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天職と運命の人

20代の女性のお客様に、
「店主さんは今のカフェの仕事が天職ですか? ご主人は運命の人ですか?」
と聞かれました。

もう何十年も前のことですが、わたしは就活中に見た会社案内に『これが私の天職です!』と載っていた若い女性社員に憧れて、めでたくその会社に入社したのですが、入ってみたらその女性はすでに退職していなかった、という経験をしたことがあります。
会社案内に掲載されるくらいの人材なのに、『天職』は『転職』の誤植だったのかと驚きましたが、以来「天職」という言葉を軽々しく使うのはやめよう、と思った次第。
もちろん、「職種」自体は天職のまま活躍の場を変えただけという可能性もありますが、でもまあ、恐らく天職じゃなかったんだろうなあ。
そんなにすぐに「これが天職!」って、わかるものじゃないと思うんです。

同じように「運命の人」も、出会って間もない段階でわかるものではないと思います。
だって、ラブラブのラブの状態なら、誰もがそう思いがちだから。
有名人の恋愛とか結婚とか見ていても、初期の段階で過剰なノロケを発信するカップルに、短期間での破局が多い気がします。
わたしも若い頃、完全に「運命の人」だと思い込んだことがあったけれども、全然違いました。「運命の人じゃなかった!」と思う運命ではあったので、ある意味「運命の人」ではありますが。
というか、むしろ巡りあうすべての人が「運命の人」なんですね、きっと。

だから、天職も運命の人も、きっとそんなにすぐにわかっちゃった気になるのは、違うんじゃないかな。おばさん、そう思います。

「天職なのかな」「運命の人かも」と思いたくても、探りながら、訝しりながら、浮かれたりがっかりしたり、失敗と成功、出会いと別れを繰り返しながら、最終的に人生をまっとうした時点で結論が出るのかもしれません。

今、決めなくても、今、目の前の人や仕事に、精一杯向き合えばいいはず。まあ、それが大変難しいのですが。

そういうわけで、とりあえず、今、目の前の大型連休の営業にしっかり向き合いたいと思います。

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