悲しみは消えるというなら

誕生日。2月29日が誕生日の人は、うるう年以外には3月1日に年を取ることになるそうです。

誕生日。投票期日の翌日が18歳の誕生日ならば、17歳にも選挙権があるそうです。

誕生日。死んでなければ、あるいは死んでようと365~6日後にはやってくるわけですが。

誕生日。祝って何の意味があるんですか?


例えば60歳には還暦のお祝いをしたり、そのほか特定の年齢でさらにお祝いをすることがあります。何となく子供の頃のお祝いは「死なないで育ってくれました」感があるんですけど、特に長寿のお祝いって何なんでしょうか。
別に長く生きたからってめでたいとは限らなんじゃないかなあ。

【お断り】とても否定的な入り方をしていますが別に誕生日否定派じゃないです。ちょっと見方を変えてみようと思っただけなので……【お断り終】

例えばあなたは今、落差160mくらいの断崖絶壁の上にいるとします。そこであなたは怖いと思うでしょうか?(私は怖いです行きたくないです)
怖くない?では、その断崖絶壁の上から生身で飛び降りてください。パラシュート?クッション?そんなものはありません。飛び降りたらあなたは死にます。確実に。
そこであなたは怖いと思うでしょうか?飛び降りることを躊躇うでしょうか?

当然と言えば当然ですけど、多くの人はかなり躊躇うと思います。人は死ぬのが怖いんです。他の動物もそうでしょうけど。

死にたくない。

何で死にたくないんでしょうか?生物的に言えば「種の保存(今話題ですね)」なんでしょうけど、多分それだけじゃないと思うんですよ。ここから考えられる2つのパターンがあります。「まだ」死にたくない、つまり、何かやりたいこと、経験したいことがまだあるパターン。そして、「そうではないけど死ねない」パターン。

不死身だったら死ねません。それはそうですけど、いやそうじゃなくて、例えば「死んだ先に待っているものが怖い」「死に損ねるのが怖い」とかいうパターンです。

自分が死ぬのも怖いですけど、誰か大切な人が死ぬのも怖いです。ここは死に限りませんが。家族、恋人、友人、親戚、学校や職場の仲間、あるいはペットでもいいです。お金を失くすのと人を亡くすのは客観的・機械的な光景(現象?)に差はありませんが、実際は大きな差があります。お金は稼いだら取り戻せますが、死んだ人は帰ってきません。

死んだ人は取り戻せないから、生きていてくれてありがとう。捻くれた見方ですが、「誕生日おめでとう」の本質の一つだと思います。

外国では「誕生日を迎える人が」ホームパーティを開いたりするそうですがあれは別です。多分一種のコミュニケーションです。

私事ですが、私は他人の誕生日を覚えることが苦手です。名前も覚えられませんが。顔は回数を重ねると覚えられます。

そもそも家であまり「誕生日おめでとー!イエーイ!どんどんぱふぱふー!」みたいにならないのと、自分の誕生日にあまり思い入れがないのあるかもしれません。プレゼントを渡す風習は違う星のものだと思っているくらいです。

誕生日、ロクなことがない方が多かったし。

誕生日に一度とても嫌なこと(詳細は伏せるけど実は今でも割と恨んでいる)があって、本気で死のうかなと思たくらいです。死ねなかったんですけど。

そういえば何回か死のうかなって思ってる気がする。

死ねないんです。

何でだろう、本当に。笑えるね。

終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる
失くした後に残された愛しい空っぽを抱きしめて

借り物の力で構わない そこに確かな鼓動があるなら
どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう

HAPPY BIRTHDAY

BUMP OF CHICKEN「HAPPY」の2番の歌詞です。どん底の私を引っ張り上げた歌です。お誕生日おめでとうと一緒にだいたい送り付けています。https://www.youtube.com/watch?v=RwCl11tyWP0

死ぬななんて言ってくれていないです。ただ、死ねるなら生きられるよね、という単純な事実を指摘してくれています。そして「どうせ終わる」旅と言い放ってます。この後にHAPPY BIRTHDAYと連呼しているわけで、まあ意味が解らないです。

意味が解らなくないです。

生まれてきたことに意味があるのさ 一秒も無駄にしちゃいけないよ
   ――ガラスのブルース

生まれて今生きているから意味があるんです。何なら今生きているだけでHAPPYなんです。死んだらできないことを、生きているうちならすることができるんです。

優しい言葉の雨は乾く 他人事のような虹がかかる
なんか食おうぜ そんで行こうぜ これほど容易く日は昇る

辛いことがあった時にはみんな優しい言葉を掛けてくれますが、ずっとかけ続けてくれるわけではありません。いつかは誰も掛けてくれなくなります。

雨の日にはコンビニで肉まんでも買って食べましょう?

悲しみは消えるというなら 喜びだってそういうものだろう
誰に祈って救われる それよりも大切な手をとって

勝ち負けの基準も解らない だけど確かに守るものがある
教わらなかった夢と共に 少年は大人になった

続きを進む恐怖の途中 続きがくれる勇気にも出会う
無くした後に残された 愛しい空っぽを抱きしめて

消えない悲しみがあるなら 生き続ける意味だってあるだろう
どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう

Happy birthday

生きていたら嬉しいことも悲しいこともあって、どちらか片方だけ選んで残していくことはできないんです。楽しいことがあれば辛いこともある。でも辛いことだけじゃなくて楽しいこともちゃんとあるから生きていけるんです。
だから生きていく選択をしたら、辛いこともあるけど先に進むエネルギーももらえるんです。


言ってしまえば生きようとしている状態も死のうとしている状態も、生きていることに中毒しているのかもしれません。生まれた時から死ぬ時まで、この毒にずっと侵されているんですね。


自分も必死に生にしがみつきながら、他人にも生と出来るだけたくさんの幸せを望む。願わくはその道に祝福あれと。

HAPPY BIRTHDAYってきっとそんな言葉なんだと思います。








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