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「きのう、何読んだ?」(2024/5/19~2024/5/24)

今週は半分寝込んでいたので更新少なめ。金曜日には復活したと思いきや、土曜日も朝から発熱…。楽しみだった予定はキャンセル。
薬飲んで寝ます。

『センスの哲学』2024/5/19(日)読んだ本


行きつけのカレー屋さんでチーズナン

「きのう、何読んだ?」

あーもう、どうせ面白いんでしょ?

タイトルと著者・表紙を見て、にやにやを抑えられなかった一冊。読んで一言、「はい、予想通り」。

センスの哲学』(千葉雅也/文藝春秋)

立命館大学大学院教授であり哲学者・作家、千葉雅也さん。初めて著書を読んだ時、途中でググったパンクな著者近影にギョッとしたのを覚えています。

「センスとは何か?」
「センスがあるとはどういうことか?」

日常語でありながら、改めて問われてみると掴みどころのない「センス」という言葉。「あの人って、なんかセンス悪いんだよね」「私にはセンスないから無理だよ」…そんな風に、色々なことを諦めたり突き放している人も多いのでは。

千葉さんはこの本で、「センスは良くなる」と書いています。センスという概念を因数分解し、これまでの社会でどういう文脈で使われてきたかを紹介して、その上で「センスを良くする方法」を解く。

…正直、センスについて特段思い悩んだことも追い求めたこともない私ですが、目から鱗がボロボロ。

そうか、センスとは「気持ちよく生きるすべ」なのか…。

抽象的なことを具体的にイメージできるように説明するのは、千葉さんの得意技。この説明力の高さ、分けてほしいです。読んでいて心地いいんですよね。内田樹さんの「条理を尽くして説明する」という言葉を思い出します。

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『女の国会』2024/5/20(月)読んだ本


ランチ抜きの日

「きのう、何読んだ?」

今日はランチ食べられず。お腹ぺこぺこで帰宅中…。

先月4月に発売したばかり、なのにすでに二周目完了したのが『女の国会』(新川帆立/幻冬舎)。新川さんの、働く女性を描く解像度は現代においてピカイチだと思う。さすが元兼業作家、元弁護士、元インハウスリーガル。

与党議員で政治家一族のサラブレッド、通称「お嬢」が突然自殺するところから物語は始まります。

お嬢と対立関係にあり、頻繁にバトルしていた野党議員・高月馨は、「お前のせいでお嬢は死んだんじゃないか」と厳しい世論に追い込まれていき、党内でも孤立。高月は汚名をそそぐため、秘書の沢村明美や新聞社に勤める女性記者とともに、お嬢の死の真相を探り始める…!

高月、お嬢、沢村、新聞記者、登場する女性たちの、キャラクターの描き分けが素晴らしい。それぞれに違ったタイプの働く女性であり、旧弊的なところと現代的なところをそれぞれ微妙に違うバランスで持っているところがリアル。正義感に溢れ、一途でキラキラ分かりやすいヒロインキャラなんて、実際にはいないもんね。

新川さんには、ぜひこの路線でまだまだ書いてほしい…!
弁護士物語はお手のもの、今回は政治家。だとしたら次は…、建築士とか教師とか?大学ものとか?

読み終わった瞬間、もうこの作家の未読本がないこと(全部読んでるので)に地団駄踏みたくなる。

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『あらゆることは今起こる』2024/4/21(火)読んだ本


寝込み明けに食べたベローチェのナポリタン。好物なのに半分もいけず。

「きのう、何読んだ?」

医学書院の「ケアをひらく」シリーズ最新作、『あらゆることは今起こる』(柴崎友香/医学書院)。

手に取ったきっかけは、とある友人からのライン。

「ケアをひらく」シリーズの愛読者である彼女に、本シリーズの担当編集・白石正明さんのトークイベントがあることをお知らせしたのは先月のこと。私がコラムを連載させてもらっている幻冬舎plusのサイトを見ていて、偶然イベント告知を見つけたのだ。(私は先約がある日だった)

彼女からは以前、面白い本のイベントを教えてもらったことがあって、「私もお返しに」という気持ちだった。そして実際に参加してきたという彼女から、イベント当日夜に熱量たっぷりの報告ラインが。それを読んでいるだけでソワソワしてきて、Amazonへ Go🏃‍➡️ 未読のものから気になる本を何冊か選び、ポチポチ。届いたものから順番に読み進める…ハズレがない。これはすごい。

正直に言うと、難しいものは難しい。しかし、シリーズに共通する「手触り感」というか「圧倒的当事者性」というか、とにかく実感が生々しく伝わってくるテーマ設定と書き手の組合せが、本のページを乗り越えて、こちらに迫ってくるような迫力がある。

本書は、ADHDと診断された作家の柴崎友香さんの手記。幼少期からずっと自分の特性に違和感を感じつつも、正式に診断を受けたのはコロナ禍のことだという。柴崎さん自身が書いている通り、性質に合った職業についていることで、普通の人(例えば組織に属して働く人)より社会との摩擦を感じずに生きてこられたのかもしれない。

自分の内側を覗き込んで、赤裸々に「私のものの感じ方」「私の中で起きていること」をレポートする柴崎さん。この辺の描写力はさすが小説家という感じ。一方で、自分のことをここまでつまびらかに分かってしまうというのは、苦しいことでもあるのではないかとも思う。

「診断を受けて何になるのか」
「名前をつけて何になるのか」

精神分野の傾向や症状を語るときに、湧き起こりがちな葛藤。柴崎さんの語りから、その一つの答えも見えてくる。

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