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「夜の勤務のサバイバル」を読んで

 病棟で働いていると、避けて通れないのが「夜勤」。当たり前だけど、入院している患者さんの対応は24時間365日続く。夜勤があるのは看護師だけではなく、例えば守衛さんもデータサーバーの保守者もコンビニの配送トラックも24時間誰かが動き続けてますよね。この社会的インフラとしても病院の機能を継続するために夜勤があります。

 私が夜勤をやる前は、夜勤ってちょっと楽しそうでした。だって夜に働くって特別な感じがしませんか?しかも朝には帰れるんでしょ?
 実際に夜勤をやると、朝に帰れるけど朝と言ってもお昼前だし、結局その日は何もできず、、、しかもなんなら昼間働くよりも何倍も大変じゃん!!ってわかりました。

 今回紹介する「夜の勤務のサバイバル」。救急医の志賀先生、睡眠専門医の伊田先生、看護師のかげさんの3人の共著で、それぞれの視点で「夜の勤務」について書かれています。
 内容はちょっと急性期寄り。夜勤という限られたリソースの中でどのように切り抜けていくか、効率の良い報告の仕方、患者さんへの対応方法、夜勤前の過ごし方、休憩時間での休息の仕方などが書かれています。どれもこれも夜勤をやる人間にとっては大切なノウハウだと思います。
 患者さんの対応に先手を打つことで、予防できるトラブルもあり、特に怒りへの対応は覚えておくといいと思いました。夜の人のいない時間に火に油を注ぐような行為は避けたいですからね。
 
 ひとつ、ぜひ書いてほしかったのが「夜に患者さんの話を聞きすぎない」ということ。「真夜中のラブレター」現象と検索すると出てきますが、感情の高まりから、ものすごく感情が溢れ出て、ものすごい長い文章を作ってしまい結果として恥ずかしくて相手に出せなくなるというもの。これの逆転現象で、夜に患者さんの話を聞きすぎると、感情が高まってしまい翌日ものすごい不穏になることがあります。「夜だから丁寧に話を聞きました」とかいう人もいますがご法度なんです。私、新人のころ「夜なのでゆっくり話を聞きますよ」なんて言って話を聞いていたら、妄想と現実がめちゃくちゃな話を1時間ほどされ、翌日から患者さんの精神状態がとても悪くなってしまったという、本当に辛いエピソードを持っているからです。

 急性期病院で夜勤をしていたころ、朝の太陽が登ってくると安心しました。そして患者さんが目覚めてくることに安心感を覚えました。もちろん採血だの尿量測定だの点滴準備だのと大忙しでしたが、朝は患者さんも優しい笑顔なんです。

 この本はこれから夜勤をする人、仕事が変わり夜勤が始まる人にはものすごくおすすめです。「夜勤ってこんな感じなのか」と事前にわかることも、夜勤への不安を減らす1つだと思います。
 ぜひご一読していただければと思います。


(この度はかげさんを通じて、株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナルの佐々木様より献本されました。ありがとうございました。)

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