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#34 鉄部・金物の劣化について覚えよう

マンションは意外に多くの場所で鉄が使われています。
鉄は水と空気があると錆び、脆くなることは皆さんもご存じですよね。
それを防ぐために、防水塗装を行いますが、塗装の劣化は早く長期修繕計画では5~6年に一度行う予定になっています。

主な鉄部・金物使用箇所
防火扉、物置、パイプスペースの扉、室内消火栓ボックス、手すり、外階段(鉄製)、自転車固定用ラック、格子枠、玄関扉、外灯、庭園灯、ベランダに設置される避難階段の扉、物干し、ネジ類など至る所で使用されています。

鉄部って何?

主要な成分が鉄の材料を使った部分です。
鋼材、ステンレスなども含まれます。
アルミは含まないので注意してください。

ステンレスは鉄なの?

ステンレスの主成分は鉄です。
(50%以上鉄を含むことが必要です)
その他にクロムやニッケルが含まれています。
鉄部と違い滅多に錆びることはありませんが、錆びることもあります。

鉄部・金物の防水塗装

鉄の塗装も基本的には塗膜防水です。
工事の手順は下塗り➡中塗り➡仕上塗です。
一般的に仕上塗は複数回塗ります。
下塗りは、防錆効果と付着性の高いエポキシ系錆止め塗料が一般的に用いられます。
上塗りは、一般部分はウレタン樹脂系、特に耐候性が必要な部分はシリコン樹脂系やフッ素樹脂系の塗料がよく使われます。

鉄部の劣化

錆は二酸化鉄(Fe2O3)が主成分です。
水があると鉄が溶けだし、空気中の酸素と結合することで発生します。
鉄が水と接触しないように防水を行います。
そのため、防水の効果は防水層の厚みにより変わりますが、基本、人間の手作業です。塗り斑(むら)や塗り難い箇所はどうしても発生します。
また、開閉などがあると摩擦により防水層が薄くなり錆の発生が起きます。
それ以外に日差しや寒暖差などにより防水層は日々、劣化します。

巡回と住民の目

共用部分は定期に目視検査や管理員の巡回により錆びの発生は確認できますが、ベランダやバルコニーは専用使用権があり住民以外が日常で点検することはできません。
そのため、日頃から住民に対してベランダで錆を見つけた場合は、管理員や理事等に通報することを周知します。

ベランダの手すり、外階段は危険

専用使用権のあるベランダやバルコニーの錆は放置すると落下事故につながるため十分に注意する必要があります。
また、住民が共同で利用する外階段が鉄製(鋼材を含む)では錆による劣化は住民の転倒、転落事故、落下物により通行人への被害などは管理組合として絶対避けなければいけません。

劣化の確認

鉄部が錆びている状態は、すでに防水層が機能していないことになります。錆に至る前に塗装の劣化を知ることができれば修繕工事の簡単になります。
鉄部の防水層の劣化は手で表面を触ることで確認できます。
掌に白い色や塗装色が付着した場合は劣化が進んでいると言えます。
この現象をチョーキングと言います。

チョーキング(重要)
シート防水、塗膜防水は最終的に防水層で仕上をします。
そのため、鉄部以外の床、外壁など防水層の劣化の目安として触手は有効な劣化確認方法です。
チョーキングが確認できた時は防水層の修繕の時期であることを覚えておきましょう。
白く汚れす劣化現象にエフロレッセンスがありますが、これはコンクリート表面に流れ出す炭酸化合物が流れだす現象です。
間違えないように!!

鉄部の修繕

錆が発生している部分を削り取ります。(これをケレンと言います)
コンクリートを破壊することは「はつり」、錆部を削り取ることを「ケレン」と言います。覚えておきましょう。
ただし、劣化が進行している時は修繕ではなく、交換になることも覚えておきましょう。
ケレンを行った場所に錆止め(下塗り)➡中塗り➡仕上塗を行います。
塗膜防水と同じです。

鉄部の修繕は安価で施工期間も短いため5~6年周期の修繕が計画されますが、実際は設置されている環境でまったく異なります。
20年以上も劣化がない部分もあります。
しかし、錆は発生すると周辺への被害の拡大スピードが速いため、出来るだけ定期に行うことが推奨されています。

次回はアルミの劣化です。

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