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喪服になったリトルブラックドレスと、さよならよりもありがとうの気持ち

祖父が亡くなった。ちょっとポカンとした感じの穏やかで可愛い死相だった。大変長生きしてよく頑張ったなぁ、という感じで無念さはない。が、悲しいことは悲しい。

大切な人の死に直面して、死をどう受け止めて、どう受け入れ、どう消化しているかの話。誰かに読んで欲しいというより、私の中を整理するために書いた。
⚠️辛い描写になってしまったので後半は鍵の意味で有料に切り替わるよ


年に数回会う程度の祖父を亡くした私より、長年連れ添った夫を亡くした祖母の方が辛いだろうとも長年育ててもらった実父を亡くした親の方が辛いだろうとも思う。だから祖母や親は支えてあげたい。

だけど、私より辛い人がいても、私が私の辛い気持ちを無視する理由にならないのでご自愛していくよ😌

このnoteは私が私の気持ちを無視しないためにご自愛の一環として書き出したもの。




その日は服屋さんで言われる、いわゆる「ちょっとしたパーティー」な忘年会の日だった。

今年の夏に手に入れたリトルブラックドレスの出番である。朝ウキウキで着替え、黒タイツと合わせ、鏡の前に立ってみた。

「シンプルな黒ワンピに黒タイツにパンプスだけだと喪服っぽいな?」

と思い、ブラックコーデにゴールドのネックレスとリングたちを盛り付けるとパーティー仕様が完成。「素敵やん〜!」と気分を上げて出発。


忘年会のために定時ダッシュすべく爆速で仕事を片付け、片付かない仕事は明日に回し、「よっしゃ!忘年会行こ〜」とウキウキとスマホを見たら、昼過ぎに来ていた母からのラインに気づいた。

「祖父が亡くなったよ」

えっ



人の死は突然やってくる。

動揺。母にラインをポコポコ送ったけど、母のフリック入力速度では埒があかないので電話。母はすでに新幹線に乗っていた。葬儀は明日らしい。

動揺しながら上司(優しい)にグタグタの忌引きの電話をして、忘年会ドタキャンの連絡をし、後輩に飲み会の会費を握らせ(幹事の子が結局戻してくれた。ストレートな人間なので幹事には「祖父が亡くなりまして!」と直球で連絡して気を遣わせただろうな…と反省。もうちょいぼかして言った方が良かったけど、忘年会スタート1時間前に判明したからそこまで頭は回らなかった。許そう。)、バタバタと退勤し、帰りの電車の中で経路を検索。

祖父の家は地方のターミナル駅、■■駅からさらに離れた僻地。都内から行くとトータル7時間はかかる。これは乗り換えがうまく行った時のベストレコードで、バスが1日に3本しかないから基本半日かかる。経路を調べたら、陸路でも空路でも明朝出発ではどうやっても間に合わない。まずは今日中に■■駅まで辿り着かないと。

飛行機で行くか、新幹線で行くか、何時までに乗らないといけないのか、晩御飯どうしよう、どこに泊まるか、泊まりの荷物はどうするか、お葬式の持ち物はなんなのか、明日の会議キャンセルしなきゃ、忌引きって何日していいんだ?、そんなことよりお爺ちゃんが死んで悲しい、でもまず移動しないとお葬式に間に合わない!!と頭と気持ちがパンクして吐きそうになりながら電車の中でスマホであれこれ検索しつつ、一旦帰宅。



お葬式は小学生以来20年ぶり人生2回目。30年以上生きてるのに、お葬式ビギナーがすぎる。

喪服は持っていない。
正確にいうと、年老いた祖父母の死に備えてるみたいで縁起が悪い感じがするのが嫌で、絶対に喪服は買いたくない拘りがあった。喪服は持たず、いざとなったら前日にマルイや何ならユニクロに行って黒いジャケットとブラウスを買えば良いと思っていた。が、実際ことが起きてみたら、喪服をそろえるような時間はなかった。普通に喪服を用意しておけば良かった。まぁ、私の気持ち的に買うことはできなかったし、今後も今のところ買う気にはなれないんだけど。

喪服は持っていない。が、今日の私は、奇しくも私が持っている服の中で最も喪服っぽいコーデをしていた。ジュエリーでちょっとしたパーティー仕様にはしているけど、ベースはシンプルな綺麗目のオールブラックコーデ。



私がここまでバタバタしている原因は二つあって、祖父の家が僻地すぎるのもあるけど、連絡に気づいてから葬式までの時間が短すぎたのもある。

祖父はすでに早朝亡くなっていけど、僻地すぎる祖父の家までは来れないだろうと踏んだ母は落ち着いた昼過ぎに私に連絡し、さらに、基本スマホを休み時間にしか見ない真面目な社畜の私がLINEに気づくのは夕方になった。

仕事中でも時々スマホを見るべきだったとか、早く連絡して欲しかったとかもあるけど、そこじゃなくて、

朝、私が何も知らずに「喪服っぽいな?」と思いながら服を着替えるより先に祖父は既に亡くなっていたわけで(普段着替えても喪服っぽいなんで微塵も思わないのに)、非科学的なものは信じない私でも虫の知らせってこれじゃん…と思わされたという話。偶然ってすごいよねぇ。



僻地までの移動や荷物、仕事の引き継ぎ、そして悲しみで頭がパンクしながら帰宅。
私のクローゼットで最も喪服に近い服はすでに着ていたので、服はそのまま。泊まりに必要なベーシックな荷物は出張バッグにまとまってるので、そこにお葬式グッズ(言うて数珠は持ち物として思い出せなかったので、マメクロの分厚い黒タイツだけだけど)を詰め込み、義母に結婚祝いにもらったTASAKIのパールネックレス(冠婚葬祭全部使えるから!と頂いたんだけど、本当に役に立ってて一生モノ。ありがたすぎる)をつけて、20分ほどで出発。出張慣れしてて良かった。

駅弁を買い、スマホで予約した新幹線(頭がパンクしながら予約したら予約を間違えてて改札で引っかかってまた動揺したけど、どうにかなった)に乗り込んで、本日最大のミッションが完了。ここまでくれば、葬儀に間に合うことは確定。

はぁ、疲れた。動揺した中でアレコレやることが押し寄せてきて吐くかと思った。



新幹線の車内から、スマホで会議のキャンセルの連絡や仕事の引き継ぎをして、やっと、祖父が死んだ事実に向き合える環境になった。けど、正直まだ実感が湧いてこない。

悲しみが自然に湧いてこないなら、無理に悲しまなくても良いと思い、通常運転で過ごすことにした。


新幹線ではモリモリと駅弁と豆腐バーを食べ、今日泊まる宿を予約。ホテルの大浴場と朝ごはんの時間を調べ、葬儀場へのアクセスを調べ、朝風呂と朝ごはんと現着が両立できるかな?と計画。スケジュールが許す限りホテルステイを満喫したい。

「葬儀場が遠すぎるから朝風呂は無理か…?」と思い始めたところに従兄弟から連絡が来てホテルまで迎えに来てくれることになり、朝風呂できることが確定。公共交通機関が少ないことがネックな田舎なので、車さえあれば時間は大幅短縮できる。

宿は■■駅近くに新しくできたカプセルホテル。めちゃ安いし綺麗だし大浴場も朝ごはんビュッフェも付いてて最高だった。大浴場で伸び伸びとホカホカにあたたまり、寝るだけのための激狭部屋に帰る。寝る時はしっかり周りに人の気配がするけど、こんな日なので1人で静まった中で寝るよりはガヤガヤしていて断然良かった。

翌朝も大浴場でホカホカになり、朝ごはんをモリモリ食べ、着てきた黒ワンピに着替え、TASAKIのパールをつける。

タイツはユニクロ×マメクロゴウチコラボの全然透けない分厚く暖かいもの。これしか黒いタイツがなかった。服装については黒ストッキングじゃないといけないとか80デニール以下じゃないといけないとか諸説あるらしい。けど、私はTwitterでどこかのお坊さんが言っていた「故人を偲ぶ気持ちが一番大事。服装は黒っぽければヨシ。」に賛同しているし、祖父に言わせればTシャツジーパンで来たらええって言うと思う。



迎えに来てくれた従兄弟と叔父おばと合流し、叔母に「遠くまでよく来たね、お爺ちゃんも嬉しいよ」と言われ、祖父が亡くなってから初めて色んな感情が湧き上がってギュッとなった。

死んだ人の脳の活動は終わってるのは分かってるけど、もし祖父にまだ感情があるとしたら、生前あまり会いにこなかった私が来たのは嬉しいんだろうか…?

気づいたら■■駅まで来ていたけど、私は何をしにここまで来たんだろう。

私は目的的な人間なので、すぐ何のためにとか、着地点を決めたがる。(じゃないと不安なんだよね)

私がバタバタしながらここまで来たのは、祖父のためじゃなく(だって、悲しいことに祖父の脳はもう止まっているから、何も伝えられない。)、祖父とお別れして私の気持ちの折り合いをつけるためと、遺された祖母や親を支えるためじゃないかな。と私のスタンスを決めた。


久々に会う従兄弟一家との葬儀場までの道中は賑やかで楽しかった。
お互いの近況報告や最近私が買ったルンバの良さを熱弁したり、■■市庁で働く従兄弟に都市計画を教えてもらったり、隣の車から顔を出す犬が可愛かったり。私のことをわざわざ拾いに来てくれる優しい親戚でよかった。



葬儀場着。久々に会う親戚がたくさんいるし、誰だか分からない人も多い。(祖父は10人兄弟なんだけど、分からない人は大体その兄弟らしい)

叔母に「お婆ちゃんが泣いてるから行ってあげて」と言われて、最前列で、今まで泣いているところを見たことがない祖母が泣いているのを見つけて抱きしめた。

祖母は何事にも動じない無口な人。対して祖父はすぐ泣く人だった。私の結婚式でずっと泣いている祖父を慣れた様子でやれやれだぜと見守っていたあのクールで落ち着いた祖母が。あの冷静で穏やかな祖母が泣いている辛そうな姿を見るのが、祖父の死で1番辛いことだった。



死相とか遺骨の話になったので、オープンにしない意味で有料にするね。私的にはグロかもエグくもないんだけど、こういうのは人によって様々なので😌あと、正直に書いてみたら私が葬儀のマナーを知らなすぎてフリーに公開するのが憚られるのもある(参列しても結局マナーは分からなかった…)
以下、葬儀、火葬、その後の立ち直りの話

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