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CAの初フライトはOJT訓練

お局CAのランです。
だいぶ昔のことになりますが現役時代を思い出しながら、今回はOJT訓練についてご紹介します。

4日間のOJT訓練を終えないと一人で乗務できない

入社後、訓練センターでの訓練が終了した後は、実際の飛行機で先輩CAとマンツーマンの研修期間があります。いわゆるOJT訓練です。
バディーを組む先輩CAのことをインストラクターと言います。私たちは愛情を込めてインストラクターのことをイントラさん、またはお母さんと呼んでいました。
それだけイントラさんとは密着した濃い4日間を過ごします。

ちなみに私はというと、仏様のような優しいイントラさんでした。お客様に対する気遣いやお声がけを間近で教えて頂き、今でも感謝している大好きな先輩です。

4日間の訓練が無事に終わるまで、1人では乗務することができません。1人前のCAになるために、時には厳しく指導されることもあります。
サービス要員としても保安要員としてもプロとしてのスキルが求められているのですから、厳しくて当然です。
イントラさんとの相性もありますが、その期間はロッカーや化粧室でシクシク泣いている人を見かけたことが何度もあります。
CAはまじめな人が多いんです。
だから厳しすぎる人が多いのかもしれません。

新人CAは髪を切らなければならなかった!

私の同期のイントラさんは非常に厳しい方で、フライトのたびにやつれて帰ってきました。それも愛のムチだと思ってとにかく受け止めるしかありません。その同期は厳しい指導に耐え、誰よりも知識が豊富で頼れるCAに成長しました。厳しさも必要ですね。
また違う同期のイントラさんはものすごく細かい方で、苦労していました。当時、新人CAは髪をショートカットにしなければなりませんでした。髪をいじっている暇があったら勉強しなさい、ということだったと思います。今ではパワハラと言わてしまいそうですが、嘘のような本当の話です!

大抵一人前になりしばらくすると、みんな髪を伸ばして始めるのですが、その同期は「1年間は絶対に髪を伸ばしちゃダメよ。」と言われ我慢をしていました。今でもその時のことをよく聞かされます。よっぽど嫌だったのでしょう。

やってしまった!大失敗の「お茶こぼし」

さてそのOJT訓練ですが、訓練センターでは学べないことも多く、「なるほど〜」の連続でした。
私はイントラさんにフライトでさまざまなことを「体感する重要性」を教えて頂きました。
エンジン音、ギアダウンの音やタイミング、フラップの音、どれも訓練では体験できないことでした。通常との違いを察知することは異常をいち早く見つけることができること。これも保安要員であるCAとしての大事な役割です。

緊張の連続のOJT訓練。その2日目のことです。
絶対にやってはいけない大失敗をしてしまいました。
飲み物の配布が終わり、ギャレー(飛行機の台所のような場所)でお客様からリクエストされたホットコーヒーを準備していました。
(日経新聞とゴルフ雑誌も頼まれていたから、このあと行かなくちゃ。時間がないな。とりあえず先にコーヒーを持ってかなくちゃ。)
「リクエストのコーヒーを持っていきます。」
と報告し、小トレーにホットコーヒー1つを乗せてギャレーから出た瞬間、通路を歩いてきたお客様とぶつかってしまいました。
イントラさんが私の背後で「あっ!」と言ったのが聞こえましたが…
その時はもうトレーの上でコーヒーが倒れて、お客様のスーツのジャケットにコーヒーがかかってしまいました。
これを「お茶こぼし」と言います。


「飲み物を持ってギャレーから出る時は通路をよく確認してね。トレーから出ちゃだめよ。」
とイントラさんに何度も教えてもらったことなのに…。
幸いお客様に火傷はありませんでしたが、カップがトレーの上で倒れた時にコーヒーが飛び散って、数滴ですがグレーのジャケットにシミを使ってしまいました。
お客様は大丈夫だと言ってくださいましたが、シミは完全には取れず、クリーニング券を発券することになりました。


お茶こぼしをした直後、周りの先輩方の完璧な動き、今でもよく覚えています。
イントラさんはお客様対応。他の先輩方はジャケットの染み抜き、私が受けた新聞と雑誌のリクエスト対応、飲み終わったカップの回収など、私の区分も全て、素早く、丁寧に、そしてさりげなく、フォローしてくださいました。
私はというと・・・
「申し訳ございません」しか言えず…
オロオロしながらチーフパーサーに状況を説明したり、自分の足と床に溢れたコーヒーを拭いたり、クリーニング券の発券について伺ったり、お客様に何度も謝罪に行ったり、涙を流す暇もありませんでした。

また余談ですが、こんな時でも「すみません。」ではなく「申し訳ございません。」がつい出てしまうくらい訓練センターでは教官に厳しく指導をしていただきました。
ではなくて、単純に私が「申し訳ございません。」を言うことが多かったのかもしれません。
フライト後、イントラさんと2人きりで始末書を書いている時に初めて涙がぽたぽたと溢れてきました。
悔しくて情けなくて…。

そんな私もインストラクターに


その数年後、私もインストラクターとしてOJT訓練をする側になりました。
自分の経験を活かして、訓練生には愛のある指導をしたつもりです。
特にお茶こぼしには気をつけるようにと。

あれ以来一度もお茶こぼしはしていません。失敗することで、より気を付けて対応するようになったと思います。
機内で訓練生バッチを見かけた際は、皆様もあたたかい言葉をかけてあげてくださいね。
見た目は余裕の笑顔のように見えますが、内心バクバクドキドキしているに違いありません。

今、子供を持つようになって元CAメンバーで集まると、学校のPTA役員をしている人が多いことに驚きます。機内での様々な対応力は、親になっても活かされていると感じます。PTAも楽しくもあり、大変なことも多いのですが、そんなお話もまたの機会にしたいと思います。

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