004‐規約と区分所有法の違いを理解する
問題
正解
「できる」
解説
この問題を理解するためには区分所有法と管理規約の違いを理解する必要があります。
管理規約は指針
管理規約は国土交通省が指針として公開した資料です。
覚えることは管理規約は法律ではないと言うことです。
管理規約は区分所有法で示した管理者と法人管理組合に関する定めを法人格ではないマンション管理組合でも利用できる方法として示された管理ルールの見本です。
管理者=理事長、法人理事会=理事会と解釈した上で、実際のマンション管理を行う上での組合の運営ルールと住民間の生活ルールを決めます。
これがマンションにある○○マンション管理規約です。
区分所有法は法律
区分所有法は区分所有物件について定めた法律です。
区分所有法では住居以外の使用目的でも所有権があれば適用されます。
各部屋(専有部分)は、住居、店舗、事務所が混在していても成立するとしています。
オフィスビルでも区分所有物件はあります。
しかし、マンションでは用途が混在するとトラブルの発生が予想され、良好な住環境の中で生活することが出来ません。
そこで、管理規約で次のような目的を1条に定めています。
その上で用途を限定します。
規約は組合運用ルール
しかし、マンションによっては、専有部分を事業用に使用することを認めているケースがあります。
このような場合、管理組合は集会(総会)で特別議決(3/4以上の議決権)により規約を改定します。
区分所有法は法律です。
定められている内容を変更することは、認められていません。
しかし、規約は組合の運用ルールです。
組合員の合意があれば、改訂することは可能です。
規約で改訂できないこと
1、区分所有法で定められた内容の変更
2、その他の法律に違反する内容
3、公序良俗に違反する内容
言い換えれば上記以外であり、住民の合意形成(特別議決)が出来る内容であれば変更が可能と言うことです。
今回の出題
指針で示された方法は理事は総会、理事長は理事会で決定する方法です。
一方、区分所有法では以下の様に定めています。
管理者=理事長であれば、理事長は総会での選任、解任もできると読みとれます。
規約に別段の定めがあればそのルールに従うとも書かれています。
多くの組合の管理規約は、指針に従い、総会で理事を決め、理事会で理事長を決める方法を定めていますが、これを改定することは組合の合意があれば可能です。
例
理事長、副理事長、会計理事、理事、監事を総会において、自薦、他薦、もしくは輪番制で選出する。
以上のことから、総会で理事長を決めるルールを規約に定めることはできると言うことです。
判例
過去の判例では、理事会で互選された理事長の解任を総会で行ったケースの違法性が裁判で争われています。
判決は総会で解任することに違法性はない。
理事会は総会で選ばれた理事が互選で決めます。
理事長の解任は、理事会で決められるべきことですが、理事を選任した組合員により構成される総会で理事長の解任をすることは、理事としての解任も同時に行われているとして、違法性はないとされました。
ポイント
この出題で覚えて欲しいことは次の事です。
1、区分所有法は法律。
2、標準管理規約は指針であり、管理組合のルール。
3、法律に違反しない、公序良俗に違反しないことを前提に組合員の合意があれば規約の改定はできる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?