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「アースクエイクバード」スザンナジョーンズ

Netflixでみた映画「アースクエイクバード」を気に入ったので、原作も読んでみました。

↑映画

私はこれを買いました。内容は多くないのですぐ読めてしまいます。

情報

スザンナ・ジョーンズ著

あらすじ

日本で翻訳の仕事をするルーシー・フライは、殺人容疑で尋問を受ける。港から上がった女性の死体は友人リリー・ブリッジズのものであると、彼女には確信めいたものがあった。尋問の間、ルーシーは日本人の元恋人禎司と出会った時のことを思い出す。禎司と自分とリリーの記憶が走馬灯のように駆け巡る。

感想

非常に陰鬱。暗い少女時代を育ち、自分の育った土地への愛を枯らし日本に移ってきたイギリス人。不思議な青年禎司への愛は、抑圧された彼女の心が依存心となって吹き出しているかのように変わりだす。虐げられた自己肯定感が悲鳴を上げる。リリーの登場でルーシーの葛藤が深まっていく。禎司の謎がストーリーの鍵で、主人公視点で語られる禎司の人物像への違和感が彼女の思い込みなのかそれとも客観的なものなのかを見極める攻略ポイントが楽しみどころ。

事件の謎を解くのではなく、陰鬱な人物描写で事件を語る語り口が面白かった。独特の雰囲気が強く、癖が強いが読みごたえがある。日本描写は正確で日本人が読んでも非常に面白い。

映画とこの原作小説で終盤の展開が大きく異なる。その違いもポイント。小説の終わりかたの方がサスペンスとして締まるオチを用意しているので、読んでいて納得できると個人的には思う。他、映画でははっきりと描かれなかったルーシーの子供時代やルーシーの家族の話等情報が多い。映画はその点無駄を省いたといえば乱暴だが、映画は映画でいいと思う。個人的には小説の方が好きかな。このほうが現実味があって余韻を味わえた。

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