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香りを撮る

気がついたらあっという間に時間が流れていた。


あまり外に出られない生活を送っていたので、カメラを手にとる時間も減っていた。


久しぶりに触ったカメラはずっしりと重く、なんだかいつもと違う感じがした。


少しの散歩なら許されていた時期だったので、行けるところまで歩いた。


しばらく外に出ない間に、大麦の色が変わっていた。

前に撮った時は若葉色だったのにこんがり小麦色に色づいていた。


光が当たってキラキラ輝き、風にそよそよ吹かれてなびく大麦がとっても綺麗だった。


世の中は混乱し、色々変わっていっているのに、大麦はいつもと変わらずちゃんと収穫の時期にむけて大きくなっている。


まるで世界が違うみたいだった。





まだ外出制限がかかる前に、この土地を離れた友人がふらっと顔を出したことを思い出した。

会うなり「麦のいい匂いがする!」と言った。

その友人はこの時期の麦の香りがとても好きなんだと笑った。


私は香りなど気にしたことがなかった。きっと慣れているから、いつもそこにあるから当たり前になってしまっているのだろう。


少し離れたからわかることもあるんだな。

笑う友人と共に、あの日を撮った。



今はまだ会えない友人に、写真と共にたくさんの笑い声と故郷の香りを閉じこめて送ることが出来ればいいのに。

あの時の大麦がもう金色になってるよー素敵な香りも際立ってるよーと伝えられればいいのに。


そんなことを思いながら、きらっきらの大麦を眺める。



友人は今日も元気でいるだろうか。


会える日を楽しみに、そのときまで元気でいようと思った。




今日という日が、誰にとっても、昨日より少し彩りある1日でありますように。


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(写真はまだ収穫前の大麦です♡)

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