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小説まとめ

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僕の書いた小説の類いをまとめました。
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記事一覧

黒幕の涙 #毎週ショートショートnote「黒幕甲子園」

その年の夏の甲子園大会、初出場の私立松緒高校が旋風を巻き起こし、決勝に進出した。 売りは…

camyu
1日前
58

迷宮入り #毎週ショートショートnote「鋭利なチクワ」

「死因は失血死だそうです」 俺は先輩と二人、殺人現場に向かっていた。 「失血死か」 「は…

camyu
13日前
70

同級生 #毎週ショートショートnote『リベンジトリートメント』

「このトリートメント、私たちでもなかなか手に入らない貴重品なの」 丹念に、客の髪に揉み込…

camyu
1か月前
65

海のピ。 #毎週ショートショートnote

「えーっと、プだったっけ?あれ?ぺだったかな…」 「ピでしょ、ピ。海のピでしょ、お父さん…

camyu
1か月前
84

天の川de文春砲 #毎週ショートショートnote『彦星誘拐』

厳密に言うと、今年は七夕が無かった。 どういうことかって? 七月七日の七夕のその日に、彦…

camyu
1か月前
71

下ごしらえは丁寧に。 #毎週ショートショートnote「一方通行風呂」

「あれっ、ここ一方通行かよ」 番組制作の為のロケハンの帰り道、男はカーナビの表示に騙され…

camyu
1か月前
93

仕事人間サラリーマン!! #シロクマ文芸部『月曜日』

月曜日が好きだ。 神に「仕事人間」というアビリティを付与され生きてきた私にとって、「休日」は不要であり、苦痛でしかない。 幼少期より両親に教えを乞い、時に叱られながら成長し、小学校から大学で得た知識や経験の全てを仕事に注ぎ、そしてその対価として収入をいただくのだ。なんと美しく、素晴らしいことだろう。 対して「休日」は自由奔放且つ不条理の極みのような子どもという存在に翻弄され、慣れない家庭の業務遂行に失敗しては妻に叱責されるのである。それはこれまでの私の経験ではいかんとも

地獄の沙汰も… #毎週ショートショートnote『友情の総重量』

「次の方どうぞ」 案内係に呼ばれ、ドアを開けるとそこには閻魔大王が座っていた。想像してい…

camyu
2か月前
102

杏は祈願上手 #毎週ショートショートnote

「杏も最後の七五三だねぇ」 母が言うと、 「うん!」 杏は元気に返事をした。 今年七歳にな…

camyu
2か月前
104

文学トリマー #毎週ショートショートnote

「えっとぉ、ここちょっと長かったんで短かくしてぇ、こっちも全体見てバランスとってみました…

camyu
3か月前
84

再生の森 #毎週ショートショートnote『記憶冷凍』

「記憶冷凍」 ナギがそう呟き、掌をヌイの額の辺りに乗せるとヌイはそのまま眠りについた。 …

camyu
3か月前
82

放課後ランプ #毎週ショートショートnote

ある日の放課後、宿題を忘れたことに気づいた僕は、仕方なく塾に行く前に取りに行くことにした…

camyu
3か月前
84

トラネキサム酸笑顔 #毎週ショートショートnote

「クソッ、中田さんすんません、血ぃ止めてください」 ボクシングフェザー級世界タイトル戦。…

camyu
3か月前
88

春の夢 #シロクマ文芸部

「春の夢をテーマに描いてみてください」 絵画教室の先生から与えられた題材である。 春の夢か。 桜並木の下で、可愛い恋人と手つなぎデート? …いや、42歳素人童貞の俺の脳内に、そんな夢を見るための原料などあるはずもない。 じゃあ会社の仲間とワイワイお酒を飲みながらお花見とか? …いや、派遣バイトで食い繋ぎながら地下アイドルに投資している俺に、花見をする仲間などいない。というか花見とかしたことない。 そもそも別段絵を描くのが好きなわけでもないが、「アンタそれぐらいしか脳が