『君の名は。」と日本映画の方向性

『この世界の片隅で』がアニメも好きです。だからこのアニメの100倍以上も評判になった『君の名は。』を観ました。いい映画です。写真のように光輝く画像はまるで夏の東京の再現。美しいアニメでした。

SFとしてのストーリーも繰り返された時空テーマとして良くできています。しかしです。これが日本アニメの方向性なのでしょうか。主人公たちのフィギュアのような長い脚と大きな瞳。強すぎる色彩と光の連続。何度も見たい映像ではないかなと。

動物や虫、風や海の躍動感に対するリアリティはとっくり忘れられているのだと思います。『千と千尋』の、暴れ回るハクを取り押さえる千のようなリアリティは、もはやリアルではないのかもしれません。

一番衝撃を受けたのは口噛み酒のシーン。上はヒロインで、下は高野秀行さんの『辺境メシ』より。もちろん下が現実です。口噛み酒の作成には大量の糖分と水分(つまり唾液)が必要なため、『君の名は。」のようにおしとやかにはいかない。観察していた高野氏は「大食い大会」だと表現されていました。

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