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登-02 権利の登記の絶対条件について

4つの登記は覚えましたか。
表題部登録(エントリー)➡所有権保存(最初の持ち)➡権利の移転登記(権利者の履歴)➡退場(滅失の登記)です。

これらの登記を行う時の絶対条件は、その事実を証明する種類の提出です。
当事者が同行して権利者同士で権利の移転を行うことも含みます。

手ぶらで「はい、これは僕が建てました」と登記所に申請に行っても断られます。
注文住宅であれば請負契約書と支払領収書。
分譲マンションで売買契約書と支払領収書。
死亡による権利の移転には死亡証明書。
分譲マンションの共用部分の変更には総会議事録。

誰が見てもこの物件の持ち主は「この人に間違いない」書面が必要になります。
このルールは絶対です。

このことを頭に入れてください。

ここまでが必ず覚えることです。
焦ることはありません。
これは非常に重要なことです。
確実に覚えてください。

ここからは今年改定された不動産登記法のひとつです。


しかし、この絶対ルールは時に事務処理において非常に厄介な問題を発生させます。
例えば、相手の所在が不明、相手が死亡していてその相続関係がわからず登記登録ができないと言った問題です。

そこで、民法の改正時にこの点を簡素化する法改正がされました。
令和5年4月1日に施行予定の改正不動産登記法によって、形骸化した不動産登記の抹消手続きが簡略化されます。

解散した法人の抵当権等で、その法人の清算人の所在が判明しない場合、弁済期および解散の日から30年を経過していれば、登記権利者は単独で抹消登記ができる。

これは法人の解散(現実に今いない法人格)が権利者の場合に、絶対条件である双方の意志の確認が出来ないケースがあり、登記登録が出来ず権利上の問題が発生していることに対応するために改正されました。

例えば、家のローンを民間のローン会社から借入れ、その際に抵当権の登記登録を行った。その後完済したとしましょう。
登記権利者は抵当権の抹消をしたいと思います。
その時、民間のローン会社がすでに解散していて存在しない会社になっていた場合は、抹消を求める相手がいません。

今回の改正ではこのような場合に登記権利者が単独で抹消登記ができることになりました。
もちろん、解散したことを証明する書類や清算人の所在が不明であるなどの添付資料は必要になりますが、相手の意志が必要無くなれば自身だけで行動できるため、手続きはスムーズに進めることができます。

今回覚えることは、登記登録を行う時は、必ず権利に関係する両者の意志を確認する証拠が必要になることを覚えてください。

次回は権利の登録以外に登記登録で覚えるべき「表示に関する登記」について説明します。

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