に残るスポットだろう。

ただ、ひとつ不思議でもあるのは、旧市街エリアに、中華料理・韓国料理以外のアジアの料理店がほぼないことだ。川越は最近、ベトナム人など外国人住民が増えていて、市全体をみればかなりの数のアジア人が暮らしている。それなのに、なぜ、である。
そうした料理店が少なかった岩手から引越してきて、南アジア、ベトナム、ミャンマー、中東といった地域の本格料理を気軽に食べられると楽しみにしていたので、少し残念だ。

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