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妄想大東京#10 『好き•愛好•ファン』

おいしいものを食べて、
「これ、すごいおいしい!」と言うのは抵抗ないが、「これ、大好き!」と言うのは抵抗がある。

なにかアーティストの「愛好家」になるのは抵抗ないが、「ファン」になるのは抵抗がある。

どんなに仲が良くても「友達」というのは抵抗ないが、「親友」というのは抵抗がある。

昔から何かの「ファン」になったことはない。
昔から不安に駆られたこともない。

中学生くらいから、まわりの男たちは公表し始める。
あのグラドルが好きだ。あの女優が好きだ。あのタレントが好きだ。
アイドルやアーティストというものは中毒性があるようで「ファン」だと公言する者たちもでてくる。
私も一度、前にならってあるアイドルの「ファン」だと言ってみたことがある。しかしすぐにその発言を取り下げた。

私は今まで「好き」で続けてきたものはひとつもない。私の中に「好き」で構成されているものは何もないのかもしれないとさえ思った。

しかし私の中にはもちろん「好き」がある。自分をよく観察すると、「無意識に好きなもの」が多い気がする。なんとなく歩いていて選びがちな道があるし、なんとなく選びがちな音楽があるし、なんとなく選びがちな番組がある。それが自分の「好き」という意識に繋がらないのは、わからないが、確実に無意識の自分は何かの「ファン」であると思う。

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