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薪作業の一日

当店は、暖房に薪ストーブを使っています。
薪ストーブはスイッチ一つで暖かくなってはくれないし、燃料の薪は作るのにも運ぶのにも手がかかってすこぶる面倒で、とにかくいちいち時間がかかります。
けれども、室内の空気は綺麗で静か、煮込み鍋なんかも載せられて、そして揺らめく炎は見つめているだけで時間を忘れてしまいます。
「あー、太古の昔も人類はこうして炎を見つめていたのかなぁ」などと思いを馳せてみたり。

さて今回は、そんな薪ストーブの燃料となる薪づくりの作業をご紹介いたします。
雪に埋もれてしまう前に、懸案だった薪仕事を実施しました。
今回の仕事は、夏前に原木で入手してチェーンソーで玉切りにした丸太を、「割って薪にして小屋に積む」作業です。
朝9時から夕方5時まで、みっちり肉体労働の一日。

薪は、割ってすぐに燃やせるわけではありません。
割ってから少なくとも半年は乾かして水分を少なくして、適度に燃えやすくストーブにも優しい状態にするのが重要。
だから、一定期間、雨をしのいで保管する小屋も必要になります。

もちろん、乾いた薪の状態でこまめに購入すれば、まとまった保管スペースも時間も体力も不要です。
けれども、薪は買うとなかなかにお高いのです。
時間と体力とスペースはそこそこあるけれど、お金があまりないので原木から薪にするまでの工程を自分たちでやっています。
それに、今のところこの作業が楽しいと思えるのが一番の理由。

この日処理するのはこちらの丸太。

夏の間に約40㎝の長さに玉切りした丸太の山。
右奥にあるのは2年前に薪にしたものです。

この丸太たちを、割って割って割りまくってそれを小屋へ運んで積みます。

この小屋の右半分のスペースへ収納します。

さて、割ってくれるのは「薪割り機」です。
10年ほど前まで斧で手で割っていましたが、体を壊しそうなのでお隣の姉夫婦と共同購入しました。
一人で作業する時もありますが、この日は二人で一気にやりました。

こんな風に使います。
ウィーン、メリメリメリ。
写っているのはわたしではありません。

機械のパワーは素晴らしく、極太の丸太も難なく割ってくれますが、あまり太いと薪割り機に載せられないので、直径30センチくらいがわたしには限界です。

チェーンソーの刃が40㎝、この丸太はわたしには無理。

今回のわたしの担当は、割られた薪を小屋へ運んで積む作業。
バンバン生産される薪を一輪車に載せて小屋へと運び、ひたすら積んでいくのです。
乾く前の薪はずっしりと重く、腕と足は翌日筋肉痛になりますが、最近やっと腰を痛めないような動作ができるようになりました。

単純作業ではありますが、野鳥の声を聞きながら大空の下で体を使って黙々と作業していると、なんだか無の境地に入っていくような気になります(そんな気になるだけ)。
そして、なぜか若い頃のことなど思い出して、「スカートにハイヒールで都心を闊歩していた20代のわたし、30年後に男物防寒パンツに長靴で薪を積んでいるよ」と、昔の自分に話しかけたくなったりして。

お昼は屋外用ストーブの上でお餅を焼きました。

膨らみ始めたところ。
外で食べると何でもおいしい。

体を使って働く時は、とくに休憩時間をこまめにきっちり取ることが大切。
「キリがいいところまでもうちょっと……」と無理をすると、疲れから怪我をしてしまいがちです。

さて、薪小屋は徐々に埋まっていきました。

この空きスペースが……
こんな風に薪を並べて……
バランスと配置を考えつつ、
テトリス気分で積み上げて……
ちょうどいい感じでピッタリ収納。
薄暗くなったころ、丸太の山も消えました。


「何歳までできるのかな、この作業……」と毎回思いながら、それでもできるうちは感謝して、楽しんで、続けたいと思います。

今回作った薪は、たぶん3年後以降に使うことになります。
冬の間にご来店くださる皆様に、じんわりほっこり暖まっていただける薪、3年先の分までご用意できました。
薪があっても、その時に店が無かったら意味がないので、店のやりくりもがんばりたいと思います。

(金)(土)(日)のみ営業の冬季営業も、皆様のお越しをお待ちしております。

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