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024-マン管過去問 令和4年度問11、団地管理組合

問題

一団地内にA棟及びB棟(いずれも専有部分のある建物)があり、団地の敷地はA棟及びB棟の各区分所有者の共有である場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 .A棟の区分所有者は、A棟の集会の決議があれば、A棟の管理のための規約を定めることができる。

2 .団地内の区分所有建物に係る管理事項について、一部のみを団地管理組合で行い、その余を各棟の管理組合で行うものと定めることができる。

3 .団地管理組合において、A棟及びB棟の管理又は使用について団地管理規約(区分所有法第66条において準用する同法第30条第1項の規約をいう。以下、この問いにおいて同じ。)が定められている場合であっても、A棟の区分所有者の集会で、A棟の管理組合における管理者を定めることができる。

4 .団地管理規約に団地共用部分の定めを設けることにより、団地管理組合の管理者を団地共用部分の所有者と定めることができる。

解答

解説

この問題は団地の管理パータンを問う問題です。
一見、難しく感じますが、3条管理、68条管理とその組合せを考えれば意外に簡単に答えを導くことが出来ます。

設問1

1 .A棟の区分所有者は、A棟の集会の決議があれば、A棟の管理のための規約を定めることができる。

区分所有法3条の約束事は2つです。
1、管理組合は自然発生する
2、管理組合を運用するかどうかは組合が自由に決めることが出来る。
この2つの基本が頭に入っていれば簡単です。
3条管理は各棟単位で管理を行うパターンです。
68条管理は各棟の管理を団地管理組合で行うパターンです。
ただし、68条管理でも各棟ごとに理事長、規約を定めることも自由にできます。
忘れた方は是非016を再確認してください。

3条管理、68条管理を行っている団地であっても管理組合は棟単位、全体(団地)管理組合は存在します。
各棟ごとで各棟のルールを決めることを禁止する定めは68条管理でもありません。

例えばA棟は屋上バルコニーがありますが、B棟は屋上バルコニーはありません。このように団地で棟ごとに構造が異なることは良くあることです。
建設された時期、敷地の形状など様々な要因で団地のマンションが棟でことなります。
違いがあればルールや使用料の設定も各棟の規約で定めることはできます。

以上ことより設問1は〇になります。

設問2

2 .団地内の区分所有建物に係る管理事項について、一部のみを団地管理組合で行い、その余を各棟の管理組合で行うものと定めることができる。

68条管理と3条管理を同じ団地内で棟ごと分けて管理することはできるかを聞いています。
マンション管理組合の管理は各組合で自由に決めることが出来ることはこれまでも説明しています。
例えば次のような管理が可能です。

団地管理の一例

集会場の管理は団地管理組合、各棟は棟ごとの管理組合が運用することはよくあります。

以上ことより設問2は〇になります。

設問3

3 .団地管理組合において、A棟及びB棟の管理又は使用について団地管理規約(区分所有法第66条において準用する同法第30条第1項の規約をいう。以下、この問いにおいて同じ。)が定められている場合であっても、A棟の区分所有者の集会で、A棟の管理組合における管理者を定めることができる。

A棟とB棟が68条管理を行う団地組合で、A棟、B棟に管理者を定めることを禁止した定めはありません。
区分所有された棟があれば、組合は自然発生、規約を定めることも、管理者を置こうこともそれぞれの棟で行うことが出来ます。
団地管理規約に定められていないA棟のルールをA棟の規約で定めることも可能です。

以上ことより設問3は〇になります。

設問4

4 .団地管理規約に団地共用部分の定めを設けることにより、団地管理組合の管理者を団地共用部分の所有者と定めることができる。

団地管理組合が出来ないことのひとつに団地共用部分の管理所有があります。
これが定められている条文が66条です。
参考までに記載しますが、読む必要はありません。(読んでもわからないと・・・念仏のような呪文のような・・・難解この上ない条文です。)

(建物の区分所有に関する規定の準用)
第六十六条 第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、第二十九条、第三十条第一項及び第三項から第五項まで、第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する。この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第七条第一項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第二十九条第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物」と、第三十条第三項中「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」とあるのは「建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、第三十五条第五項中「第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項」とあるのは「第六十九条第一項又は第七十条第一項」と、第四十六条第二項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。

結論として言うと単棟で認められている管理所有は、次のケースはできませんと66条の中に書かれています。
1、法人管理組合の理事は管理所有者にはなれない。
2、団地管理組合の理事は管理所有者にはなれない。
この2つはよく出題されるので覚えておきましょう。

法人格のマンション管理組合の代表者は法人管理組合です。
それ自身に人格があると扱われるため、理事ごときに管理所有させる必要がありません。
*管理所有は管理者に与えられる管理上の便宜的所有です。
団地管理組合は3条管理組合(棟単位の組合)からなる団地の管理の方法のひとつです。
団地管理組合の理事が住んでいる棟以外の所有者になること自体おかしなことです。
そのため、禁止しています。
もちろん、各棟に管理者(理事長)を決めればその人に管理所有されることは可能です。

以上ことより設問4は✖になります。


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