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CAEエンジニアに必要なスキル

CAEエンジニアに必要なスキルを整理してみました。製造業のCAE部門の解析専任者を想定すると、こんな感じになるでしょうか。

CAEのスキル

  1. 手順書通りに操作できる
    CAEソフトウェアの基本的な使用方法を理解し、定められた手順に従ってタスクを遂行する能力です。初心者レベルであり、CAEツールの基本機能の使用方法や結果の基本的な解釈が含まれます。

  2. 日常実施している解析をアレンジして、経験がない機能を使う
    新しい機能や未経験の解析方法を取り入れる能力です。マニュアルや教材を参考にしながら、柔軟に対応することが求められます。

  3. 他社事例などを見て、類似の解析をする
    他社や学会の事例を参考にして、類似の問題に取り組む能力です。限られた情報を補って、自社の問題に応用する創造性と分析力が必要です。この「あれをウチでもやってみよう」ができると、一人前とみなされることが多いです。

  4. 世間に事例のない解析をする
    事例がない新しい問題に対して、手探りで独自の解析を行う能力です。さらに高度な問題解決能力が求められます。成功すれば社外発表したくなりますが、機密保持のために発表できないこともよくあります。

  5. 機能を拡張する
    既存のCAEツールの機能では不十分な場合に、自ら機能を拡張する能力です。プログラミングスキルや深い工学知識により、材料モデルの開発や後処理のカスタマイズが可能になります。若いうちにここまでできるエンジニアは、上司が十分に評価しないと転職してしまうかもしれません。

エンジニアリング全般のスキル

  1. 設計意図を汲んだ改善提案をする
    製品設計の意図を理解し、CAEの結果に基づいて具体的な改善提案を行う能力です。製品の機能や性能に関する理解が必要です。設計部門からの解析依頼に対応する場合に、重要なスキルです。

  2. 実験との整合性をとる
    CAEの結果を実験データと照らし合わせ、整合性を確認する能力です。実験方法の知識と分析力が必要です。CAEモデルの改善に必要なスキルです。

個人的見解ですが、すべてのエンジニアがここに書いたようなスキルをすべて獲得する必要はないと思います。それぞれのエンジニアが目指すキャリアパスや、組織の人材育成の方針によって、必要とされるスキルは異なります。例えば、手順書通りの操作の範囲であっても、素早く美しいメッシュ分割を行う能力は、車両の衝突解析など特定の業務において分業が進んでいる企業では重宝されるスキルです。また、独自の材料モデルを開発してユーザーサブルーチンを作成するようなスキルは、研究職の方や特殊な解析ニーズがある場合にだけ必要となります。

そして、専門家集団になりがちなCAE部門は、人材育成や他部門との協力連携が欠かせません。そのためにはコミュニケーションやマネジメントのスキルが必要です。CAE特有のスキルではないので、ここには書きませんでしたが、これらも大切なスキルではないでしょうか。

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