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夕陽を撮る

そうだ海へ行こう。


日の入りの時間を調べて、夕陽を撮影しに出かけた。


浜辺でコーヒー片手に、ぼんやり海眺めたりしたら、なんだか雰囲気出てかっこいいかも:)

どうせなら、海まで行く道にあるパン屋さんでパン買って浜辺で食べよう:)

本当に天気いいから今日の青空も綺麗だな、写真撮っとこう:)


気がむくままに過ごしていたら

海についた頃にはもうすでに夕陽が沈み始めていた。


…しまった!!!

慌てて三脚を担ぎ、パンを鞄に詰め込み、コーヒーを持って走る。

目指すはあの、灯台のふもと。

ここからはかなり距離がある。

優雅にコーヒーを飲んでのんびりしている時間はない。

日がくれる!!!

走れ、私!!!


目的地を目指し走っていると、カメラ先輩達が三脚を立ててスタンバイしている場所に差し掛かった。

きっと常連さんだ。

そして、先輩達がここにいるってことは、きっとここがこの海岸で1番良いアングルで撮れる場所なんだろう。

とりあえず立ち止まり、1枚撮る。

ここで構えるか?

迷う。

きっとここが1番だぞ?


だけど、

今日の目的は、あの1番先端で、海に沈みゆく夕陽と波ザッパーンを撮ることでしょ?

もう1人のわたしが言う。


そうだった!


また三脚を担ぎ、走る。


釣り人さんたちが、長い三脚を抱え、首からカメラをぶら下げ、大荷物でバタバタ走る私を二度見、三度見する。

きっと今の私、鬼の形相。

恥ずかしい、だけどここで立ち止まったらせっかくの夕陽に間に合わない!

なりふり構っていられない!今は、色々ご勘弁を〜!と心の中で呟いて、目的の場所まで走る。


目的の場所へ着いた時、まだ太陽は沈みきっていなかった。

良かった、間に合った。


額に汗がにじむ。

あまり波は強くない。

思ったより雲が多くて、水面に夕陽が隠れるところは撮れなさそう。

Magic hourだ!神様ありがとう!

今日の夕陽も最高に綺麗!


三脚を立て、カメラをセットし、ピントを合わせる。

撮る。

撮る。

撮る。

ひたすらシャッターを切る。


気がつくと、太陽が雲にすっぽり隠れてあたりがだんだん暗くなってきた。

Magic hourが終わった。


場所を譲ってくれた釣り人さんにお礼を言って、三脚をたたみ周りを片付けその場を離れる。

冷めたコーヒーを飲みながら歩く。

一仕事おえた感がなんだかかっこいい、しかし、コーヒー冷めちゃった、苦い。


先ほどカメラ先輩達がいた場所に、違うカメラ先輩がスタンバイしていた。今度は夜の海か、灯台の光も綺麗だな。

また1枚撮る。

ああ、楽しかったな。癒されたな。

潰れたパンを頬張りながら撮った写真を確認する。

あんなに撮ったのに気にいる写真は数枚…もっと練習しなきゃ!私!

今度はカメラ先輩達がいた位置で撮ってみよう。

また来よう、と新しい目標が出来た。




夕陽を撮った日にこんなことがあったなんて、撮った写真からはわからない。

だけど自分が撮った写真を見返すと、あの時のことがありありと浮かぶ。苦労して撮った写真は、たとえ上手く撮れていなくても思い出の1枚になる。


日々SNSに上がる素敵な写真や有名な写真家さんが撮った素敵な写真だって、さくっと偶然撮れた一瞬かもしれないし、舞台裏では思いもよらないハプニングが起こっていたのかもしれない。滅茶苦茶準備して撮っても上手くいかない時だってある。

そう思うと、なお大切に受け取りたい。

手がかかる子ほど可愛い、とよく言うが写真はまさに私の中では手がかかる。一筋縄ではいかない。

だからとても魅力的なのかもしれない。


今日も撮る。

思い出が増える。

お気に入りの1枚が撮れるといいなと思う。



今日という日が、誰にとっても

昨日より少し彩りある1日になりますように。

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