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中東シネマ倶楽部

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中東(オリエント)地域の映画レビュー、映画祭リポートをお届けします。
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#映画

ドキュメンタリーの手法を問うメタフィクション…イラン映画「命の葉」

イラン映画には、メタ映画、つまり「映画についての映画」といった作品が結構ある。アッバス・…

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2人が今いる日本は、空の見える「監獄」なのか…映画「東京クルド」

クルド人は、中東のイラン、イラク、シリア、トルコにまたがる地域に数千万人が暮らす民族。現…

イスラエルに移住したロシア人の望郷…『声優夫婦の甘くない生活』

イスラエル最大の都市テルアビブには、耳に入ってくるのはロシア語、店の看板はキリル文字、と…

イスラム預言者の映画を撮った監督の命を奪った自爆テロ

2020年も、イスラーム映画祭が開催された。新型コロナウイルス感染拡大という事態の中で、主催…

「フリーランス搾取」、不穏な未来を描出した英国の巨匠の映画

ケン・ローチ監督の映画は、常に現代イギリス社会の「影」の部分に焦点を当て、それを怜悧なリ…

犯罪に追い込まれた少女たちの独白…心揺さぶられるイラン映画

少年院を舞台にしたイラン映画というと、1996年の東京国際映画祭で上映された「かさぶた」…

日本で、シリアやレバノンの映画が上映されることの意味

中東の映画大国というと、まず第一にエジプトの名前があがるのは当然だろう。アラビア語が話されるいわゆる「アラブ圏」の国々に、娯楽作品を中心に広く作品を供給し、首都カイロは「アラブのハリウッド」とも呼ばれてきた。さらにエジプト自身が、アラブ圏で最多の人口を誇り、国内市場も大きい。アラブの国に行って映画好きの人と話をすると、アラブの喜劇王、アーデル・イマームやら、ムハンマド・ヒネイディの話になる。 日本では過去、カンヌ映画祭の常連だったユーセフ・シャヒーン監督の作品が多く上映され

黒魔術、輪廻転生…タブーを恐れずに愛しき故郷を描いた映画監督

以前、東京の早稲田大学キャンパスで行われたイベントで、エジプト映画「ヤギのアリーとイブラ…

イスラーム映画祭、好きなジャンルの映画をまとめて見られる機会

日本に、「イスラーム映画祭」という映画祭があることを知っている人は、どれだけいるのか、わ…

「におい」と映像美で描き出されるシリア内戦の内実

レバノンの首都ベイルート北部の地中海沿岸に立つ高層ビルの建築現場。シリア内戦を逃れて国外…

内戦が続くアラビア半島の国イエメンをもっと知るために

イエメンにはまだ行ったことがない。写真も持っていない。上のヘッダーの写真はトントン071…

第4回イスラーム映画祭、上映作品の予告編をズラリと並べてみた

第4回イスラーム映画祭の日程が決まりました。今年も全国3会場で行われるそうです。 上映1…

緑の谷で生きていく人々-「希望の樹」(1976年・ジョージア映画)

今年夏に神田神保町の岩波ホールで行われたジョージア映画の連続上映。そこで見逃した「祈り三…

不倫という私的行為が持つ政治的意味--東京国際映画祭2018

東京では毎年秋に、2つの国際映画祭が開催される。 東京国際映画祭(TIFF)と、東京フィルメックス。フィルメックスのほうが、より作家性の強い作品が上映される。主宰の市山尚三さんの好みも色濃く反映されている。 TIFFは招待俳優、監督などによる「レッドカーペット」があったりして華やかな感じ。個人的には、総花的で特徴に欠ける面があると感じる。だが、上映本数が多く、選択肢が多いという点では、うれしい映画祭だ。 TIFFのスポンサーだった木下工務店が、今年からフィルメックスのス