放課後ランプ #毎週ショートショートnote
ある日の放課後、宿題を忘れたことに気づいた僕は、仕方なく塾に行く前に取りに行くことにした。
夕食を食べ、校門の前に着いたのは19時過ぎ。
部活も終わっていて人の気配は感じられない。
守衛さんの了承を得て校舎に入った。
消灯された学校はほとんどお化け屋敷のようで、真っ暗な廊下に響く自分の足音にすらビクビクしながら教室へと向かう。
教室の階に着くと一瞬何処から灯りを感じたが、それはすぐに消えた。気のせいだろうと思い、教室のドアを開けた。
「わっ」
僕は思わず声を漏らした。
教壇の上で古めかしいランプがぼんやりとした灯りを放っている。
「何だよコレ」とぼやきながらランプに触れてみると、魔人ならぬ小っさいオッサンがひょっこり現れた。
驚いて声を出せずにいると、
「よう、お前、大澤のこと好きらしいな」
「は?」
「は?じゃねーよ、全部知ってんだ」
「ちょっ、えぇ!?」
わけがわからず、怖くて走って逃げた。
という話を宿題を忘れた理由として話したけれど、誰も信じてはくれなかった。
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