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ひと夏のこと

 この夏の主役はスプライトに決まり。1日の終わりに少し遠出をして海辺にあるスーパーへと、夕飯の食材を買いに行く。その帰り道、夕日の落ちる綺麗な海を見ながら細長い缶のスプライトをちびちび飲む時間、これがたまらないのです。そんな時に聞いていつもグッときてしまうミュージックはandymoriの『すごい速さ』。歌詞にも音像にもやられてしまうのだけど、何より学校祭を思い出してしまいます。エモいとはこれか…って気持ち。

 最近のフェイバリットは小袋成彬とSaucy Dog。『分離派の夏』はほとんど毎日通しで聴いてしまいます。決して自分にはできない表現だから憧れちゃうし、ゾクゾクしちゃう。『ゴーストバスター』はレコードなら擦り切れるくらいリピートしています。『雀ノ欠伸』は遅ばせながら、今日初めて聴きました。1聴目からもうノックアウト。絶対優しいんだろうな…という感じの言葉の使い方にやられる。歌声も大好きです。『コンタクトレンズ』と『いつか』のエモーションには何度聞いても打ちのめされる。ネット環境が全然ないのでApple Musicで事前にダウンロードしていたものや、中学生の時に聞いていたもの、親や友人から貰ったCDのミュージックをたくさん聞いています。曽我部恵一の『サマーシンフォニー』、スチャダラパーの『サマージャム95』、『彼方からの手紙』はこの夏にとって最高。(多分) KID FRESINOの『ai qing』もヘビーローテーション。『Winston』はロック好きな人みんなぶっ飛んじゃうんじゃう気がする。C.O.S.A.との関係性に勝手にさく君を重ねてしまいます。

 近況報告をしようと思っていたのに、永遠に音楽の話を続けてしまいそうだ。そう、東ティモールにきて2週間が経過しました。あっという間!という驚きと、まだそれしか経っていないのか…といううなだれがどっちもあります。初めての海外、それも東ティモールという謎の国。刺激的なことばかりではあるのだけど、それでも相変わらず生活は続いていて、ご飯を作って食べたり、友達と電話をしたり、テトゥン語を勉強したり、風邪をひいたり、落ち込んだり、わくわくしたりしています。自炊が面倒になってきて、昨夜大量に作ったカレーを今日の夕食まで4食連続で食べています。ほんとに、家にいるときはカレーとバナナしか食べていない。先週はほぼ1週間、コーヒーを栽培している山奥へ行っていました。水も節約しながら使わなくてはならないような環境。昼は猛暑、夜はスキー場向けの服を着なければ生きていけないほどの極寒。人の数より野良豚の数のが多いような、そんな土地でした。そう、野生の動物がそれはもうたくさんだったのです。犬はもちろん豚に鶏、馬やバッファローなんてのも見つけました。電灯もない街で見る夜空は、天の川がはっきりと目視できてしまうくらい星が広がっていて、思わず小一時間ずっとうっとりしてしまいました。さそり座や南十字座が見られたりして、日本と遠い場所に来てしまったことを痛感。『彼方からの手紙』とsupercellの『君の知らない物語』を聞いてエモーショナルを加速させていました。

 毎日コーヒーについて色んなことを学べる日々、「控えめに言って最高です。」という言葉に対していつも (本当にそんな心境存在するの?)って疑っていたけれど ごめんなさい、ありました。そんなこと考えちゃうくらいに、楽しい日々なのです。採れたてホヤホヤのコーヒー豆を農園単位でセレクトして、焙煎して、淹れて…というのをひとりで楽しめちゃう贅沢さ。こんな幸福あっていいのかしら。ずっとハート目です。幸いまだ、所謂”コーヒー鬱”やホームシックも訪れていなく、楽しくやっています。

 東ティモールはどの瞬間を切り取っても美しい。子犬を引き連れる親犬の隊列、歩道の片隅で焼きとうもろこしを焼いて販売するおばちゃん、ラグビーをする学生とそれを見守る人たち、バイクの整備をしながら談笑する若者たち、驚くほどに澄んだ海、、、これを独り占めするなんて!と思いたくさんシャッターをおろしています。しかしカメラ、これがとても難しい。毎日トライアンドエラーの日々です。帰ってきた後、僕がうっとりしてしまったうつくしさを映し出せたら、お見せできたらいいなぁと思い明日もきっと写真を撮ります。

 東ティモールはなんだか札幌より(大きく”日本より”と言ってしまえるかもしれません)柔らかな、青いムーブがある。そんな気が、何だか確信的なくらいにあります。日本は、というかどこかで凝り固まっていた自分は忙しかったなぁという気がします。オードリーの若林さんが出している本の中で「日本は忙しすぎて、僕は悲しいことを悲しめる余裕がなかった」というような記述をしていたのですが、なるほどこの心境のようなものだったのか と今更言葉がズーンときたのでした。僕は芸能人じゃないから、きっと札幌から出てしまえばこれに近いことを思える気もするけど。帰国しても、たくさん旅をしようって思います。一緒に行きたい友達もたくさんいるからさ。

 荷物の都合上、本が持っていけなかったので、暇な時間はdマガジンを読んでいます。WIREDとPOPEYEは見ていて本当にワクワクしてしまう。また毎日日記やメモをたくさん取る習慣をつけてみています。いつもよりアンテナを貼ろうと意識するだけで「なんてことない毎日でも色々考えながら生きているんだな」という実感が湧いて、自分のことがより好きになれるなぁと思いました。毎日書きたいことがあるわけじゃないから気持ちについての文章になりがちなのが悩みどころ。

 こんな感じで、おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。(©️魔女の宅急便)


 これは去年の夏の私の書いた文章。あれからいろんなことが起きて、いろんなことを覚えて、いろんなことを忘れたなぁと思います。掛け替えのない友達ができたり。チャンスを失ったり。いつだって今が楽しいって言いたいね。

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