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pulse everywhere day1/Managing Uncertainty: Reducing Revenue Leakage through Optimized Renewals

社内のOpsのお兄さん、このnote読んでるとは夢にも思ってもいなかったのですが「読んでるしいいねもしてるよ」と言ってくれたのでまた少しやる気が出ました。だいぶゆるゆるなペースですが、止まらなければ大丈夫。それでは、今回のセッションです。


直訳すると最適化された更新を通してchurnを減らすという内容。ここまで割と一貫して確実に更新してもらうための話をしています。もう本国ではオンボーディングにめちゃめちゃに力を入れるフェーズは終わっているようです。

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紹介してくださるのはjamfというAppleデバイスに特化した管理システム。企業や教育機関等で使われているサービスのようです。弊社も近いところはあるけれどもこういうセキュリティだったり限りなくインフラに近いサービスというのはchurnもあまり高くなければ、自然と更新してもらえるイメージです。(弊社は実際解約率は低い)
このような特性を持ったサービスで「更新を最適化する」とはどういうことでしょうか。

2019年の問題点

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・社内システムのアップデートにより、手動作業が増えた
・契約更新専任部隊がいない
・クロスセル、アップセルができる顧客を見つけるシステムがない
・(今回のCOVID-19のような)市場の変化や経済の変化への準備ができていない

問題点はありがちなものが多いものの、churn rateのことなどではなくもっと先を見据えた問題点のようです。

人員配置、チーム編成

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契約更新専任部隊を作りました。このチームマンツーマンのメールや電話による顧客体験の最大化に力を入れています。契約更新専任部隊は拡張(このニュアンスが微妙。クロスセルやアップセルは契約更新の業務のようでした。拡張ってなんだ。)はせずに、契約更新に専念することで効率的に業務が行えます。マンツーマンとはいえ、1社1社にオーダーメイドのハイタッチ対応というわけではなく、STEPメールによるアプローチという感じ。
更新に関してリスクや問題点があると分かった場合にはCSMに支援してもらいます。
次からはそのステップについての説明です。

Step1:更新する?と聞く

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更新日の140日前にWill you renew?という1問を聞くメールを送ります。Yes-Noの他に意思決定者じゃないという項目を用意。回答はSFDCに連携されます。140日前であれば動きようがある&この先で更新時にクロスセルやアップセルをかけるため、この日数のようです。リスクのあるものは早めにエスカレーションし、問題のないものは次のステップへと進みます。

Step2:プロスペクティング

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120日前からクロスセルやアップセルの発掘に向けた調査やらなんやらのフェーズです。Journey OrchestrationというGainsightの機能を使って自動化しています。この時期には調査とともに、更新に関する書類をメールで送ります。
その内容はアップセルやクロスセルに関するもので、返信があった場合は新規チームがクロスセルやアップセルに向けて動き出すという流れのようです。実際にこうしたプロセスを経ることで1万ドル以上金額が上がるケースも複数見つかっているようです。

Step3:自動見積書作成

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(だんだん100日後に死ぬワニみたいになってきましたね、140日後に更新する顧客の●日目)
ここまでで、更新にリスクのありそうな顧客はCSMにエスカレーションされ、アップセル・クロスセルの可能性がありそうな顧客は新規営業担当がアサインされてきたのですんなりと更新に行く顧客がここのStepへと来ていることになります。
そのため、見積もりはかなりの全自動なようです。
jamfのライセンス料金体系の話にも関わってきそうですが、100ライセンス契約だったけれども採用があって10台ほどデバイスが増えて110台になった場合、10台分は"organic growrh"というjamfが努力せずとも増えた分として自動で見積もりに計上されるシステムなのだそうです。
ただこれはGainsight使っていないとこんな方法取れないし、使っていても膨大な手順があって、とても複雑で、データがみんな適切な場所に適切に格納されていて、なおかつ透明性がないとできないことということでした。
でもそれをしてでもインパクトの大きなことだったようです。また、これを実現するために適切な価格設定をしたり、データをちゃんと入力するようになったなどの副次的な効果もありました。

Step4:顧客に契約更新に関する明細書を発行する

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様々なツールを使ってできた明細書は更新日の90日前に顧客へと送られ、次は45日前、それ以降は週に1度送られてくるようです。週に1度になった時点で毎週の通知を受け取らないとすることも可能です。
このような更新の方法を実現することで、サービス側が必要な顧客に必要なフォローができるということだけでなく、顧客も問題ないからサクッと更新したい場合はこの90日前から来るものに対応すればいいのでストレスなく更新することができます。
(弊社もだけど)こうしたインフラに近い役割のサービスは何も考えずにサクッと更新したいという顧客はそれなりにいそうです。

データの透明性

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Jamfの社長の言葉に「誰もが理解している目標を達成することほど興奮するものはなく、誰もが理解している目標を逃すよりも行動を起こさせるものはない」というものがあります。
この言葉に倣い、更新専任チームもデータの透明化を行います。

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・ダッシュボードを作って特にエグゼクティブが必要な数字などを確認できるようにした。
・週次レポートを作成して契約更新という観点で追跡していた指標や進捗、達成度などを報告した。
・活動と成果は違うものなので、活動も見えるように(電話した、メールしたなど)ダッシュボードに乗せた
・データ、ログが増えれば増えるほど有効な指標も増える好循環を産んだ

これら施策の成果

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更新担当者の満足度93%、更新手続きの満足度90%
どちらの割合も3%ずつ上がりました。

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更新におけるエンゲージメント も41%向上。この数字はメールや電話のアクティビティログから計測したもののようです。

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そしてビジネスへの影響・変化としてはオンタイムでの更新率が19%向上、45日前までには必ず更新の案内を受け取っているためオンタイムでの更新が可能となっています。
また、既存顧客のACVも前年比で17%向上したそうです。これはつまり、昨年比で契約更新によって17%もビジネスを創出したということ。
コロナによって新規営業にも影響が出ることが推測される中で既存顧客でACVが17%アップというのはとても大きなことと考えます。

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前年の4月に比べると、更新月を過ぎるものは83%減った。まだまだこれからも減らしていきたいと考えているけれども、まずはこの数字はとても良いものと捉えているようです。

コロナの影響

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4月更新の顧客のうち39%が3月中に更新を行い、5月更新の顧客のうち35%が4月に更新を行ったという数字が出ています。ここまでは見込みからはかけ離れておらず、このご時世にかなりいい数字を残せているということです。これらの数字が達成できているのもきちんとした更新プロセスのおかげで、コロナの前に整備できていてよかったとjamfさんも言っていました。
5月は落ち込みが予想されるものの原因は明確であるし、このプロセスがあればこれから着実に戻していけると自信を持っているとのことでした。

結論

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大事なポイントは3点
・効率を重視した更新専任チームを設ける
・何度も決まって行うようなメールなどは自動化し、フォローアップのマンツーマン対応の効果を最大化する
・契約更新の指標や結果を追って、それらの情報の規則性やダッシュボードなど誰にでも見える状態を作る

なるべく公平な要約をと思っているけれども、やはり興味のあるところや面白いところは重めになってしまいますね…。
とはいえ今回もJourneyに乗っているものはそのまま乗せる、外れたものはマンツーマンという効率化による契約更新の話でした。有事の時にもプロセス化できていることによって自信がありげなのもここまで苦労して作り上げてきたからこそなのだと思います。
このプロセス化、結構みんな普通にやっていますがこのセッションでめちゃくちゃ大変だけどそれ以上に効果があるということも言ってもらえて少し希望が持てました。

CS Leaderセッションの初日は終了。次回からはOps初日です。興味がかなりあるところですが、知識はないのでまた苦労しそうです…。

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