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泰平 ( タイヘイ ) と申します。 投稿1弾は、大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 見つけた方は、よければ一読ください。 ________ 『これから話すことは、私が大学生のころ英語を学びに留学をした時のこと。行先はあこがれの北欧、スウェーデン。理由はスウェーデン人の英語が綺麗だと噂に聞いたからだった。 その頃を振り返ってみると自分がずいぶん生真面目で、寂しい大学生だったと思う。留学へ行く前に立てたテーマがあるんだ。ヨーロッパで友達をつくる。表向きは
大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 2話目は、授業参観に行ったスウェーデンの学校から... _____ 私はこの一連の経験から、何かが置き去りにされているように感じた。 多くの人は「責任の所在」というものにばかり意識が向いて、問題解決を先送りしてしまう傾向が少なからずある。それは何か急を要する事態が発生したとき頭をよぎる 「なぜこんなことに…。」という強い思いだ。 それは誰もが抱く思いというよりは、日本人特有なのではないかとは思うんだ。物事の
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 3話目は、留学生のホーム・パーティについて... _____ 私が授業参観に行った学校は、本当に住んでいた寮の目と鼻の先だった。授業参観が終わった後も、子供たちとは、よく顔を合わせて挨拶をした。彼らはいつも、うつむきがちにはにかみながら、 "Hello, hello."と言って通り過ぎていった。 ちなみに、私が住んでいたのは大学から徒歩で40分ほどの国際学生寮だった。 一日の大半は寮で過ごしていた。特に
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 4話目は、スウェーデンの冬と雨について... _____ スウェーデンに来る留学生の大半は、 留学生部 “Exchange Studies Department” に所属し、留学生用の授業、スウェーデン語や国際関係論などを受けることになっている。 私は一般の授業ではなく、留学生用の授業のみを受けていたから、大学へ行っても、スウェーデン人の学生と授業で出会うことはほとんどなかった。 だから、同じ寮に住む留
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 5話目は、大学の制度、風習について... _____ スウェーデンの大学の特徴についてもう少し紹介すると、授業時間が3時間と長いこともあって、大半の授業は1時間半で一度15分休憩を挟む。 その間に生徒と先生はそれぞれ、コーヒーとシナモンロールを買いに行くのだ。 それから教室に戻ってきて休憩時間は談笑しながら、授業が始まれば討議しながら、先生も含めた全員でシナモンロールなど、お菓子をつまみながらコーヒーを飲
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 6話目は、スウェーデンのアート・デザインについて... _____ そういえば、スウェーデンの大学で受けていた授業のひとつにスウェーデンのアート・デザインに関するものがあった。 授業は講義形式だった。一つの机を囲みながら生徒みんなで教授の話を聞く。 日本の学校と同じかと思った。 でも人数が少なく、生徒との距離が近いので、教授は授業を進めながら、よく質問をしてきた。 教授はスウェーデン語と英語を混
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 7話目は、これまで話していた「彼」の原稿について... _____ 【人生は幸福と不幸と孤独によって成り立っている。】とその原稿は始まっていた。 なんだかとても変なかんじがした。 というのも、ざっと読んで見たが、日本語のおかしな所なんて、ほとんどどこにもなかったからだ。 【ちょうどビールが麦とホップとプリン体で成り立っているように..。 つまり、人生と幸福を分けて考えることはできないのだ。だから、
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 8話目は、街の治安について... _____ 【この話で「僕」は、スウェーデンで「彼女**暖炉を囲んでいた時と、彼女と再会した時で根元的には同じ*を抱えてい**。それは「僕」がいくつも経験したであろう幸福とは別の問題なのだ。幸福とは**であると思う。僕が「幸福で人は救われない」と言ったのもそのためだ。】とほとんど、読める。 解読しようと原稿を注意深く指でなぞっていると、彼はトイレから帰ってきた。 『待たせて、
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 9話目は、スウェーデンの酒屋について... _____ スウェーデンの街には “Systembolaget” (システムブラゲット)と呼ばれる酒屋が必ず一つはある。 私の住んでいた街には、駅の付近に一つ、もう一つは、バスで15分ほどのショッピングモールに併設されていた。 ベクショーはスウェーデンの中では比較的小さな街だが、中心街以外の広さを考えると酒屋がその地域に二つだけというのは奇妙だった。 スウ
本稿は大学生時代の留学経験を基に書いたフィクションです。 最終話は、スウェーデンという経験について... _____ タツロウを待っている間、もう一度、渡された原稿を読み返していた。 最後の数行以外はちゃんと読める。 【この話で「僕」は、スウェーデンで「彼女**暖炉を囲んでいた時と、彼女と再会した時で根元的には同じ*を抱えてい**。】の「彼女」の後の二文字はいったい何だろう。 「根源的には同じ」の後も気になる。 【それは「僕」がいくつも経験したであろう幸福