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小説まとめ

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僕の書いた小説の類いをまとめました。
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#シロクマ文芸部

春の夢 #シロクマ文芸部

「春の夢をテーマに描いてみてください」 絵画教室の先生から与えられた題材である。 春の夢…

camyu
1か月前
91

さくら(独白) #シロクマ文芸部『花吹雪』

花吹雪に抱かれながら、私はアナタに想いを馳せる。 アナタと出会ったのは小学生の時でした。…

camyu
2か月前
117

悲しき新生活。 20字×10本

おろしたてのワイシャツに苺ジャムをこぼす 初出勤の道中ピカピカの革靴で犬の糞を踏む 電車…

camyu
2か月前
95

4月1日の未来予想図 #シロクマ文芸部 お題:『始まりは』

「始まりはいつも、終わりがセットなのよ」 妻が言った。 「それはそうかも知れないけど、僕は…

camyu
2か月前
84

変身 #シロクマ文芸部「布団から」

https://note.com/komaki_kousuke/n/ncb35e1fcdb8b?sub_rt=share_pw 布団から出るのがどうに…

camyu
4か月前
113

果てしない白 #シロクマ文芸部「雪化粧」

雪化粧の施された道を歩く。 ザクザクと音をたてて。 見知らぬ道、見知らぬ景色。 意思はな…

camyu
5か月前
102

思い出は夢の中で #シロクマ文芸部「逃げる夢」

「逃げる夢がずっと続いていて、それで困ってるんです」 目の前の女が言った。歳の頃は三十前後ってところか。名は柄沢早苗と名乗った。 「夢の中で何かに追われるのかい」 だとしたら、それほど珍しかねぇ予知夢の類いだがな。 「いえ、そうではなくて、夢を見ようとすると、その夢が逃げて行くんです」 「夢が、逃げる」 「はい」 はい、じゃねぇのよ。 「するってぇとアンタは、夢を見たいのに夢に逃げられて、夢を見れなくて困ってるってことかい」 「はい」 なんでケンちゃん毎度こんなのばっか寄越す

幸せな誕生日 #シロクマ文芸部

「誕生日を迎える度に思ってたんです。いいかげん、誕生日をサッと躱して、加齢を避けられない…

camyu
7か月前
138

紅葉鳥 #シロクマ文芸部

紅葉鳥とケンちゃん書いて問う。 「なぁ君、これ読めるかい」 「こりゃそのままじゃないのかい…

camyu
7か月前
98

眼鏡の向こう側 #シロクマ文芸部「珈琲と」

「珈琲と紅茶、どちらが宜しいですか」 目の前に座る淑女に尋ねられた。 「珈琲が良いな。あ、…

camyu
7か月前
130

りんご箱に詰まった想い #シロクマ文芸部「りんご箱」

りんご箱を開けると、中にはたくさんのりんごの他に、即席ラーメンや賞味期限の切れた食パン、…

camyu
8か月前
101

秋桜 #シロクマ文芸部

「秋桜ってどう読むか知ってるかい」 ケンちゃんに呼び出され、馴染みの居酒屋で呑んでいる。…

camyu
8か月前
133

自転車泥棒 #シロクマ文芸部

走らない自転車をひいて図書館へ向かう。 涼しくなって来たとは言え、役割を果たさない自転車…

camyu
8か月前
105

春泥棒 #シロクマ文芸部 お題「月めくり」

月めくりのカレンダーをパラパラとめくっていると、4月が欠けていることに気づいた。 切り取った形跡は無い。 よくよく記憶を辿ってみるが、4月のことがとんと思い出せない。 はてどうしたものかと独り呟いて、考えても仕方がないので外に出ることにした。 商店街をぶらぶらと歩きながら4月について思いを巡らせるが何も得られず、目の前にあった肉屋でメンチカツを買い腹ごしらえをした。ザクザクの衣に、肉汁たっぷりの粗挽き肉がたまらなく美味い。 食べながら肉屋の大将に「今年は4月はあった