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「きのう、何読んだ?」2024/7/15(月)〜2024/7/18(木)

途中でへばり、失速したもののなんとか金曜日には持ち直したというか力技で起き上がったというか…。こうやって人ってすり減るのよね。他人をすり減らしてる人は自分の正しさに胸を張っててほんと腹立たしい。でも、『スイマーズ』読んでだいぶどうでもよくなった。

『働くということ「能力主義」を超えて』2024/7/15(月)読んだ本


背景に買った手ぬぐいが。

「きのう、何読んだ?」

三連休初日に読んですぐ、「面白かった!」とストーリーでつぶやいたんですが、なんだかその後モヤモヤ気になってしまってもう一度。

働くということ 「能力」を超えて』(勅使河原真衣/集英社新書)

モヤモヤの正体は、「これを面白いと思えないと今の私はダメだ!」みたいな焦りを感じたから私は「面白い!」と言ったんじゃないかなという罪悪感。

丁寧に再読したら、やっぱり私にとっては「痛い」本でした。「評価されること」に拘ってしまう私のような人には、ぜひ手に取ってほしい一冊です。一冊通して、勅使河原さんの怒りがストレートに伝わってくる。正直ちょっと感情的すぎるのでは?と思うほどですが、勅使河原さんが闘病中で、お子さんの未来も考えて「この世の中をなんとかしないといけない」という強い問題意識を持っている表れなんだと思う。(そういう背景も、序章に書いてあります)

自分に自信がなくて、安心したくて、評価を求め続けてしまうこの気持ち。そして評価された時には、「よし、自分には高い能力があるんだ」と自分に言い聞かせていること。それは、どんな社会の仕組みによる心の動きなのかを改めて考えさせられました。

「痛い」一冊だと言ったのは、能力主義に冒されてそれを支えに生きているような面がある自分にとって、自分を否定されているように感じた部分がたくさんあったからです。

まだ腹落ちできていないこともたくさんあるし、自分なりの意見をはっきり言えるほど考えられてもいない。前著『「能力」の生きづらさをほぐす』も読み返してみます。

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『スイマーズ』2024/7/18(木)読んだ本


ここのカレーとチキンほんとにおいしい。

「きのう、何読んだ?」

こういう小説、わたし本当に読みたかった。

ひらりささんのストーリーを見て注文していたこの本が、ずっと宅配ボックスに入ったままだったのを深夜帰宅して気づきました。そしてそのまま読み始め、読み終わる頃には荒れ狂っていた体内がしんとしていた。

スイマーズ』(ジュリー・オオツカ著、小竹由美子訳/新潮クレストブックス)

昨年、『屋根裏の仏さま』を読書会で読んで衝撃を受けました。20世紀初頭に、アメリカで働く日本人男性の写真と手紙だけを頼りに海を渡った「写真花嫁」たちの物語。一人称複数でひたすら語り続けるという不思議な手法で、響き合う「私たち」の声がお経のようにもマントラのようにも聞こえてくる…あんな読書体験は生まれて初めてでした。

「10年に一冊の作家」を自称しているというジュリー・オオツカさんの新作のテーマは、水泳と認知症。

とある地下のプールを愛する人々の様子を描いた第一章から、プールに起きた不穏な出来事、そして認知症の女性と娘の物語にシームレスに繋がっていく。それぞれが抱くプールへの愛と執着。彼女が覚えていることと、覚えていないこと。

この本そのものが、静かで大きな波乗りのような。波に逆らわず、ゆったりしたスクロールで遠泳しているような。さまざまなものから目を逸らさずにいられるように、深い深呼吸を繰り返して心を凪にしているときのような。

今読めて本当によかったです。自分の人生を抱きしめたくなりました。

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