鴎外なんて大嫌い

近代日本文学を読んでいると、声を大にして言いたいことがある。私は、森鴎外が、大嫌いだ。夏目漱石と並ぶ近代文学の「巨人」でありながら、読むに耐える作品は「高瀬舟」「雁」「舞姫」と、ほとんど岩波文庫一冊分しかない。これからめちゃくちゃディスりますので嫌な方はスルーしてください。

『舞姫』なんか鴎外に対する嫌悪感なしには読めない。当時のドイツ留学組の日本人は鴎外に限らず現地妻を持っていたことは有名だが、恋人エリスが鴎外を追いかけて日本に来ても追い返す。しかも(最近の研究では)、その間に上野精養軒で2回もオセッセしてるのだから呆れる。人間性を疑う。

ドイツ留学においても医学を真面目に勉強しないから、帝国陸軍の中で脚気細菌説を唱える。そして大量の傷病死を日露戦争において出す。かつ、海軍の臨床医学の成果を認めない。人間としても、軍医森林太郎としても出世しながらも、彼の意識は天皇制の家父長的な価値観から離れられていない。

そんな鴎外は小倉の12師団に左遷される。左遷されたことがショックで毎日を鬱々とする。ほとんど九州になんか関心がない。彼の筆力なら当時の九州の風土を軸にした傑作が生まれえただろうに…。鴎外の作品は面白くはないけれど、近代のエリートとして、生き方そのものが参考にはなるのだ。

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