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ソメイヨシノ 【 #熟成下書き 】

内容が初っ端からエロに傾き過ぎて、置き場に困って下書きに保存されたまま。笑
加筆しようと思いつつ、方向がエロから本線へ戻せず、、、とりあえずは、この後をどうか妄想して楽しんでくださいませ。苦笑



「沙知との思い出をいっぱい作りたいんだ。」

少し間を置いた後、微かに煙草の香りがする指で私の頬に軽く触れると、滑り落ちるように肩を抱き寄せ、唇の感触を確かめるようにゆっくりと唇を重ねていく。
私はその魔法にかかったように従順に受け容れながらも、心にはアクセルとブレーキが交互に踏まれている。

彼から語られる『思い出』という言葉が、喜びから悲しみに変わったのはいつからだろう。

思い出だけがあれば、彼は生きていける。
私でなくてもよい思い出なのだ。
彼の中で愛し愛された記憶として何度も反芻され、やがて他の女たちとの過去に一括りにされてしまう不倫相手の1人に過ぎない私など。

ひと気のない山林の道路脇に停めたクルマからは、遠くに海が見える。
晴れた日の日本海がこんなに澄んで美しいと知ったのは彼と会うようになってからだ。


深入りしても私は自分自身を律して、戻って来られると勘違いしていた。

2人だけの時間を愉しむことで彼の満たされない日常に彩りを添え、私は女性としての新たな快感を覚える。割り切ったギブアンドテイクだと。


彼は私を自分好みの身体に仕立てようとしている。
そして私は今までされたことのない愛撫に戸惑いながら、驚きや、微かな痛みや、時には悲哀、そして歓びに涙を浮かべることもある。

私は彼の身体を知ろうとする。どうして欲しいのか、どこが彼の弱みなのか、どうしてやれば彼の理性が壊れるのか。彼の掠れた声がやがて弄ばれる1人の男になる姿に成り下がる瞬間が愛しい。

そんな、身体だけの乾いた関係ならよかった。

なぜか惹かれあってしまう心と、その熱に伴った身体の関係は未知の域を探そうと、どこまでも求め合う。


#熟成下書き



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